天満堂へようこそ 5

記憶と夢

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「これ、何をしておる？まずは各々自分の部屋でゆっくりすると良い。夜はみんなで食事をしよう。イヴァン、奏太を部屋へと案内してくれんか」

「畏まりました。こちらです」

長い廊下を歩きついた部屋は、廊下と同じ白でカーテンなどが深い青色だった。家具もそれに合わせたのだろう。絵なども掛かっており、本当にお城の一室と言った感じになっていた。

「運転免許試験の合格おめでとうございます。天界には車はないのですが、お出掛けの時には馬車や馬など用意もできますのでいつでもお申し付けください。この部屋は応接室となっております。扉の向こうに寝室があり、反対側にはお風呂やトイレ等があり、奥にはクローゼットやノアさんの待機部屋があります。これらは人間界の家を真似て作ったものですが、色など気に入らなければ取り替えもいたします」

「え？いいよ。こんな大きい部屋だと思わなかったからビックリした」

「客室とは違いここは奏太様の家でもありますので、全ての使用人に何でもお申し付けくだされば、全ての者が動きます」

「ありがとう。で、何でノアのお父さんがいるの？」

荷物ですと運んできたユーリにムーとブランを預け、口を開くのを待っていると、ユーリが父は……と色々と教えてくれた。

「昔からの頑固と言いますか、主の言うことは絶対など本当に頭が固く、直問を許すと言うまで話しません」

「え、そんなの困るんだけど。えっと、ジョナスこちらを向いて質問に答えてください」

これだけ言うだけでも疲れる。

「畏まりまして」

「本当にお願いなんですけど、俺はこう言ったことに慣れていなくてそうしろと言われても出来ないんです。人に命令したりとか……確かに旅の時はそういった感じのこともあったかもと思うんですけど、基本的に普通に話がしたいのでそうしてもらえませんか？ノア達にもそうしてもらっているので。だめでしょうか？」

「御命……いえ、分かりました。私は姫様から奏太様についているようにとの命を受けました。ノアでも大丈夫なのですが、剣舞をする間は姫様も客人としてルーカス様と共に王の側におられます。ユーリがムーとブランを見ると言っていましたので、その間の警護は私が引き受けました」

「ありがとう」

「奏太様、まずは荷物を。幾つか針子部屋へ持ってくるようにとのことでしたので」

「本当に出来るのかな？」

「多分ですが……いらない服と言っていましたので、もしかしたらばらばらにして服の型などを取るのかも知れません」

「そういう事か。なら大丈夫かな？この長袖のシャツと、Ｔシャツとパンツと一式でいいかな？」

「私が渡しておきましょう。姫様の所に使用人の方がいらしてますので」

「お願い。変な生地とか嫌だよ？」

「王子の服ですので良いものを使うと思います」

普通でいいんだけどと頭を掻きながら、今からどうすればいいのか聞く。

「結月さんとルーカスさんはここのこと良く知ってるんだよね？」とジョナスを見る。

「はい、あの御二方は各界関係なく遊び場にされておりましたので。今からですと晩餐までにまだ3時間はございます」

「犬好き？」

と、ムーを目の前に差し出す。

「え？あ、嫌いではないですが、扱いには慣れておりません。ケリー種ならば我が家にもいるので多少は……」

「うちのブランはほかのケリー種と違って、俺の友達だから。ムーもね！だから家畜みたいに扱わないでほしいんだ」

「父上、奏太様はみんなを家族のように思ってくださる方なのです」

「分かりました。ムー様ブラン様こちらへ」

「様？僕達かな？」と顔を見合わせている。