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天幻界の血
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「なんですかこの騒ぎは?」
「見たまんまだ、馬鹿と馬鹿が、馬鹿なことをしてだな!」
「だからバカって言うな!」
「ルーカス様が馬鹿なのはよく知っていますが、奏太様がなにか?」
「部屋ででっかい魔力出しやがっただけだ。私が相殺しなかったらどうなっていた事か……それに暫くはこの部屋は使えんだろう?ゲストルームでしばらく過ごせ」
「えー」
「馬鹿2号はそれでも許してもらえるだけマシだと思え!」
「2号ってすごく嫌な響きなんだけど」
「とにかく飯だ。さっさと服を着ておりてこい」
はぁ、と溜息をつき、「ごめんねノア」と謝る。
「そんな事は。兄さん傷の手当ありがとうございました」
「大したことじゃないですよ。ノア、奏太さんのしばらく分の着替えをゲストルームに。後、ムーさんとブランさんもゲストハウスに。この部屋が直るまでは危ないですから」
「入りそう。あいつらなら」
食事を終えると、すぐに薬を飲まされる。
「で、何があったのか教えてくれるんでしょ?」
「そうだったな……奏太、作業部屋の隣の部屋に行っててくれないか?すぐに行く」
「いいけど……」
「ノア、お前はユーリの代わりにあのちび共を頼む。その後はいつもの場所でニコルとでも剣の稽古をしてろ」
すぐにイヴァン対策とわかりニコルと顔を見合わせて頷く。
「ルーカスは……どうせ出かけるんだろ?」
「だめか?」
「構わん。せいぜい楽しんでこい……だが、呼び出しには必ず来いよ?」
「じゃ、軽く済ませてくるとするか……」
「私は……」
「エマは疲れただろう?ゆっくり休んでていいぞ?」
「でも……」
「構わん。何かあったら呼ぶ」
「分かりました」
「イヴァン、奏太は今日は私の治療の日だから、ゆっくりしててくれ」
「どこかお悪いのですか?」
「いや、定期検診のようなものだが、たまには姉弟で話す時間くらいいるだろ?」
「畏まりました。では前に渡した本を時間がある時にでもお読みください」
そのままイヴァンは退出したが、何処か気にくわない。
奏太に早く行けと言い、少ししてユーリが転移して出かけたのを見届けてから作業部屋へと行く。
「待たせたな。ここは結界が張ってあるが、実はこの下にもう一つ部屋がある。古典的だが、絨毯を捲ってみろ」
言われるがままに捲ると、人ひとりが通れる位の扉が付いている。
開けてみろと言われ、開けると階段があり、かなり深く見える。
「どのくらい深いの?」
「そう見せているだけだ。1mくらい降りたら、扉があるが、開けるとすぐに階段で掘り下げてあるから気をつけろ」
言われるがままに中に入り、降りると目の前に扉があり、開けてすぐ1階分はあるであろう階段を降りる。
「なにこの部屋?上の敷物とかどうしたの?」
「魔法で直した。ここは更に結界が強化されていて、外部からの音は聞こえるが、こちらからの音や声は聞こえないし、あの扉も一部の者にしか見えないようにしてある」
「見たまんまだ、馬鹿と馬鹿が、馬鹿なことをしてだな!」
「だからバカって言うな!」
「ルーカス様が馬鹿なのはよく知っていますが、奏太様がなにか?」
「部屋ででっかい魔力出しやがっただけだ。私が相殺しなかったらどうなっていた事か……それに暫くはこの部屋は使えんだろう?ゲストルームでしばらく過ごせ」
「えー」
「馬鹿2号はそれでも許してもらえるだけマシだと思え!」
「2号ってすごく嫌な響きなんだけど」
「とにかく飯だ。さっさと服を着ておりてこい」
はぁ、と溜息をつき、「ごめんねノア」と謝る。
「そんな事は。兄さん傷の手当ありがとうございました」
「大したことじゃないですよ。ノア、奏太さんのしばらく分の着替えをゲストルームに。後、ムーさんとブランさんもゲストハウスに。この部屋が直るまでは危ないですから」
「入りそう。あいつらなら」
食事を終えると、すぐに薬を飲まされる。
「で、何があったのか教えてくれるんでしょ?」
「そうだったな……奏太、作業部屋の隣の部屋に行っててくれないか?すぐに行く」
「いいけど……」
「ノア、お前はユーリの代わりにあのちび共を頼む。その後はいつもの場所でニコルとでも剣の稽古をしてろ」
すぐにイヴァン対策とわかりニコルと顔を見合わせて頷く。
「ルーカスは……どうせ出かけるんだろ?」
「だめか?」
「構わん。せいぜい楽しんでこい……だが、呼び出しには必ず来いよ?」
「じゃ、軽く済ませてくるとするか……」
「私は……」
「エマは疲れただろう?ゆっくり休んでていいぞ?」
「でも……」
「構わん。何かあったら呼ぶ」
「分かりました」
「イヴァン、奏太は今日は私の治療の日だから、ゆっくりしててくれ」
「どこかお悪いのですか?」
「いや、定期検診のようなものだが、たまには姉弟で話す時間くらいいるだろ?」
「畏まりました。では前に渡した本を時間がある時にでもお読みください」
そのままイヴァンは退出したが、何処か気にくわない。
奏太に早く行けと言い、少ししてユーリが転移して出かけたのを見届けてから作業部屋へと行く。
「待たせたな。ここは結界が張ってあるが、実はこの下にもう一つ部屋がある。古典的だが、絨毯を捲ってみろ」
言われるがままに捲ると、人ひとりが通れる位の扉が付いている。
開けてみろと言われ、開けると階段があり、かなり深く見える。
「どのくらい深いの?」
「そう見せているだけだ。1mくらい降りたら、扉があるが、開けるとすぐに階段で掘り下げてあるから気をつけろ」
言われるがままに中に入り、降りると目の前に扉があり、開けてすぐ1階分はあるであろう階段を降りる。
「なにこの部屋?上の敷物とかどうしたの?」
「魔法で直した。ここは更に結界が強化されていて、外部からの音は聞こえるが、こちらからの音や声は聞こえないし、あの扉も一部の者にしか見えないようにしてある」
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