53 / 99
天幻界の血
.
しおりを挟む
「ノア、コーヒーくれないか?ちゃんと説明するから」
「ルーカス様、コーヒでしたら私が……」
「いい、今のノアじゃ話にもならん。それに一呼吸おくことで冷静になれるだろうよ」
「コーヒーです。私はいつでも冷静ですが」
「そんなに殺気だってか?弱い人間なら一睨みで殺せそうなぐらいだ」
「それより奏太様は?」
「お前ほんとうに奏太に忠実だな。とにかくだ、今から家の玄関の方まで転移して、エマはユーリと変わってくれ。ノアは奏太からの伝言だ。俺と仕事しろ!机とかに奏太の細かい案とか入ってないのか?」
「ありますが」
「なら、今奏太が気にしていることはなんだ?」
「プロジェクトの事です」
「よし、俺じゃ嫌かもしれんが補佐を頼む。ほら、行くぞ!エマ、何かあり次第すぐに結月を呼べ。わかったな」
「了解です」
部屋の扉を開け、奏太の様子を見る。
まだ大分と汗はかいているが、顔は泣きそうな表情をしている。
「姫、ルーカス様は」
「連絡が来て、今は会社。エマがもう来るとの事だ」と頭を指差す。
「ユーリ、ここに結界張れないか?誰も入ってこれないように」
「何をなさるおつもりですか?まさか夢に入ろうなどとは思っていませんよね?」
「そのまさかだ。もう一つの魔力がなんなのかがわからない以上、入るしかない」
「危険です!」
「わかってる。だからこの薬をまず奏太に注射しないといけないと思ってな」
「何ですかそれは」
「安定剤みたいなものだ。また暴れられても困るしな。何か寝言でいっていたか?」
「ただ行っては駄目だと位しか。本当にはいるつもりですか?」
「ただの興味なら最初からしてる。今から私がこいつの中に入ったら、無防備になる。エマとお前で守れ。外界からの遮断、そして入っている間誰も声を出すな。5分したらこの注射を私に打て。こちらに強制的に戻れる」と、黄色い液体の入った注射器をユーリに渡す。
コンコンとノックのおとがし、エマが入ってくる。
「悪いな呼び出して」
「いえ、それよりこれは?」
「奏太の魔力が少しおかしくてな、今から私が奏太を起こしにはいる。ユーリの指示にしたがってくれ」
「わかりました」
ベッドを囲むように魔方陣を書き、準備をおえると目でユーリに合図する。
「エマさん今から一言も言葉は発しないでくださいね」
頷くエマを見てから奏太に触れ、呪文を唱える。
意識がだんだんと中に入っていく感覚があり、奏太の意識がもっとも強い所まで入り込む。
ボッと目の前が火に包まれた感じがしたが、熱くはない。
夢の中に入ったのがわかった瞬間でもあった。
熱いとはこの目の前の火事の事だろう。
奏太が見ている夢の中は、平屋だての家が一軒。窓から見える風景は幻界のものであり、草原の奥には城がある。
部屋の中にはみんなが揃っており、出ていこうとしている私を引き留めるユーリとルーカス。泣き崩れるユーリたちの両親と姉。
「ルーカス様、コーヒでしたら私が……」
「いい、今のノアじゃ話にもならん。それに一呼吸おくことで冷静になれるだろうよ」
「コーヒーです。私はいつでも冷静ですが」
「そんなに殺気だってか?弱い人間なら一睨みで殺せそうなぐらいだ」
「それより奏太様は?」
「お前ほんとうに奏太に忠実だな。とにかくだ、今から家の玄関の方まで転移して、エマはユーリと変わってくれ。ノアは奏太からの伝言だ。俺と仕事しろ!机とかに奏太の細かい案とか入ってないのか?」
「ありますが」
「なら、今奏太が気にしていることはなんだ?」
「プロジェクトの事です」
「よし、俺じゃ嫌かもしれんが補佐を頼む。ほら、行くぞ!エマ、何かあり次第すぐに結月を呼べ。わかったな」
「了解です」
部屋の扉を開け、奏太の様子を見る。
まだ大分と汗はかいているが、顔は泣きそうな表情をしている。
「姫、ルーカス様は」
「連絡が来て、今は会社。エマがもう来るとの事だ」と頭を指差す。
「ユーリ、ここに結界張れないか?誰も入ってこれないように」
「何をなさるおつもりですか?まさか夢に入ろうなどとは思っていませんよね?」
「そのまさかだ。もう一つの魔力がなんなのかがわからない以上、入るしかない」
「危険です!」
「わかってる。だからこの薬をまず奏太に注射しないといけないと思ってな」
「何ですかそれは」
「安定剤みたいなものだ。また暴れられても困るしな。何か寝言でいっていたか?」
「ただ行っては駄目だと位しか。本当にはいるつもりですか?」
「ただの興味なら最初からしてる。今から私がこいつの中に入ったら、無防備になる。エマとお前で守れ。外界からの遮断、そして入っている間誰も声を出すな。5分したらこの注射を私に打て。こちらに強制的に戻れる」と、黄色い液体の入った注射器をユーリに渡す。
コンコンとノックのおとがし、エマが入ってくる。
「悪いな呼び出して」
「いえ、それよりこれは?」
「奏太の魔力が少しおかしくてな、今から私が奏太を起こしにはいる。ユーリの指示にしたがってくれ」
「わかりました」
ベッドを囲むように魔方陣を書き、準備をおえると目でユーリに合図する。
「エマさん今から一言も言葉は発しないでくださいね」
頷くエマを見てから奏太に触れ、呪文を唱える。
意識がだんだんと中に入っていく感覚があり、奏太の意識がもっとも強い所まで入り込む。
ボッと目の前が火に包まれた感じがしたが、熱くはない。
夢の中に入ったのがわかった瞬間でもあった。
熱いとはこの目の前の火事の事だろう。
奏太が見ている夢の中は、平屋だての家が一軒。窓から見える風景は幻界のものであり、草原の奥には城がある。
部屋の中にはみんなが揃っており、出ていこうとしている私を引き留めるユーリとルーカス。泣き崩れるユーリたちの両親と姉。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ツクヨミ様の人間見習い
大和撫子
キャラ文芸
よくあるラノベ展開?!「突然ですが私の秘書として働いてくださいませんか?」浮世離れした美形がある日契約書を持って現れて……
代々『霊感、霊視、透視、霊聴』という霊能力を掲げた占い師の一族、観音堂家のに生まれた妃翠。彼女には霊能力は授からず0感のままだった。だが、幼い頃から占いを好み特にタロットカードは数種類のタロットを組み合わせ独自の解釈をするようになる。対して長女、瑠璃は幼い頃から優れた霊能力を発揮。家族の誰もが妃翠には何も期待しなくなっていく。
平凡が一番平和で気楽だと開き直っていた妃翠に、ある日……この世の者とは思えない程の美形が、「私の秘書として働いてくれませんか? 報酬は弾みます」と契約書を携えて訪ねてくる。
どうして自分なんかに? 彼によると、
……ずば抜けた霊能力を誇る彼は、それを活かしてスピリチュアルカウンセラーという職業に就いているそう。ただ、その類稀なる容姿から、男女を問わず下心で近づく者が絶えず辟易しているという。そこで、自分に恋愛感情を抱かず、あくまで統計学。学業としての占いに精通している女性を探していたのだという。
待遇面であり得ないくらいに充実しているのを確認し、2つ返事で引き受ける妃翠。そう長くは続かないだろうけれど今の内にしっかり貯めて老後に備えようという目論見があったからだ。
実際働いてみると、意外にも心地良い。更に、彼は実は月読命でこの度、人間見習いにやってきたというのだが……?
男の秘密とは? 真の目的とは? そして彼の元を訪れる者は時に人間ではない時もあり……
紹嘉後宮百花譚 鬼神と天女の花の庭
響 蒼華
キャラ文芸
始まりの皇帝が四人の天仙の助力を得て開いたとされる、その威光は遍く大陸を照らすと言われる紹嘉帝国。
当代の皇帝は血も涙もない、冷酷非情な『鬼神』と畏怖されていた。
ある時、辺境の小国である瑞の王女が後宮に妃嬪として迎えられた。
しかし、麗しき天女と称される王女に突きつけられたのは、寵愛は期待するなという拒絶の言葉。
人々が騒めく中、王女は心の中でこう思っていた――ああ、よかった、と……。
鬼神と恐れられた皇帝と、天女と讃えられた妃嬪が、花の庭で紡ぐ物語。
継母ですが、娘を立派な公主に育てます~後宮の事件はご内密に~
絹乃
キャラ文芸
母である皇后を喪った4歳の蒼海(ツァンハイ)皇女。未来視のできる皇女の養育者は見つからない。妃嬪の一人である玲華(リンホア)は皇女の継母となることを誓う。しかし玲華の兄が不穏な動きをする。そして玲華の元にやって来たのは、侍女に扮した麗しの青年、凌星(リンシー)だった。凌星は皇子であり、未来を語る蒼海の監視と玲華の兄の様子を探るために派遣された。玲華が得意の側寫術(プロファイリング)を駆使し、娘や凌星と共に兄の陰謀を阻止する継母後宮ミステリー。※表紙は、てんぱる様のフリー素材をお借りしています。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
あやかし狐の身代わり花嫁
シアノ
キャラ文芸
第4回キャラ文芸大賞あやかし賞受賞作。
2024年2月15日書下ろし3巻を刊行しました!
親を亡くしたばかりの小春は、ある日、迷い込んだ黒松の林で美しい狐の嫁入りを目撃する。ところが、人間の小春を見咎めた花嫁が怒りだし、突如破談になってしまった。慌てて逃げ帰った小春だけれど、そこには厄介な親戚と――狐の花婿がいて? 尾崎玄湖と名乗った男は、借金を盾に身売りを迫る親戚から助ける代わりに、三ヶ月だけ小春に玄湖の妻のフリをするよう提案してくるが……!? 妖だらけの不思議な屋敷で、かりそめ夫婦が紡ぎ合う優しくて切ない想いの行方とは――
希望が丘駅前商店街-神神飯店バイト君大作戦
神山 備
キャラ文芸
「日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃい)」のバイト君、岸本大介(ダイサク)視点の物語です。
なので、この作品も「政治家の嫁は秘書様」の鏡野悠宇様より了承頂いて書いているコラボ作品です。
ダイサクこと岸本大介はその名前を理由に喫茶店のバイトを断られてしまう。その代わりにと紹介されたのが、「本格中華菜館神神飯店」。
ダイサクが神神飯店の面々に振り回されて変わっていく成長? の記録。
他にコラボしている作品
・『桃と料理人』http://ncode.syosetu.com/n9554cb/
・『青いヤツと特別国家公務員 - 希望が丘駅前商店街 -』http://ncode.syosetu.com/n5361cb/
・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
・『希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々 』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/274274583/188152339
・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』https://ncode.syosetu.com/n2519cc/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる