天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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天幻界の血

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来てくれたローズ達に挨拶してから部屋に戻り、渡されていた薬を飲む。

一粒が小さく、丸薬になっているので匂いも苦味もないが、前に飲んだことがあるとはいえ、最近は色々と失敗もしていると聞くと飲むのが怖くなってしまう。

「ノア、俺の姿って見えてる?」

「見えてますが……」

「よし、異常なしだな」

「いつもの薬なので大丈夫だと思うのですが」

「分かってるけどさ、ユーリさんからも最近の話聞いたら怖くて。なにかあったのかな?」

「もしかしたらですが、そろそろ幻界に一度戻られる時期かも知れません」

「何日くらい?」

「1ヶ月ほど……あ、だから急いだのでしょうか?」

「巨人族?」

「はい。でも兄も行くのであれば違うかも……」

「あれは絶対趣味だから!そんな時期なら話してくれると思うし」

「そうですよね。今日は色々とありましたからゆっくりと休んでください」

おやすみと言うと電気を消してノアが出ていく。

翌朝9時に出社すると、机の上には纏められたアイデアや企画書、アンケート結果までもデータにして置いてあった。

「これって……」

「昨日纏めておいてくれたのでしょう。昼までに一通り目を通しましょうか?」

「うん、俺も見ていくから、使えそうなものは別で避けておいてくれる?」

「はい」

アンケート結果から見ると、独身の意見はケーキやお菓子など、手作りは嬉しいが食べないと言う男性の意見が多かった。それと同様に女性の方も時間がないので作らずに買ったものをプレゼントすると言う意見が多かった。
反対に家族のいる方は、バレンタインの義理チョコは配らない。子供と旦那に作る。クリスマスケーキは買っていたが、材料費が安く簡単にできるのならば家で作った方が経済的等意見が分かれる。

使い捨てではないシリコン素材のケーキの型とミニクッキーの型セット等はすべてがコンパクトに収まるもので、誕生日などにも使えるので購入するのにも3000程ならば買っても良いと言う意見が多く、使い捨てケーキセット・チョコセットは材料入りで5個は作れるものであれば、1500円以上でも構わない意見が多く、簡単で安い。使い終わりに捨てれるので邪魔にならないとの意見が多い。

「ノア、あそこの雑貨屋さん使い捨てのやつで3500円だったよな」

「ええ。それにチョコレートもメーカー品ではなかったように思いますが」

「これってさ、チョコレート会社とコラボしても良いんじゃないかな?向こうにはレシピなんかもあるだろうし」

「使い捨ての方ですよね?」

「うん。企画開発はこちらでするから、中の材料のチョコのマフィンの粉。ほら混ぜて焼くだけとかのやつ。あれの協力とかしてもらえれば良いんだけど」

「それでしたら、一度姫様の方に話を持っていかなくては行けませんね」

「うん。そっちの方はどう?」

「アンケート結果の方は奏太様の方と代わりありませんが、一つ使い捨てでも絵柄が選べると嬉しいと言うのがありました」

「あ、そうだよね。大体無地とかギンガムチェックとか多いもんね」

「今日はどっちにいるんだろう?」

「多分作業部屋だと思いますが」

電話してみると言い、短縮ボタンを押す。
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