天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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「多分なのですが、魔王様もいらっしゃると思うのです。こちらに来たがっていましたし。ここならば郊外ですし、人外の者も来やすいのではないかなと思いまして。それに、夜0時まで出来るそうなのでちょうどいいかと。あとはダンスパーティなどもお好みでとありましたし」

「ほんと?ならそこにしようか。ドレスは結月さんに相談しないといけないから、明日そこの下見に行こうよ」

「ではそのように予定を組みます。商品の方ですが……」

「いくつか候補はあるんだけど、俺、クリスマスとか婆ちゃんと一緒だったからあまり縁がなかったし、バレンタインなんてチョコ貰ったこともないからわかんないよ」

「男性はもらわないといけないのですか?」

「そんなことないけど、誰にも好かれてないのかなと思うと寂しくない?」

「これは人間界だけのイベントなので、私にもわかりませんが……」

「でも今は男女関係なく友チョコとかあるし」

「男性が男性にですか?」

「女性同士もあるよ?今は結構普通になってると思うんだけどなぁ。ただ、買いに行くときに恥ずかしいかもしれない」

「奏太様?」

「あのさ、後でbarに行くから、もう今日は会社出てもいいかな?」

「大丈夫だと思いますが、車だしましょうか?」

「色々と見たいから歩いていくよ。ノア、電車に乗るけど大丈夫?」

「頭をぶつけないようにします」

二人とも手荷物はないので、そのまま部屋を出て会社のホールから堂々と外に出る事にした。
出る際にもやはり受付がうるさかったので、受付の前まで行き「騒いでる暇があったら仕事して」と一言だけ言うと、申し訳ありませんとシュンとしてしまっていた。
可愛そうだとは思ったが、受付は会社の顔であり、取り次ぎなど大事な仕事だと思っているので言ったのだが、隣に居るノアは何故か嬉しそうな顔をして居る。

「何?」

「いえ、今無意識に魔法を使われていたので」

「いつ?」

「受付の方をお叱りになられた時です」

「普通に言っただけなんだけど、何かしたかなぁ?」

「無意識に王家の者だけが使える魔法を使ってました。服従や絶対命令ではないので大丈夫でしたが、言うことを聞かせるときなどに使うものです。主は誰かはっきりさせる感じと言えば分かりやすいでしょうか?」

「犬の躾みたいだね」

「魔界でルーカス様や姫様が兵達の前で治療や食事などの話をしましたよね?」

「うん」

「あれは言の魔とも言いまして、言葉に魔法を乗せて言い聞かせるのです。誰でもできるものではなく王の資質の持ち主にしかできません」

「日本で言う、言の葉みたい」

「そうですね。言い方は違いますが似たようなものだと。ですがこれで、彼女達は奏太様の言い付けに逆らうようなことはないと思います」

「よくわからないけど、静かならいいか!」

「所でどちらまで行かれるのですか?」

「この辺りから少し離れたところに、大きな雑貨屋さんやデパートがあるんだよ。もうクリスマス商品が並んでるだろうから、見て被らなければ出したいと思うものがあって」
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