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東の浮遊城
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いつもと同じように、普通に話してくれと頼み、簡単にお昼を済ませてから、重次に見つかってリハビリです!と庭に連れ出される。
「庭で何するの?」
「まず、足の筋力がないと思いまして立つ練習からです」
「は?」
「立てますよね?」
「うん。立つことは出来るけど」
とにかく立ってくれと言われ、足に力を入れて立つ。
「では、そのまま立っててくださいね?」
「え?うん。わかった……」
何をするのだろうと思ったら、三郎と四郎が横に立ち、真似をしてくれと言って、まずは両手を横に伸ばす。
「こけそうになったら支えますから大丈夫です」
「うん……」
両手を横に伸ばしたあと、重次に脇の下を持たれて車椅子から五歩程離れる。
「坊ちゃん、腕の筋力もないですねぇ」
「それをいわれると言い訳の仕様がないんだけど」
「ちょっと失礼しますね」
後ろに回られたと思ったら、今度は姿勢が悪いと言われて背筋を伸ばされ、曲がってしまう膝も真っ直ぐにされる。
「キツッ!」
「では、暫くそのままで」
「嘘!すっごく腕がプルプルするんだけど!」
「これからは毎日の体力作りもと冬弥様、那智様に言われております」
「えー!」
同じ格好をしているのに、三郎たちは片足になってケンケンをして周りを回り始め、もうダメだと思う頃には逆立ちをしながら腕立てをしていた。
「もうダメ!」
「そこからが我慢です!」
重次の意地悪!と思いながらもしばらく堪えて、尻餅をつく前にみんなに支えられる。
「次は?もう、肩が上がらないよ」
「さて、温泉に行きましょうか」
「温泉で何するの?」
そう言ってるあいだに担がれて温泉まで連れてこられ、タオルを腰に巻いて、敷いてあるタオルの上に寝ろと言われてその通りにする。
「マッサージしながら解していきます。岩盤浴にも使われる石の上にタオルが敷いてあるので、体の芯から温まりますよ」
程よく体が温まり、膝や足首、腕や肩などを解され、最後に全体を軽くマッサージされてから、湯に浸かる。
「気持ちいい!」
「しばらくこれの繰り返しです」
「どうしてこれになったの?」
「最初は違う内容のものにしようとの話だったのですが、車椅子生活が長いことと、それに伴って体の成長に対して握力など基本的な部分が弱いとの冬弥様の判断から、無理のない程度に基礎体力をつけようとの話になりまして……」
「それで我らが幼少の頃にやっていた基本が良いのではないかと」
「ちょっと待って。風の一族の幼少期って何歳ぐらい?」
「覚えてるか?」
「確かこれは歩けるようになったらさせられるものだったと思うが……」
「みんな覚えてない頃何て赤ちゃんの時じゃん!」
「ですが、これでかなり体幹はしっかりとします。それに今の坊ちゃんは、辛うじて歩ける程度。前の様な事があった時にせめて逃げれるくらいにはと思っております。それに、腕を使うにしても、車椅子の車輪をたまに押すくらいなので、相当筋力が弱いと見ました」
「そう言われたらそうなんだけど。どのぐらい続けるの?」
「毎日朝にと思っておりますが」
さらっと言われ、昼と夕方にはまた違う事させられるんだろうなとついていけるかどうか心配になってきてしまった。
「庭で何するの?」
「まず、足の筋力がないと思いまして立つ練習からです」
「は?」
「立てますよね?」
「うん。立つことは出来るけど」
とにかく立ってくれと言われ、足に力を入れて立つ。
「では、そのまま立っててくださいね?」
「え?うん。わかった……」
何をするのだろうと思ったら、三郎と四郎が横に立ち、真似をしてくれと言って、まずは両手を横に伸ばす。
「こけそうになったら支えますから大丈夫です」
「うん……」
両手を横に伸ばしたあと、重次に脇の下を持たれて車椅子から五歩程離れる。
「坊ちゃん、腕の筋力もないですねぇ」
「それをいわれると言い訳の仕様がないんだけど」
「ちょっと失礼しますね」
後ろに回られたと思ったら、今度は姿勢が悪いと言われて背筋を伸ばされ、曲がってしまう膝も真っ直ぐにされる。
「キツッ!」
「では、暫くそのままで」
「嘘!すっごく腕がプルプルするんだけど!」
「これからは毎日の体力作りもと冬弥様、那智様に言われております」
「えー!」
同じ格好をしているのに、三郎たちは片足になってケンケンをして周りを回り始め、もうダメだと思う頃には逆立ちをしながら腕立てをしていた。
「もうダメ!」
「そこからが我慢です!」
重次の意地悪!と思いながらもしばらく堪えて、尻餅をつく前にみんなに支えられる。
「次は?もう、肩が上がらないよ」
「さて、温泉に行きましょうか」
「温泉で何するの?」
そう言ってるあいだに担がれて温泉まで連れてこられ、タオルを腰に巻いて、敷いてあるタオルの上に寝ろと言われてその通りにする。
「マッサージしながら解していきます。岩盤浴にも使われる石の上にタオルが敷いてあるので、体の芯から温まりますよ」
程よく体が温まり、膝や足首、腕や肩などを解され、最後に全体を軽くマッサージされてから、湯に浸かる。
「気持ちいい!」
「しばらくこれの繰り返しです」
「どうしてこれになったの?」
「最初は違う内容のものにしようとの話だったのですが、車椅子生活が長いことと、それに伴って体の成長に対して握力など基本的な部分が弱いとの冬弥様の判断から、無理のない程度に基礎体力をつけようとの話になりまして……」
「それで我らが幼少の頃にやっていた基本が良いのではないかと」
「ちょっと待って。風の一族の幼少期って何歳ぐらい?」
「覚えてるか?」
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「みんな覚えてない頃何て赤ちゃんの時じゃん!」
「ですが、これでかなり体幹はしっかりとします。それに今の坊ちゃんは、辛うじて歩ける程度。前の様な事があった時にせめて逃げれるくらいにはと思っております。それに、腕を使うにしても、車椅子の車輪をたまに押すくらいなので、相当筋力が弱いと見ました」
「そう言われたらそうなんだけど。どのぐらい続けるの?」
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