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東の浮遊城
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話しながら歩いていると、斜め前を歩いていた栞が突然振り向き、「逃げなさい!」と大声で言ってくる。
それと同時に狐が三尾目の前に立ち、その前には栞が手を広げて庇ってくれている。
「栞さん?」
「雪翔、逃げなさい!周太郎早く!」
初めて呼び捨てで呼ばれ、ただ事ではないと思い指示に従おうとしたが、周りをたくさんの蛇に囲まれてしまって動けない。
それでも八尾の栞の力は強く、手から光の玉を放ち、なんとか逃げられる隙間を作ってくれる。
周太郎に車椅子を押されてなんとか蛇のあいだは抜けたが、栞は囲まれたままで見たことも無い怒りの気を放っている。
「周太郎さん……逃げて。冬弥さん呼んできて」
「駄目です」
「銀、誰でもいいから呼んできて。金、周太郎さんを逃がして!」
「せめて私の狐を。攻撃出来ますから」
「自分を守って逃げて!僕、まだ護法童子がいるから。家で侑弥を守って!」
それだけ言い、銀と金に早く行けと急かし、白に身を守ってもらいながら、「黒龍、栞さんを……お母さんを守って!」とお願いをする。
ドン__ドン__ドン__
大きな爆発する音が鳴り響き、至る所から煙が上がって前が見にくいが、栞の狐が蛇を退治しているのが見え、栞も気の玉を前方に撃ち攻撃している。
「黒!」
黒が栞の横に降り立ち、前方めがけて攻撃しに向かっている間に、白に栞を助けてくれと頼む。
「一旦雪が避難しないと助けることはできません」
「そうだ!札。僕が防御の札を使うから……」
なにか地面に刺せるものは無いかと車椅子を見るが、タイヤのワイヤーなどは壊せそうにない。
『白、後ろのネットの中に、彫り物の彫刻刀が入ってるから取って』
こっそりと渡してもらい、それに札を刺してから白に頼んで地面に五角形になるように刺してもらい、前から練習していた気を流し込む。
ぶわっと白く光り輝き、円が安定すると周りから筋が伸びて五芒星が描かれる。
この中に入れるのは自分が招いたものだけと条件をつけた札にしたので、すぐに栞をこちらに呼びたかったが、少し離れているので、書物で読んだ術が使えない。
あと少しこちらに来てくれれば……
破の札を栞の後ろに注意して投げ、「走って!」と叫ぶ。
軽く爆発したあと、まだ蛇は寄ってきていなかったので、そこを栞が走ってくるが、普通に走っていては間に合わない。
「走れ五芒星!」書物で読んだ通りに術を唱えると、丸い筒が栞に向かっていき、そのまま吸い込まれるようにして栞が中に入ってきた。
「白、黒、全部退かして。九堂が居るんでしょ?」
「あれは式です。なので本体を叩くしかありません」
「雪翔君……」
「ごめん栞さん。僕、一人で逃げられないよ。僕だって戦える。でも、結構集中しないとこの結界っていうのが持たないから、銀が早く誰かを連れてきてくれないと……」
段々と汗も出てきて、このままでどうしようかと考えていると、栞は栞で戻ってきた狐を中に戻し、結界の中から蛇に向かって攻撃してくれている。
「早く……」
「待って。蛇が減っていく……もう少し堪えて」
そう言って出ていこうとするので、腕を掴んで止め「来た」と一言だけ言う。
「待たせました!雪翔、まだ持ちますか?」
「頑張る」
「ならそこで栞さんを守ってください。四郎、行きますよ!」
冬弥と四郎が来てくれて、四郎が式の九堂相手に戦闘に入っているあいだに、いつの間に見つけたのか冬弥が本体を連れて出てくる。
それと同時に狐が三尾目の前に立ち、その前には栞が手を広げて庇ってくれている。
「栞さん?」
「雪翔、逃げなさい!周太郎早く!」
初めて呼び捨てで呼ばれ、ただ事ではないと思い指示に従おうとしたが、周りをたくさんの蛇に囲まれてしまって動けない。
それでも八尾の栞の力は強く、手から光の玉を放ち、なんとか逃げられる隙間を作ってくれる。
周太郎に車椅子を押されてなんとか蛇のあいだは抜けたが、栞は囲まれたままで見たことも無い怒りの気を放っている。
「周太郎さん……逃げて。冬弥さん呼んできて」
「駄目です」
「銀、誰でもいいから呼んできて。金、周太郎さんを逃がして!」
「せめて私の狐を。攻撃出来ますから」
「自分を守って逃げて!僕、まだ護法童子がいるから。家で侑弥を守って!」
それだけ言い、銀と金に早く行けと急かし、白に身を守ってもらいながら、「黒龍、栞さんを……お母さんを守って!」とお願いをする。
ドン__ドン__ドン__
大きな爆発する音が鳴り響き、至る所から煙が上がって前が見にくいが、栞の狐が蛇を退治しているのが見え、栞も気の玉を前方に撃ち攻撃している。
「黒!」
黒が栞の横に降り立ち、前方めがけて攻撃しに向かっている間に、白に栞を助けてくれと頼む。
「一旦雪が避難しないと助けることはできません」
「そうだ!札。僕が防御の札を使うから……」
なにか地面に刺せるものは無いかと車椅子を見るが、タイヤのワイヤーなどは壊せそうにない。
『白、後ろのネットの中に、彫り物の彫刻刀が入ってるから取って』
こっそりと渡してもらい、それに札を刺してから白に頼んで地面に五角形になるように刺してもらい、前から練習していた気を流し込む。
ぶわっと白く光り輝き、円が安定すると周りから筋が伸びて五芒星が描かれる。
この中に入れるのは自分が招いたものだけと条件をつけた札にしたので、すぐに栞をこちらに呼びたかったが、少し離れているので、書物で読んだ術が使えない。
あと少しこちらに来てくれれば……
破の札を栞の後ろに注意して投げ、「走って!」と叫ぶ。
軽く爆発したあと、まだ蛇は寄ってきていなかったので、そこを栞が走ってくるが、普通に走っていては間に合わない。
「走れ五芒星!」書物で読んだ通りに術を唱えると、丸い筒が栞に向かっていき、そのまま吸い込まれるようにして栞が中に入ってきた。
「白、黒、全部退かして。九堂が居るんでしょ?」
「あれは式です。なので本体を叩くしかありません」
「雪翔君……」
「ごめん栞さん。僕、一人で逃げられないよ。僕だって戦える。でも、結構集中しないとこの結界っていうのが持たないから、銀が早く誰かを連れてきてくれないと……」
段々と汗も出てきて、このままでどうしようかと考えていると、栞は栞で戻ってきた狐を中に戻し、結界の中から蛇に向かって攻撃してくれている。
「早く……」
「待って。蛇が減っていく……もう少し堪えて」
そう言って出ていこうとするので、腕を掴んで止め「来た」と一言だけ言う。
「待たせました!雪翔、まだ持ちますか?」
「頑張る」
「ならそこで栞さんを守ってください。四郎、行きますよ!」
冬弥と四郎が来てくれて、四郎が式の九堂相手に戦闘に入っているあいだに、いつの間に見つけたのか冬弥が本体を連れて出てくる。
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