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星のマーク
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「術者が死ぬって……」
「いや、すまん」
「とにかくだ、一先ずは冬弥に任せるしかないだろう?雪翔、護法童子を出してる間は疲れないのか?」
「うん。大丈夫だよ」
「それにしても……これなにで出来てるんだろうな」
那智がコンコンと入れ物を叩いているが、音も乾いた音なので、何で出来ているのか想像もつかない。
「御札で割れないかな?」
「紙でできたやつか?」
「あの人と僕が同じ術師なら出来ないのかな?」
「試してみるか……玲どうする?」
「今は何でもやってみて欲しい。なに、秋なら多少怪我したところで文句も言わないだろ」
絶対に言われると思いながらも、そう言えば全部あの九堂って男に投げてしまったんだと、金を呼ぶ。
「何?」
「札持ってない?『破』ってやつなんどけど」
「あるよ?僕達が書いたのでいいの?」
「何か違いはある?」
「ほとんど無いけど、字が汚いから」
「大丈夫。何枚か欲しいんだ」
札を貰って、何をしてもダメと聞いていたので直接貼り、強く念じるとボン!とすごい音がしたのでつい耳を塞いでしまう。
「おい、強すぎじゃねーか?」
「ご、ごめん。使い慣れて無くて……」
砂埃が消えて見てみると少しヒビが入った程度で、割れるとまでは行かなかった。
「このヒビから割れるんじゃないか?」
「私がやってみます」
周太郎と玲の二人が入ったヒビの部分を集中的に殴っていると、ヒビ割れが大きくなり、バリッという音とともに割れる。
「秋!」
玲が秋彪を抱き起こし声を掛けると、暫くして秋彪の目が開き、「兄貴?」と弱々しいながらも声を出したのでやった!と喜ぶが、冬弥がまだ帰ってきていない。
「白、黒に連絡つく?冬弥さん連れて帰ってきてもらってほしいんだけど」
「もうこちらに来られます」
「え?」
「おまたせしました」
冬弥が黒に抱えられて戻ってはきたが、着物はボロボロになっており、顔にも切り傷が出来ている。
「ひーちゃん、冬弥さん治して!」
「あいっ!」
座り込んだ冬弥の膝の上にちょこんと乗って、いつもと同じようにまた唸るのかと思ったら、何も言わずに手をいくつかの場所に当てている。
見ているとすぐに傷は塞がり、見た目は治ったように見えるが、「ひーたんはここまで。中はできないのー」
「中?」
「すいませんねぇ。あちらにもかなりの深手は追わせたんですけど、倒しきれなくって。中の方は神気を使いすぎたので少し休めば平気です。秋彪は出られたんですね」
「雪翔がな、札で割ってくれたんだ」
「玲さん違うよ。周太郎さんと玲さんが割ったんだよ?」
「いや、お前のあの術が無かったら割れてなかった……ありがとう」
撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で……
「うっ、なんでみんなで撫でるの……」
「雪翔、よく頑張りましたね。玲、狐の国の医師に見せた方がいいかもしれません。家で休ませてあげてください。桜狐、ついて行きなさい」
桜狐と玲が秋彪を連れて消え、白龍と黒龍にも戻ってとキーホルダーに戻ってもらい、那智が今いる社から飛ぶと言うので、それに付いていく。
戻ったのは誰の社でもなく、自宅。
「冬弥!」
「どうなったんじゃ?」
「えーと、まず休んでいいです?」
「栞さん布団を……」
「は、はい」
「いや、すまん」
「とにかくだ、一先ずは冬弥に任せるしかないだろう?雪翔、護法童子を出してる間は疲れないのか?」
「うん。大丈夫だよ」
「それにしても……これなにで出来てるんだろうな」
那智がコンコンと入れ物を叩いているが、音も乾いた音なので、何で出来ているのか想像もつかない。
「御札で割れないかな?」
「紙でできたやつか?」
「あの人と僕が同じ術師なら出来ないのかな?」
「試してみるか……玲どうする?」
「今は何でもやってみて欲しい。なに、秋なら多少怪我したところで文句も言わないだろ」
絶対に言われると思いながらも、そう言えば全部あの九堂って男に投げてしまったんだと、金を呼ぶ。
「何?」
「札持ってない?『破』ってやつなんどけど」
「あるよ?僕達が書いたのでいいの?」
「何か違いはある?」
「ほとんど無いけど、字が汚いから」
「大丈夫。何枚か欲しいんだ」
札を貰って、何をしてもダメと聞いていたので直接貼り、強く念じるとボン!とすごい音がしたのでつい耳を塞いでしまう。
「おい、強すぎじゃねーか?」
「ご、ごめん。使い慣れて無くて……」
砂埃が消えて見てみると少しヒビが入った程度で、割れるとまでは行かなかった。
「このヒビから割れるんじゃないか?」
「私がやってみます」
周太郎と玲の二人が入ったヒビの部分を集中的に殴っていると、ヒビ割れが大きくなり、バリッという音とともに割れる。
「秋!」
玲が秋彪を抱き起こし声を掛けると、暫くして秋彪の目が開き、「兄貴?」と弱々しいながらも声を出したのでやった!と喜ぶが、冬弥がまだ帰ってきていない。
「白、黒に連絡つく?冬弥さん連れて帰ってきてもらってほしいんだけど」
「もうこちらに来られます」
「え?」
「おまたせしました」
冬弥が黒に抱えられて戻ってはきたが、着物はボロボロになっており、顔にも切り傷が出来ている。
「ひーちゃん、冬弥さん治して!」
「あいっ!」
座り込んだ冬弥の膝の上にちょこんと乗って、いつもと同じようにまた唸るのかと思ったら、何も言わずに手をいくつかの場所に当てている。
見ているとすぐに傷は塞がり、見た目は治ったように見えるが、「ひーたんはここまで。中はできないのー」
「中?」
「すいませんねぇ。あちらにもかなりの深手は追わせたんですけど、倒しきれなくって。中の方は神気を使いすぎたので少し休めば平気です。秋彪は出られたんですね」
「雪翔がな、札で割ってくれたんだ」
「玲さん違うよ。周太郎さんと玲さんが割ったんだよ?」
「いや、お前のあの術が無かったら割れてなかった……ありがとう」
撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で……
「うっ、なんでみんなで撫でるの……」
「雪翔、よく頑張りましたね。玲、狐の国の医師に見せた方がいいかもしれません。家で休ませてあげてください。桜狐、ついて行きなさい」
桜狐と玲が秋彪を連れて消え、白龍と黒龍にも戻ってとキーホルダーに戻ってもらい、那智が今いる社から飛ぶと言うので、それに付いていく。
戻ったのは誰の社でもなく、自宅。
「冬弥!」
「どうなったんじゃ?」
「えーと、まず休んでいいです?」
「栞さん布団を……」
「は、はい」
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