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「雪翔、逃げなさい」
「でもっ……」
「護法童子を呼んで逃げなさいっ!」
「無理だよ……」
車椅子で戦っている二人の横を抜けることは、一人では難しい。
手をポケットの中に入れて札を何枚か出し、九堂に当たれ!とダーツを投げるように紙を投げると真っ直ぐに飛んでいく。
「冬弥さん避けて!」
これでもかと言うほどの爆発する札をまとめて投げたので、声に出して叫んだが、札が爆発するまでの時間は短い。
ガン__ダダダダン!!!
自分が思っていたよりも爆発が大きく、砂埃に交じって壊れた木材等も上から降ってくる。
手を頭の上に置いたと同時にフワッと体が浮いたと思ったら、車椅子ごと冬弥が持ち上げており、すぐに景色が海に変わる。
「雪翔、いいですか?よく聞いてください」
「うん」
「私はあの男を……懲らしめてきます。すぐ側に玲の気も感じますから青狐に呼びに行かせました。すぐに来てくれます。那智と玲の言うことを聞いて安全なところまで逃げなさい」
「わ、分かった」
頭を軽く撫でられたと思ったらまた冬弥の姿が消えたので、周りをよく見る。
砂浜ではなく岩場。
位置的には海水がかからない場所ではあるが、車椅子を動かすのは難しい。
このまま満潮まではいられないなとキーホルダーを握りしめ、白、黒と呼ぶ。
「雪翔!」
「玲さん!白も!」
「すぐに移動しよう。近くの社にみんないるから」
「でも冬弥さんがまた戻っちゃって……」
「冬弥にはなんて言われた?」
「安全なとこに行けって。二人の言うこと聞きなさいって」
「だったらまずは社に行こう。周太郎もそこにいる。えーと、白だっけ?悪いんだか車椅子の方を頼む。雪翔ちょっと我慢しろ」
脇に手を入れられ、ヒョイッと持ち上げられたと思ったら肩に担がれ、そこからはどこをどう走ったらこんなに移動できるんたろう?と言うくらいの速さで言っていた社についた。
「坊ちゃん!」
「周太郎さん。怪我ない?」
「坊ちゃんこそご無事で……」
「何がご無事でだ。さっきまで腕の怪我を治してやってただろうが」
「那智様、内緒にと言ったのに……」
「怪我したの?どこ?」
「凛に治させた。頑丈な身体だよ周太郎は。なんせ釘が腕にいくつも刺さってたからな」
「なんで?どこでそんな怪我……」
「木箱を投げた時に横から飛び出してた釘に当たっただけです。それより……」
「そうだ!黒、黒は?」
「ここに」
「冬弥さんの所に行って助けてきて!」
「御意」
黒が居なくなって、白が車椅子をトンと置いてくれたので座り直し、秋彪を見る。
「眠ってる……のかな?」
「何しても割れないし、声も聞こえてないみたいでな……秋が暴れてくれたら中から割れないかと思ったんだが、全然起きねー!なにかの術かと思うんだが雪翔、心当たりないか?」
「僕も全部の本が読めたわけじゃないから……巻物に書いてあったのもこんなの書いてなかったし」
「その白にも壊してもらおうとしたんだが無理だったんだ。やっぱり術者が解くか死ぬしか……「玲!」」
「あ、すまん……」
「でもっ……」
「護法童子を呼んで逃げなさいっ!」
「無理だよ……」
車椅子で戦っている二人の横を抜けることは、一人では難しい。
手をポケットの中に入れて札を何枚か出し、九堂に当たれ!とダーツを投げるように紙を投げると真っ直ぐに飛んでいく。
「冬弥さん避けて!」
これでもかと言うほどの爆発する札をまとめて投げたので、声に出して叫んだが、札が爆発するまでの時間は短い。
ガン__ダダダダン!!!
自分が思っていたよりも爆発が大きく、砂埃に交じって壊れた木材等も上から降ってくる。
手を頭の上に置いたと同時にフワッと体が浮いたと思ったら、車椅子ごと冬弥が持ち上げており、すぐに景色が海に変わる。
「雪翔、いいですか?よく聞いてください」
「うん」
「私はあの男を……懲らしめてきます。すぐ側に玲の気も感じますから青狐に呼びに行かせました。すぐに来てくれます。那智と玲の言うことを聞いて安全なところまで逃げなさい」
「わ、分かった」
頭を軽く撫でられたと思ったらまた冬弥の姿が消えたので、周りをよく見る。
砂浜ではなく岩場。
位置的には海水がかからない場所ではあるが、車椅子を動かすのは難しい。
このまま満潮まではいられないなとキーホルダーを握りしめ、白、黒と呼ぶ。
「雪翔!」
「玲さん!白も!」
「すぐに移動しよう。近くの社にみんないるから」
「でも冬弥さんがまた戻っちゃって……」
「冬弥にはなんて言われた?」
「安全なとこに行けって。二人の言うこと聞きなさいって」
「だったらまずは社に行こう。周太郎もそこにいる。えーと、白だっけ?悪いんだか車椅子の方を頼む。雪翔ちょっと我慢しろ」
脇に手を入れられ、ヒョイッと持ち上げられたと思ったら肩に担がれ、そこからはどこをどう走ったらこんなに移動できるんたろう?と言うくらいの速さで言っていた社についた。
「坊ちゃん!」
「周太郎さん。怪我ない?」
「坊ちゃんこそご無事で……」
「何がご無事でだ。さっきまで腕の怪我を治してやってただろうが」
「那智様、内緒にと言ったのに……」
「怪我したの?どこ?」
「凛に治させた。頑丈な身体だよ周太郎は。なんせ釘が腕にいくつも刺さってたからな」
「なんで?どこでそんな怪我……」
「木箱を投げた時に横から飛び出してた釘に当たっただけです。それより……」
「そうだ!黒、黒は?」
「ここに」
「冬弥さんの所に行って助けてきて!」
「御意」
黒が居なくなって、白が車椅子をトンと置いてくれたので座り直し、秋彪を見る。
「眠ってる……のかな?」
「何しても割れないし、声も聞こえてないみたいでな……秋が暴れてくれたら中から割れないかと思ったんだが、全然起きねー!なにかの術かと思うんだが雪翔、心当たりないか?」
「僕も全部の本が読めたわけじゃないから……巻物に書いてあったのもこんなの書いてなかったし」
「その白にも壊してもらおうとしたんだが無理だったんだ。やっぱり術者が解くか死ぬしか……「玲!」」
「あ、すまん……」
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