19 / 87
天からの使い
.
しおりを挟む
家に帰ってすぐに航平がチェーンをつけて満足している所に那智が腹が減ったとやって来て、出かけてたのか?と航平のズボンのチェーンを見る。
「このカード!金額おかしいだろ?」
といきなり言う航平に「足りなかったか?」とさらりとかわす那智。
このまま暫くは言い合いが続くだろうと、栞の部屋に行き、紙袋を渡す。
「なぁに?」
「買い物行けたから。後お団子も買ってきて、お爺ちゃんの家にも寄ってきたよ。すごい荷物が届いてた」
「そろそろ母様も帰って手伝ってあげないと……父様一人じゃ大変だわ」
「はいはい。明日には私も帰りますよ。ね、侑弥君」
「お婆ちゃんも侑弥にメロメロだね」
「あっという間に大きくなるから、赤ちゃんの時期はすぐに終わっちゃって寂しいのよ?」
「でも大変だよ?」
「それがね、この子あんまり泣かないの。のんびりしてる所は冬弥様譲りかしら」
「そうかもね。もう目は見えてるのかな?」
「多分見えてると思うわよ?人の子よりは早いから」
「僕の顔覚えてるかなぁ?」
「毎日会うのよ?お兄ちゃんだって分かるわ」
「へへっ。あ、紙袋見て」
何かしら?と袋から出した第一声は「可愛い」だった。
「いつも付けてたから。いきなりこっちに来たから持ってきてないのかなって思って……」
袋から出したヘアーバンドは薄い桃色と濃紺の二色。たまに、長い髪を横で三つ編みにしているのは知っていたが、気に入ってるからと毎日つけていたので、あると便利かなと思って街で買ってきたが、喜んでもらえてよかった。
「桃色のには桜の小花が付いてるのね。大切にするわね」
「あ、僕、侑弥におもちゃ買ってくるの忘れちゃった」
「もうすっかりお兄ちゃんね。まだ寝てるだけだから、動くようになったらおもちゃもいるわよね。一緒に選んでね?」
「うん!」
その後、オムツ替えなどを手伝ってからまた明日ねと広間に行き、寝ている人たちを起こす。
「ねー!ジイジ起きてよー」と服をひっぱり、少し前まで起きてたのになんで寝てるの?と文句を言いながら、秋彪や玲達を合流した那智と航平とで起こしていく。
「親父、さっさと起きろ!」
「那智ちゃん、もうちょっと……」
「アホか!置いてくぞ?」
なにを思ったか、その一言でバッと起きて周りをキョロキョロと見渡したあと、ホットしているので、どこかに行くのかと那智に聞くと、「出産の祝に社に行くんだ。産まれてから二三日で加護を受けに行くが、受けたものは健康などを祈願してくる慣わしになって……って寝るなバカ親父!」
他の人たちはみんな水と言ってのそのそと顔を洗いに出ていき、祖父もやっと重い腰を上げてみんなの後に続く。
「親父は寝るとなかなか起きないからな……面倒くさい」
「那智さん、僕達も行っていいの?」
「勿論だ。この家は風の一族が守ってくれるし、俺たちに加えて御館様や大奥様が居たら怖いもんはないな」
「お婆ちゃんの一言ってみんな聞くよね?」
「あー、そうか。お前はまだ見たことなかったな……絶対に怒らせるなよ?怒ったらもう……」
「私がなんですって?」
「い、いえ、なんでも……」
「お婆ちゃん、お団子あとで食べようね」
「ええ、もちろんですとも。それよりも、那智」
「はい」
「航平ちゃんの事なんだけれど」
「何か……」
「たまにさみしそうな顔をしてるのが気になってねぇ」
「それは気づいてましたけど、聞いてもいいものかと迷ってまして……」
「本人が解決するのがいいんだけど、親になったんだからあなたもしっかりしないと」
「はい、気をつけます」
「このカード!金額おかしいだろ?」
といきなり言う航平に「足りなかったか?」とさらりとかわす那智。
このまま暫くは言い合いが続くだろうと、栞の部屋に行き、紙袋を渡す。
「なぁに?」
「買い物行けたから。後お団子も買ってきて、お爺ちゃんの家にも寄ってきたよ。すごい荷物が届いてた」
「そろそろ母様も帰って手伝ってあげないと……父様一人じゃ大変だわ」
「はいはい。明日には私も帰りますよ。ね、侑弥君」
「お婆ちゃんも侑弥にメロメロだね」
「あっという間に大きくなるから、赤ちゃんの時期はすぐに終わっちゃって寂しいのよ?」
「でも大変だよ?」
「それがね、この子あんまり泣かないの。のんびりしてる所は冬弥様譲りかしら」
「そうかもね。もう目は見えてるのかな?」
「多分見えてると思うわよ?人の子よりは早いから」
「僕の顔覚えてるかなぁ?」
「毎日会うのよ?お兄ちゃんだって分かるわ」
「へへっ。あ、紙袋見て」
何かしら?と袋から出した第一声は「可愛い」だった。
「いつも付けてたから。いきなりこっちに来たから持ってきてないのかなって思って……」
袋から出したヘアーバンドは薄い桃色と濃紺の二色。たまに、長い髪を横で三つ編みにしているのは知っていたが、気に入ってるからと毎日つけていたので、あると便利かなと思って街で買ってきたが、喜んでもらえてよかった。
「桃色のには桜の小花が付いてるのね。大切にするわね」
「あ、僕、侑弥におもちゃ買ってくるの忘れちゃった」
「もうすっかりお兄ちゃんね。まだ寝てるだけだから、動くようになったらおもちゃもいるわよね。一緒に選んでね?」
「うん!」
その後、オムツ替えなどを手伝ってからまた明日ねと広間に行き、寝ている人たちを起こす。
「ねー!ジイジ起きてよー」と服をひっぱり、少し前まで起きてたのになんで寝てるの?と文句を言いながら、秋彪や玲達を合流した那智と航平とで起こしていく。
「親父、さっさと起きろ!」
「那智ちゃん、もうちょっと……」
「アホか!置いてくぞ?」
なにを思ったか、その一言でバッと起きて周りをキョロキョロと見渡したあと、ホットしているので、どこかに行くのかと那智に聞くと、「出産の祝に社に行くんだ。産まれてから二三日で加護を受けに行くが、受けたものは健康などを祈願してくる慣わしになって……って寝るなバカ親父!」
他の人たちはみんな水と言ってのそのそと顔を洗いに出ていき、祖父もやっと重い腰を上げてみんなの後に続く。
「親父は寝るとなかなか起きないからな……面倒くさい」
「那智さん、僕達も行っていいの?」
「勿論だ。この家は風の一族が守ってくれるし、俺たちに加えて御館様や大奥様が居たら怖いもんはないな」
「お婆ちゃんの一言ってみんな聞くよね?」
「あー、そうか。お前はまだ見たことなかったな……絶対に怒らせるなよ?怒ったらもう……」
「私がなんですって?」
「い、いえ、なんでも……」
「お婆ちゃん、お団子あとで食べようね」
「ええ、もちろんですとも。それよりも、那智」
「はい」
「航平ちゃんの事なんだけれど」
「何か……」
「たまにさみしそうな顔をしてるのが気になってねぇ」
「それは気づいてましたけど、聞いてもいいものかと迷ってまして……」
「本人が解決するのがいいんだけど、親になったんだからあなたもしっかりしないと」
「はい、気をつけます」
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



下宿屋 東風荘 4
浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。
天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!?
ほのぼの美味しいファンタジー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
表紙・挿絵:深月くるみ様
イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。
☆マークの話は挿絵入りです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる