16 / 87
天からの使い
.
しおりを挟む
「ここに居たんですか。みんなもうどんちゃん騒ぎでしてねぇ。ご近所からの祝も届き始めました。私はその対応を母上とするのですけど、栞さんの実家にも荷物が来てるようなので、お義父さんが一旦帰られました」
「そんなに早く伝わるんですか?」
「うちの近所は産声が聞こえたと。なので、普通に男の子が生まれたと言っておくことにしました。で、その大きいのが天の?」
いつの間にか出てきていた檪が「檪と申す」と冬弥に挨拶をしている。
「雪翔を頼みます」
「承知した。だが主の名に従うにしても、今の言葉が分からぬので、気楽にとはなかなかできぬが」
「慣れてください。天に居たのであれば、今の人間界は驚くことばかりと思いますよ?」
「我らは見るしかできぬでな……」
冬弥と檪が話している間、航平も赤ちゃんを抱っこし、満更でもない顔で見ていた。
「みんなのアイドルになりそうだよね」
「隆弘さんとか子供好きそうだもんな」
「みんなが子育てしてくれるなら楽でいいわ」
「栞さん、今後なんですけど、里帰りということにして、一月こちらにいませんか?」
「え?でも……」
「急なお産でしたし、いきなり帰ると下宿の子達も疑います。あちらの手続きはしておくので、少し時間を開けてください」
「そうですよね……普通なら後一ヶ月は後ですものね……」
「はい。私も時間を作って会いに来ますので」
「どっちに?」
「雪翔、そんないじわる言わないでください」
「ねー?ちゃんと言わないお父さんは嫌だよねー」と侑弥に言うと、まだ言葉もわからないだろうに、キャッキャッと手足をばたつかせている。
「まだ一日しかたってないのに……それにお父さんじゃなくてパパです!パパ!」
「栞さんがママって言うのはわかるんだけどなぁ」
「いいじゃないかパパで。俺なんてダディって呼ばないと拗ねられるんだぞ?」
「那智さん拗ねるの?」
「もう面倒で面倒で……」
「呼んであげたらいいのに」
「だったら雪翔もパパだろ?」
「それは……小さい時だけでいいんじゃない?それよりしーちゃんは?」
「そろそろ出しましょうか。檪にも合わせておいた方がいいと思いますし」
すぐに紫狐が呼ばれ、その第一声が「ふわぁぁぁ、可愛いですー」だった。
「し、しーちゃん……」
「あ、失礼しました。天の使い様。紫狐と言います」
と、ペコペコとお辞儀をしており、それでも気になるのか侑弥を見てはほっぺに手を当てて可愛いを連呼している。
「ゆ、雪翔よ。いつもこんな感じで……」
「うん、戸惑うと思うけど、いつも楽しくしてるよ。後で翡翠や金達にも会わせるね」
「そうしてくれると有難い。全員はついていくのが大変そうだ……にしても、航平殿の周りの小さいもの……」
「航平でいいです。これは妖精?なのかな?いつも周りにいますけど、悪さはしません」
「触っても?」
「触れるんですか?」
「触ったことがないのか?」
手を伸ばし、少し触れると手の先に止まったので、みんなでまじまじと見るが、黄色い丸にしか見えず、みんなにはどう見えているのかと聞く。
「えっと、黄色の服きた羽の生えてる小さい人?」
「そうですか?黄色い花のようにも見えますが」
「ふむ、小さき人というのが当たっておる。これは我らとは異なるものとはわかるが見たことが無い」
その後航平が説明をし、檪は珍しいのかふむふむと幾つかの光に触れながら話を聞いていた。
「そんなに早く伝わるんですか?」
「うちの近所は産声が聞こえたと。なので、普通に男の子が生まれたと言っておくことにしました。で、その大きいのが天の?」
いつの間にか出てきていた檪が「檪と申す」と冬弥に挨拶をしている。
「雪翔を頼みます」
「承知した。だが主の名に従うにしても、今の言葉が分からぬので、気楽にとはなかなかできぬが」
「慣れてください。天に居たのであれば、今の人間界は驚くことばかりと思いますよ?」
「我らは見るしかできぬでな……」
冬弥と檪が話している間、航平も赤ちゃんを抱っこし、満更でもない顔で見ていた。
「みんなのアイドルになりそうだよね」
「隆弘さんとか子供好きそうだもんな」
「みんなが子育てしてくれるなら楽でいいわ」
「栞さん、今後なんですけど、里帰りということにして、一月こちらにいませんか?」
「え?でも……」
「急なお産でしたし、いきなり帰ると下宿の子達も疑います。あちらの手続きはしておくので、少し時間を開けてください」
「そうですよね……普通なら後一ヶ月は後ですものね……」
「はい。私も時間を作って会いに来ますので」
「どっちに?」
「雪翔、そんないじわる言わないでください」
「ねー?ちゃんと言わないお父さんは嫌だよねー」と侑弥に言うと、まだ言葉もわからないだろうに、キャッキャッと手足をばたつかせている。
「まだ一日しかたってないのに……それにお父さんじゃなくてパパです!パパ!」
「栞さんがママって言うのはわかるんだけどなぁ」
「いいじゃないかパパで。俺なんてダディって呼ばないと拗ねられるんだぞ?」
「那智さん拗ねるの?」
「もう面倒で面倒で……」
「呼んであげたらいいのに」
「だったら雪翔もパパだろ?」
「それは……小さい時だけでいいんじゃない?それよりしーちゃんは?」
「そろそろ出しましょうか。檪にも合わせておいた方がいいと思いますし」
すぐに紫狐が呼ばれ、その第一声が「ふわぁぁぁ、可愛いですー」だった。
「し、しーちゃん……」
「あ、失礼しました。天の使い様。紫狐と言います」
と、ペコペコとお辞儀をしており、それでも気になるのか侑弥を見てはほっぺに手を当てて可愛いを連呼している。
「ゆ、雪翔よ。いつもこんな感じで……」
「うん、戸惑うと思うけど、いつも楽しくしてるよ。後で翡翠や金達にも会わせるね」
「そうしてくれると有難い。全員はついていくのが大変そうだ……にしても、航平殿の周りの小さいもの……」
「航平でいいです。これは妖精?なのかな?いつも周りにいますけど、悪さはしません」
「触っても?」
「触れるんですか?」
「触ったことがないのか?」
手を伸ばし、少し触れると手の先に止まったので、みんなでまじまじと見るが、黄色い丸にしか見えず、みんなにはどう見えているのかと聞く。
「えっと、黄色の服きた羽の生えてる小さい人?」
「そうですか?黄色い花のようにも見えますが」
「ふむ、小さき人というのが当たっておる。これは我らとは異なるものとはわかるが見たことが無い」
その後航平が説明をし、檪は珍しいのかふむふむと幾つかの光に触れながら話を聞いていた。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



下宿屋 東風荘 4
浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。
天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!?
ほのぼの美味しいファンタジー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
表紙・挿絵:深月くるみ様
イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。
☆マークの話は挿絵入りです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる