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南へ__
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那智の社の裏手につき、手荷物と薬を確認してから、バッテリー持ってるな?と言われ、充電器もあると答える。
「何かあれば影を送る。それでいいか?」
「あちらで解決できることならば、父上に送ってください。そしたら裏のものが駆けつけますし、三郎と四郎なら雪翔も顔を知ってるので寄越してくるでしょう」
「一旦屋敷で休むが、その時点でうちの裏の奴もつくからな……世話係りも用意してあるが、美女と野獣どっちがいい?」
「え?野獣ってライオン?」
「人だが……周太郎くらいの大男だ」
「男性のがいいな」
「雪翔は女は嫌いなのか?」
「違うよ?車椅子だから、立ったりする時に女性だと大変でしょ?」
「なんだつまらん!」
「わ、私は安心ですよ?変な女性に雪翔君連れていかれたら嫌ですもの!」
「それ、お嫁に行かせない的に言ってません?」
「ダメですか?」
「いつかは雪翔も結婚して子供が出来て幸せになってもらわないと」
「まだまだ先です!」
「まぁ、そのくらいでいいだろ?行ってくる」
冬弥の術で繋いでもらって門をくぐる時に、手を振りながら「行ってきます!パパ、ママ!」と笑顔で言うと、何故かふたりは号泣していた。
「ね?効いたでしょ」
「お前も悪知恵が付いたな」
「だって呼んでって言うんだもん」
「親父とかお袋くらい言ってやれよ」
「言い難い……」
「意外と頑固だな」
「そんなことないよ?まだ進むの?」
「ここから次の扉が見えたら到着だ」
バッテリーがもったいないからと、車椅子を押してくれているが、叔父さんだとわかってさらに安心する。
「着いたぞ!」
開いたもんから出るとそこは見たこともないような外国の景色が広がっていた。
「雪翔……ここからが本当のお前の第一歩だ__」
(終)
※本作品は下宿屋 東風荘 4に続きます。
「何かあれば影を送る。それでいいか?」
「あちらで解決できることならば、父上に送ってください。そしたら裏のものが駆けつけますし、三郎と四郎なら雪翔も顔を知ってるので寄越してくるでしょう」
「一旦屋敷で休むが、その時点でうちの裏の奴もつくからな……世話係りも用意してあるが、美女と野獣どっちがいい?」
「え?野獣ってライオン?」
「人だが……周太郎くらいの大男だ」
「男性のがいいな」
「雪翔は女は嫌いなのか?」
「違うよ?車椅子だから、立ったりする時に女性だと大変でしょ?」
「なんだつまらん!」
「わ、私は安心ですよ?変な女性に雪翔君連れていかれたら嫌ですもの!」
「それ、お嫁に行かせない的に言ってません?」
「ダメですか?」
「いつかは雪翔も結婚して子供が出来て幸せになってもらわないと」
「まだまだ先です!」
「まぁ、そのくらいでいいだろ?行ってくる」
冬弥の術で繋いでもらって門をくぐる時に、手を振りながら「行ってきます!パパ、ママ!」と笑顔で言うと、何故かふたりは号泣していた。
「ね?効いたでしょ」
「お前も悪知恵が付いたな」
「だって呼んでって言うんだもん」
「親父とかお袋くらい言ってやれよ」
「言い難い……」
「意外と頑固だな」
「そんなことないよ?まだ進むの?」
「ここから次の扉が見えたら到着だ」
バッテリーがもったいないからと、車椅子を押してくれているが、叔父さんだとわかってさらに安心する。
「着いたぞ!」
開いたもんから出るとそこは見たこともないような外国の景色が広がっていた。
「雪翔……ここからが本当のお前の第一歩だ__」
(終)
※本作品は下宿屋 東風荘 4に続きます。
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