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南へ__
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「はい、傷の治りもいいですし、もうリハビリに入っていいでしょう」
お医者さんの許可が降りて薬ももらい、帰ってから荷物をまとめる。
「いいですか?ぜーーーーったいに、逃げるんですよ?」
「俺の親父は妖怪か?」
「みたいなものです!」
「否定出来ない自分が悔しい……」
「そんなに怖い人なの?お爺ちゃんの弟だから、お爺さんだよね?」
「お爺なんて言ったら殴られますよ?」
「え?やだ……」
「うちの母もまぁ、逃げろ……」
「僕、船だけ乗ったら帰ろうかな……」
「連絡は?」
「する訳ないだろう?」
「ですが、多分着いたら気づかれますよねぇ?」
「だろうが、まずは使いを寄越すだろう?うちの兄も今はいないしな……」
「お兄さんお仕事?」
「兄は文官なんだが、今北に行ってるはずだ。人手がどうのと手紙にあったから……」
「相変わらずのブラコン……」
「阿呆か!」
「那智の事溺愛してますからねぇ。雪翔、お兄さんの方は逃げなくていいですよ?」
「那智さんの家族って……」
「皆まで言うな!必要なものだけ持てよ?あちらにも用意はしてある」
「まさか……」
「本家が部屋を作っているのに分家が作らないわけないだろう?ここと似た作りにしてあるし、ベッドも作った。服もこちらからもう送ってあるから、本来はカバン一つでいいくらいだ」
結局小さなカバンに、巻物の写しとそれに関係するこちらの読み物。一日分の着替えだけ入れて、肩下げの鞄とお財布を持って行くことになった。
「薬は入れた?絆創膏と、ハンカチとティッシュは?」
「あるよ?」
「あ、後小分けのポーチも持った?もう入れてある?」
「栞さん、心配しすぎですよ?」
「でも……」
「大丈夫だ。本家の者に傷一つつけずに返すと約束しよう。分家とはそう言うものだ」
「那智様、雪翔君をよろしくお願いします。雪翔君、ちゃんとご挨拶してね?具合が悪くなったらちゃんと言うのよ?」
「栞もなかなかに過保護だな……いい加減雪翔って呼べ」
「もう癖で……」
「大丈夫だよ?僕もう16歳だよ?ちゃんと出来るから!」
「では社までまず飛びます」
「待って、あ、歩いていきましょう!」
「だから、過保護だって……」
「那智さん待って」と、那智に耳打ちするとにやっと笑う。
「冬弥、いい加減飛んでくれ」
お医者さんの許可が降りて薬ももらい、帰ってから荷物をまとめる。
「いいですか?ぜーーーーったいに、逃げるんですよ?」
「俺の親父は妖怪か?」
「みたいなものです!」
「否定出来ない自分が悔しい……」
「そんなに怖い人なの?お爺ちゃんの弟だから、お爺さんだよね?」
「お爺なんて言ったら殴られますよ?」
「え?やだ……」
「うちの母もまぁ、逃げろ……」
「僕、船だけ乗ったら帰ろうかな……」
「連絡は?」
「する訳ないだろう?」
「ですが、多分着いたら気づかれますよねぇ?」
「だろうが、まずは使いを寄越すだろう?うちの兄も今はいないしな……」
「お兄さんお仕事?」
「兄は文官なんだが、今北に行ってるはずだ。人手がどうのと手紙にあったから……」
「相変わらずのブラコン……」
「阿呆か!」
「那智の事溺愛してますからねぇ。雪翔、お兄さんの方は逃げなくていいですよ?」
「那智さんの家族って……」
「皆まで言うな!必要なものだけ持てよ?あちらにも用意はしてある」
「まさか……」
「本家が部屋を作っているのに分家が作らないわけないだろう?ここと似た作りにしてあるし、ベッドも作った。服もこちらからもう送ってあるから、本来はカバン一つでいいくらいだ」
結局小さなカバンに、巻物の写しとそれに関係するこちらの読み物。一日分の着替えだけ入れて、肩下げの鞄とお財布を持って行くことになった。
「薬は入れた?絆創膏と、ハンカチとティッシュは?」
「あるよ?」
「あ、後小分けのポーチも持った?もう入れてある?」
「栞さん、心配しすぎですよ?」
「でも……」
「大丈夫だ。本家の者に傷一つつけずに返すと約束しよう。分家とはそう言うものだ」
「那智様、雪翔君をよろしくお願いします。雪翔君、ちゃんとご挨拶してね?具合が悪くなったらちゃんと言うのよ?」
「栞もなかなかに過保護だな……いい加減雪翔って呼べ」
「もう癖で……」
「大丈夫だよ?僕もう16歳だよ?ちゃんと出来るから!」
「では社までまず飛びます」
「待って、あ、歩いていきましょう!」
「だから、過保護だって……」
「那智さん待って」と、那智に耳打ちするとにやっと笑う。
「冬弥、いい加減飛んでくれ」
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