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四社巡り
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帰って薬を飲み、歩行器に捕まったが、まだ足が動く感じがせずに、車椅子でトイレに行く。
車椅子のまま入れるような大きさがあるので良いのだが、なるべく入りたくはない。
ベッドに戻り、桜狐(おうこ)に知ってたか聞くと、一族のものはみんな知っているとのことだった。
「おーちゃん、僕びっくりしちゃった。南って行ったことあるの?」
「あります。とても綺麗な海辺の街でした」
「でも、那智さんの家って大名屋敷じゃないの?」
「そうですが、町並みが東と全く違います。中心街はまだ同じですが、海側は洋風の建物が沢山あります。倉庫とかも沢山」
「那智さんの家も海沿い?」
「いえ、那智様は海沿いの一角に別邸がありまして、そこに帰る時は必ず行くと聞いてます」
行くの楽しみだなぁと言うと、寝る時間ですとしっかり桜狐も桜柄のパジャマに着替えて翡翠を抱っこしている。
朝、調理場に行く前に大根を引いて新聞にくるみ持っていくと、幸さんとおばあちゃんが手伝っていた。
「幸さん?お婆ちゃん……どうしたの?」
「雪翔、元気そうねぇ。こちらにね、赤ちゃんの服を買いに来たのよ。もうすぐ生まれるし」
「まだ3ヶ月は先ですよって言ったんですけど、人間の世界って凄いですね……もう私興奮しちゃって」
「幸さん、赤ちゃんがびっくりしちゃいますよ?」
「あらやだ!でも、今回は無事に生まれそうで……」
「京弥がね、折角だからたくさん買ってきなさいって越させてくれたのよ」
「どこまで買いに行くの?」
「デパートかしら?でも沢山欲しいから安いところでいいのよねぇ」
「大型の子供服専門店あるよ?」
「そこにしようかしら。許可が一日しか降りなかったのよ。今、ちょっと物騒でねぇ」
「向こうで何かあったの?」
「大したことじゃないの。さて、大根も来たことだし作ってしまいましょうねぇ」
女3人が台所を占領しているので、冬弥は珍しく机に向かって何かを作っていた。
「何作ってるの?」
「当番表なんですけどねぇ……組み合わせをどうしようかと思いまして……」
「来てから決めるのはダメなの?」
「相性もあると思いますけど、今いる子たちと新しいこの組み合わせも考えたんです。そしたら面倒になりましてねぇ」
画用紙に場所が書いてあり、真ん中の回るところに名前を書くようになっている。小学校の当番表みたいだなと思いながら、一階と二階は大学生が多く、三階が高校生が多い。
各階で決めてもいいのではと思ったが、そうするとみんなとの交流ができないとの冬弥の配慮のようだった。
何とかグループ分けができ、ご飯を食べながら、新しいノートの説明と当番表の説明がされる。
「これで構いません?」
「良いけど、バイトの子と一緒になったらどうするの?」
「話し合ってください。朝するのか、エリア分けしてするのか」
「分かった。でも今日豪華な朝ごはんだなぁ」
「まだまだありますよ。海都君は本当によく食べてくれてお婆ちゃん嬉しいわ」
「だって美味しいんだもん。前の肉じゃがも美味しかったよ!」
「ほほほ」
「母上……」
「なぁに?」
「作りすぎです……私の仕事がなくなりますから」
「今日のあなたの仕事は荷物持ちよ?」
「那智も連れていきます?」
「あら、もう話したの?」
「ええ、みんなは知りませんけど叔父に変わりはないでしょう?」
「じゃあ、呼んでちょうだい」
車椅子のまま入れるような大きさがあるので良いのだが、なるべく入りたくはない。
ベッドに戻り、桜狐(おうこ)に知ってたか聞くと、一族のものはみんな知っているとのことだった。
「おーちゃん、僕びっくりしちゃった。南って行ったことあるの?」
「あります。とても綺麗な海辺の街でした」
「でも、那智さんの家って大名屋敷じゃないの?」
「そうですが、町並みが東と全く違います。中心街はまだ同じですが、海側は洋風の建物が沢山あります。倉庫とかも沢山」
「那智さんの家も海沿い?」
「いえ、那智様は海沿いの一角に別邸がありまして、そこに帰る時は必ず行くと聞いてます」
行くの楽しみだなぁと言うと、寝る時間ですとしっかり桜狐も桜柄のパジャマに着替えて翡翠を抱っこしている。
朝、調理場に行く前に大根を引いて新聞にくるみ持っていくと、幸さんとおばあちゃんが手伝っていた。
「幸さん?お婆ちゃん……どうしたの?」
「雪翔、元気そうねぇ。こちらにね、赤ちゃんの服を買いに来たのよ。もうすぐ生まれるし」
「まだ3ヶ月は先ですよって言ったんですけど、人間の世界って凄いですね……もう私興奮しちゃって」
「幸さん、赤ちゃんがびっくりしちゃいますよ?」
「あらやだ!でも、今回は無事に生まれそうで……」
「京弥がね、折角だからたくさん買ってきなさいって越させてくれたのよ」
「どこまで買いに行くの?」
「デパートかしら?でも沢山欲しいから安いところでいいのよねぇ」
「大型の子供服専門店あるよ?」
「そこにしようかしら。許可が一日しか降りなかったのよ。今、ちょっと物騒でねぇ」
「向こうで何かあったの?」
「大したことじゃないの。さて、大根も来たことだし作ってしまいましょうねぇ」
女3人が台所を占領しているので、冬弥は珍しく机に向かって何かを作っていた。
「何作ってるの?」
「当番表なんですけどねぇ……組み合わせをどうしようかと思いまして……」
「来てから決めるのはダメなの?」
「相性もあると思いますけど、今いる子たちと新しいこの組み合わせも考えたんです。そしたら面倒になりましてねぇ」
画用紙に場所が書いてあり、真ん中の回るところに名前を書くようになっている。小学校の当番表みたいだなと思いながら、一階と二階は大学生が多く、三階が高校生が多い。
各階で決めてもいいのではと思ったが、そうするとみんなとの交流ができないとの冬弥の配慮のようだった。
何とかグループ分けができ、ご飯を食べながら、新しいノートの説明と当番表の説明がされる。
「これで構いません?」
「良いけど、バイトの子と一緒になったらどうするの?」
「話し合ってください。朝するのか、エリア分けしてするのか」
「分かった。でも今日豪華な朝ごはんだなぁ」
「まだまだありますよ。海都君は本当によく食べてくれてお婆ちゃん嬉しいわ」
「だって美味しいんだもん。前の肉じゃがも美味しかったよ!」
「ほほほ」
「母上……」
「なぁに?」
「作りすぎです……私の仕事がなくなりますから」
「今日のあなたの仕事は荷物持ちよ?」
「那智も連れていきます?」
「あら、もう話したの?」
「ええ、みんなは知りませんけど叔父に変わりはないでしょう?」
「じゃあ、呼んでちょうだい」
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