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四社巡り
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「なんだか切ない遊びですねぇ」
「そう?みんなゲームしてる時話してなかったし、そんなものかなって思ってた」
「雪翔、幼稚園からやり直してくるか?」
「ちびだからって那智さん酷い……」
「会話だ会話」
「でも、いじめられた時に横にいてくれるだけで安心できたんだ。突然いなくなって寂しくて……」
「幼なじみと再開とは良いですねぇ」
「冬弥さん達は幼なじみとかいないの?」
そう言うと二人がお互いを指さしているので、栞と二人で叫んでしまった。
「だって、東と南って……」
「実はですねぇ。本当に雪翔の叔父さんにあたるんですよ」
「冬弥様?」
「私の父の弟が南に行くことになりまして、そこで結婚して生まれたのが那智です」
「おい!」
「そろそろ隠さなくてもいいでしょう?」
「隠すって?」
「天狐の親戚ともなれば狙われやすくなります。なので普通は普段から素性は隠すんですよ」
「そうだったの?だから優しくしてくれたの?」
「俺の可愛い甥っ子だから当たり前だ!」
「だから、南に遊びに行くのも反対しなかったんだ」
「そういう事です。それに那智も次男なのであまり縛りもありませんし、何より本家は家ですからねぇ」
「まぁな。俺の父が兄なら南が本家だったが、うちの一族はあまり拘らないんだ。で、冬弥のような放蕩息子が出来たと」
「那智は硬いですからねぇ。それに、上学校で同じ学校だったじゃないですか」
「お前は飄々と昼寝ばかりしていたのに、首席だったのが気に入らん!」
「学年は違うじゃないですか」
「関係ない」
「那智もお利口さんでしたよ?」
「その言い方をやめろ!全く……お前が引き取らなかったら俺が雪翔を引き取ってたところだ」
「え?那智さんならパパって感じ」
「雪翔ー!なんで?何でですか?」
「冬弥さんはイメージが着物だからお父さんぽいけど、那智さんは20代後半にしか見えないからパパ?」
「負けた……」
「勝った!」
「お二人共、何争ってるんですか?嫁の私にくらい教えておいてくださいよ!心臓が鼻から出るかと思いました」
「栞さん、それ口だから……」
「あら、やだ!」
「他のものには内緒にしておいてくださいよ?」
「だが、天狐の戸籍上調べはついてるんだろう?」
「ええ。なのであと一席の天狐の座は那智が有力ですよ?今の所」
「次の千年はまだ居ないのか?」
「聞きませんねぇ」
「後200年か……」
「すぐですよ」
「その頃僕もういないよ……」
撫で撫で撫で撫で……
「さて、雪翔は薬飲んでください、紫狐は今日は戻って桜狐と変わってください。凛も戻っていいですよ」
「そっか!だから冬弥さんの言うこと聞くんだ!」
「はい?」
「冬弥さんの家が本家だから、分家は言うことを聞くって事?」
「まぁ。それはありますけど、個々の契約でもありますからねぇ。那智の狐は私には逆らいません。天狐だからというのもあります。それよりも昔からいたので、余計に絆ができてますから聞いてくれるですよ」
「へぇ」
「栞さんの言うことは那智さんの狐は聞くの?」
「聞くように言ってある。従兄弟の嫁だからな」
「と言うことで、もう父の前でも他人のフリはしなくて構いませんよ?」
「最初からしておいてくれ!」
「そう?みんなゲームしてる時話してなかったし、そんなものかなって思ってた」
「雪翔、幼稚園からやり直してくるか?」
「ちびだからって那智さん酷い……」
「会話だ会話」
「でも、いじめられた時に横にいてくれるだけで安心できたんだ。突然いなくなって寂しくて……」
「幼なじみと再開とは良いですねぇ」
「冬弥さん達は幼なじみとかいないの?」
そう言うと二人がお互いを指さしているので、栞と二人で叫んでしまった。
「だって、東と南って……」
「実はですねぇ。本当に雪翔の叔父さんにあたるんですよ」
「冬弥様?」
「私の父の弟が南に行くことになりまして、そこで結婚して生まれたのが那智です」
「おい!」
「そろそろ隠さなくてもいいでしょう?」
「隠すって?」
「天狐の親戚ともなれば狙われやすくなります。なので普通は普段から素性は隠すんですよ」
「そうだったの?だから優しくしてくれたの?」
「俺の可愛い甥っ子だから当たり前だ!」
「だから、南に遊びに行くのも反対しなかったんだ」
「そういう事です。それに那智も次男なのであまり縛りもありませんし、何より本家は家ですからねぇ」
「まぁな。俺の父が兄なら南が本家だったが、うちの一族はあまり拘らないんだ。で、冬弥のような放蕩息子が出来たと」
「那智は硬いですからねぇ。それに、上学校で同じ学校だったじゃないですか」
「お前は飄々と昼寝ばかりしていたのに、首席だったのが気に入らん!」
「学年は違うじゃないですか」
「関係ない」
「那智もお利口さんでしたよ?」
「その言い方をやめろ!全く……お前が引き取らなかったら俺が雪翔を引き取ってたところだ」
「え?那智さんならパパって感じ」
「雪翔ー!なんで?何でですか?」
「冬弥さんはイメージが着物だからお父さんぽいけど、那智さんは20代後半にしか見えないからパパ?」
「負けた……」
「勝った!」
「お二人共、何争ってるんですか?嫁の私にくらい教えておいてくださいよ!心臓が鼻から出るかと思いました」
「栞さん、それ口だから……」
「あら、やだ!」
「他のものには内緒にしておいてくださいよ?」
「だが、天狐の戸籍上調べはついてるんだろう?」
「ええ。なのであと一席の天狐の座は那智が有力ですよ?今の所」
「次の千年はまだ居ないのか?」
「聞きませんねぇ」
「後200年か……」
「すぐですよ」
「その頃僕もういないよ……」
撫で撫で撫で撫で……
「さて、雪翔は薬飲んでください、紫狐は今日は戻って桜狐と変わってください。凛も戻っていいですよ」
「そっか!だから冬弥さんの言うこと聞くんだ!」
「はい?」
「冬弥さんの家が本家だから、分家は言うことを聞くって事?」
「まぁ。それはありますけど、個々の契約でもありますからねぇ。那智の狐は私には逆らいません。天狐だからというのもあります。それよりも昔からいたので、余計に絆ができてますから聞いてくれるですよ」
「へぇ」
「栞さんの言うことは那智さんの狐は聞くの?」
「聞くように言ってある。従兄弟の嫁だからな」
「と言うことで、もう父の前でも他人のフリはしなくて構いませんよ?」
「最初からしておいてくれ!」
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