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カラカラカラ
「隆弘がこんなにいい子だったとはねぇ」
「冬弥さん!聞いてたの?」
「聞こえたんです!確かに揉めましたよ?ですが、こちらのルールに文句があるのならお断りですからねぇ」
「そう、それ追加になったんだよ」
「特に厳しくないよね?」
「当たり前のこと書いてあるだけですよ?増えたのは、朝食、夕食がボードに書いてない場合、時間内に来ない場合は自己責任でお願いしますとか……私達も食べさせないとは言ってませんし、学校の時間に間に合うように作ってますからねぇ。後は食器の片付けの代わりに持ち回りで廊下や玄関掃除。理由もなくしない、又は人にやらせるなどした場合罰金一万円とか?」
「怒らせるルールないの?」
「ありませんよ?未成年の飲酒とタバコは即退去ですが、門限を三度破っても退去です。ボードに書くのは慣れるまで仕方ありませんが、食事も本人にいらないと言われれば作らないだけですから、あとは自室でパンでもかじってなさいって事です。それを遅れても必ず食べさせろだの、男の子なんだからと門限くらい……学校も子供が考えていくからと言う親は全てダメと言いましたよ?なので、これからノートの方に付けてもらうことにしました。これで証拠が残りますからねぇって隆弘のアドバイスですけどね。パソコンで作ったので、雪翔の部屋のコピー機で印刷します」
「うん。あ、紙は本棚にあるよ?ファイルも予備があるから使って」
撫で撫で撫で……
「冬弥さん……僕にかつら買ってくれる?」
「禿げませんよ?」
「それで、部屋埋まったんですか?」
「ええ、礼金でがっぽり……いえいえ、満室です」
「冬弥さん……心の声が……」
パパって呼ばないよ?とボソッといえばピタッと止まる。
「敷金2ヶ月、礼金2ヶ月なので、綺麗に使ってくれれば敷金はクリーニング代のみで返せます」
「他はどんな子?」
「1人は金髪のこで、他は至って平凡ですねぇ。ちょっとわからない子が2人います」
「分からないって?高校生?」
「隆弘たちは見てないですねぇ、なんと言うか……見た感じは普通の元気な子ですよ?挨拶もちゃんとできますし、高校は学ランの高校の子です。推薦だと言ってましたから、中学では成績も良かったと思いますよ?ただ、時折目つきがねぇ……」
「それ、高校デビューするんじゃない?」
「かも知れませんけど、それならそれで下宿でちゃんとしててくれたら後は保護者の管轄です。私に責任をとれと言われても、ルールを守っている限り言えませんから。もうひとりの子が分からないんですよ」
「冬弥さん、なんでわからない子いれたの?」
「面白そうだから?」
「だと思った。俺達はいいけどさ、食堂での飲酒は?」
「特に問題ないですよ?場所は食堂と決まってますから。談話室は自販機のものまでですねぇ」
「いつくるのかな?」
「雪翔が帰ってくる頃には結構集まってると思いますよ?」
「どこか行くのか?」
「退院したら、那智さんが遊びに連れてってくれるんだ」
「へぇ、いいなぁ。俺も遊びに行きたい!」
「あれ?この1年は司法試験の勉強って言ってませんでした?」
「しますよ?バイトの傍ら。家庭教師はもう辞めるので、コンビニだけ週五日入りますけど。許可もらったんで、週に三日夜勤です。夜22:00からだから、飯はいりますけど」
「学校は?」
「もう単位もあるから後は論文とかで終わりです。あとは就職面接ばかり……スーツも買わないといけないし、出費が……」
「スーツ那智さんに選んでもらえば?いつもスーツだから詳しそう」
「恐れ多い!」
「は?」
「着物は冬弥さん、スーツは那智さんが詳しそうだけど、安いリクルートスーツでとりあえずいいよ」
「馬鹿か?お前は!最初のイメージが大事なんだろう?着こなし方によっては、カジュアルにもフォーマルにもなるスーツだぞ?安物を選ぶな」
「那智さん迄いつからいたの?」
「スーツの前だ。お前サイズは?」
とジロジロと見たあとに、ちょっと待ってろと電話をかけに行く。
三十分ほど待つと、運転手に扮した狐がスーツケースを持ってきて、「ほとんど着てなくてクリーニング済みだ、やる」とトランクごと隆弘に渡す。
「いや、でも……」
「法律事務所だろう?」
「はい。見習いでもいいので……」
「公務員はやめたのか?」
「雪翔の事があって決めました」
「スーツはこれだけあれば着回せるだろう?シャツとネクタイ、靴はいいのを買え」
「あ、ありがとうございます!」
これでまた那智信者に磨きがかかったと思い、キラキラした目でスーツを見ている。
「隆弘がこんなにいい子だったとはねぇ」
「冬弥さん!聞いてたの?」
「聞こえたんです!確かに揉めましたよ?ですが、こちらのルールに文句があるのならお断りですからねぇ」
「そう、それ追加になったんだよ」
「特に厳しくないよね?」
「当たり前のこと書いてあるだけですよ?増えたのは、朝食、夕食がボードに書いてない場合、時間内に来ない場合は自己責任でお願いしますとか……私達も食べさせないとは言ってませんし、学校の時間に間に合うように作ってますからねぇ。後は食器の片付けの代わりに持ち回りで廊下や玄関掃除。理由もなくしない、又は人にやらせるなどした場合罰金一万円とか?」
「怒らせるルールないの?」
「ありませんよ?未成年の飲酒とタバコは即退去ですが、門限を三度破っても退去です。ボードに書くのは慣れるまで仕方ありませんが、食事も本人にいらないと言われれば作らないだけですから、あとは自室でパンでもかじってなさいって事です。それを遅れても必ず食べさせろだの、男の子なんだからと門限くらい……学校も子供が考えていくからと言う親は全てダメと言いましたよ?なので、これからノートの方に付けてもらうことにしました。これで証拠が残りますからねぇって隆弘のアドバイスですけどね。パソコンで作ったので、雪翔の部屋のコピー機で印刷します」
「うん。あ、紙は本棚にあるよ?ファイルも予備があるから使って」
撫で撫で撫で……
「冬弥さん……僕にかつら買ってくれる?」
「禿げませんよ?」
「それで、部屋埋まったんですか?」
「ええ、礼金でがっぽり……いえいえ、満室です」
「冬弥さん……心の声が……」
パパって呼ばないよ?とボソッといえばピタッと止まる。
「敷金2ヶ月、礼金2ヶ月なので、綺麗に使ってくれれば敷金はクリーニング代のみで返せます」
「他はどんな子?」
「1人は金髪のこで、他は至って平凡ですねぇ。ちょっとわからない子が2人います」
「分からないって?高校生?」
「隆弘たちは見てないですねぇ、なんと言うか……見た感じは普通の元気な子ですよ?挨拶もちゃんとできますし、高校は学ランの高校の子です。推薦だと言ってましたから、中学では成績も良かったと思いますよ?ただ、時折目つきがねぇ……」
「それ、高校デビューするんじゃない?」
「かも知れませんけど、それならそれで下宿でちゃんとしててくれたら後は保護者の管轄です。私に責任をとれと言われても、ルールを守っている限り言えませんから。もうひとりの子が分からないんですよ」
「冬弥さん、なんでわからない子いれたの?」
「面白そうだから?」
「だと思った。俺達はいいけどさ、食堂での飲酒は?」
「特に問題ないですよ?場所は食堂と決まってますから。談話室は自販機のものまでですねぇ」
「いつくるのかな?」
「雪翔が帰ってくる頃には結構集まってると思いますよ?」
「どこか行くのか?」
「退院したら、那智さんが遊びに連れてってくれるんだ」
「へぇ、いいなぁ。俺も遊びに行きたい!」
「あれ?この1年は司法試験の勉強って言ってませんでした?」
「しますよ?バイトの傍ら。家庭教師はもう辞めるので、コンビニだけ週五日入りますけど。許可もらったんで、週に三日夜勤です。夜22:00からだから、飯はいりますけど」
「学校は?」
「もう単位もあるから後は論文とかで終わりです。あとは就職面接ばかり……スーツも買わないといけないし、出費が……」
「スーツ那智さんに選んでもらえば?いつもスーツだから詳しそう」
「恐れ多い!」
「は?」
「着物は冬弥さん、スーツは那智さんが詳しそうだけど、安いリクルートスーツでとりあえずいいよ」
「馬鹿か?お前は!最初のイメージが大事なんだろう?着こなし方によっては、カジュアルにもフォーマルにもなるスーツだぞ?安物を選ぶな」
「那智さん迄いつからいたの?」
「スーツの前だ。お前サイズは?」
とジロジロと見たあとに、ちょっと待ってろと電話をかけに行く。
三十分ほど待つと、運転手に扮した狐がスーツケースを持ってきて、「ほとんど着てなくてクリーニング済みだ、やる」とトランクごと隆弘に渡す。
「いや、でも……」
「法律事務所だろう?」
「はい。見習いでもいいので……」
「公務員はやめたのか?」
「雪翔の事があって決めました」
「スーツはこれだけあれば着回せるだろう?シャツとネクタイ、靴はいいのを買え」
「あ、ありがとうございます!」
これでまた那智信者に磨きがかかったと思い、キラキラした目でスーツを見ている。
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