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手術
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冬弥は新しい人が数組見に来る対応と、審査で残った人の中での選別をしているとの事で、今日は下宿に一日居るという。
「そんなに見に来てるの?」
「殆どが親だけだけどね。手付金を払って早い者勝ちではないって書いてもらってあるのに、早い者勝ちみたいになってて困ってるみたい。今迄一人で決めてやってきたから、せめて自分で選びたいって言ってたけど、不動産屋さんも管理費とか手数料が入るから早く決めてほしいみたい」
「他のみんなと仲良く出来る人がいいなぁ」
「そうね、でも、今日だいたい決まるみたいよ?高校生でも違う下宿からこっちに来たいって子もいるみたいだし。でもうちはルールがあるじゃない。今は掃除の当番になったけど。他の下宿はあまり無かったみたいで、この前ちょっと揉めちゃって……ってごめんなさい。病人の雪翔君に話すことじゃないわね」
「大丈夫だよ。だって僕も朝や夜は関わる人だもん」
「今、狐たちにも調べさせてるんですって」
「どんな事?」
「その子供の性格とかかな?家と外では違うって聞くし、預かる子だから特に気を使うみたいよ?」
「紫狐はそのお話知ってますー。大変なんです、一日その子供追いかけ回すの」
「追いかけ回す?」
「水狐が一度興奮して帰ってきたことがあります。学校でとてもいい子なのに、学校の外ではえーと、『カツ丼』をして『げーせんべい』に行って、バイトとか嘘ついて門限ギリギリに帰ってくる子がいたそうです。その下宿の前で服を整えて入っていったそうで、部屋で『ちょろいな』と言ってたそうです」
「しーちゃん……それ、カツアゲ、ゲーセンだよ?ちょろいって本当に言うんだ……」
「下宿と学校ではいい子って子が多いのよ。親はそれを知らないから早い者勝ちにもできなくて」
「もう締め切ったら?じゃないと冬弥さんが持たないよ?」
「そうなのです!紫狐たちが言っても冬弥様は聞かないのです」
「私でもダメね。冬弥様頑固なんですもの」
「お爺ちゃんに似たのかな?」
「おばあ様にも似てると思ったんだけど」
「し、紫狐は御館様が怒った時が怖いですー」
お昼を食べたあと、栞がいちごを洗ってくれたのでみんなで分けて食べる。
「あとねぇ、堀内さんと賢司君なんだけど、卒業以降もいるから、ほかの親が怒っちゃって。冬弥様が前の下宿から居る人で、学校関係者だから保護者の方も安心でしょう?って少し術を使ってたの。もう、冷や冷やして。あと、部屋に冷蔵庫あるから未成年でもお酒持ち込めるからどうのこうのと……なら家から通わせればいいじゃない!って怒りそうになっちゃった」
「栞さん、何かあった?」
「何にもないわよ?ただ、私たち社の狐は人間の善意にも悪意とかに敏感なの。それでかなぁ?ねっ、アイス食べちゃわない?」
「あ、凛ちゃんに一つあげたんだ」
「そうなんだ。凛ちゃんは何味が好きなの?」
「も、桃……です」
「じゃあ今度は桃買ってくるわね」
最後のアイスをみんなで食べて、そのあと体を拭いてもらう。
「頭も洗えたらいいんだけど」
「頼んでみようかな?」
「看護士さんに?」
「うん。でももうすぐ抜糸でしょ?そしたらシャワーいいって言ってたし。我慢しようかな」
「そんなに見に来てるの?」
「殆どが親だけだけどね。手付金を払って早い者勝ちではないって書いてもらってあるのに、早い者勝ちみたいになってて困ってるみたい。今迄一人で決めてやってきたから、せめて自分で選びたいって言ってたけど、不動産屋さんも管理費とか手数料が入るから早く決めてほしいみたい」
「他のみんなと仲良く出来る人がいいなぁ」
「そうね、でも、今日だいたい決まるみたいよ?高校生でも違う下宿からこっちに来たいって子もいるみたいだし。でもうちはルールがあるじゃない。今は掃除の当番になったけど。他の下宿はあまり無かったみたいで、この前ちょっと揉めちゃって……ってごめんなさい。病人の雪翔君に話すことじゃないわね」
「大丈夫だよ。だって僕も朝や夜は関わる人だもん」
「今、狐たちにも調べさせてるんですって」
「どんな事?」
「その子供の性格とかかな?家と外では違うって聞くし、預かる子だから特に気を使うみたいよ?」
「紫狐はそのお話知ってますー。大変なんです、一日その子供追いかけ回すの」
「追いかけ回す?」
「水狐が一度興奮して帰ってきたことがあります。学校でとてもいい子なのに、学校の外ではえーと、『カツ丼』をして『げーせんべい』に行って、バイトとか嘘ついて門限ギリギリに帰ってくる子がいたそうです。その下宿の前で服を整えて入っていったそうで、部屋で『ちょろいな』と言ってたそうです」
「しーちゃん……それ、カツアゲ、ゲーセンだよ?ちょろいって本当に言うんだ……」
「下宿と学校ではいい子って子が多いのよ。親はそれを知らないから早い者勝ちにもできなくて」
「もう締め切ったら?じゃないと冬弥さんが持たないよ?」
「そうなのです!紫狐たちが言っても冬弥様は聞かないのです」
「私でもダメね。冬弥様頑固なんですもの」
「お爺ちゃんに似たのかな?」
「おばあ様にも似てると思ったんだけど」
「し、紫狐は御館様が怒った時が怖いですー」
お昼を食べたあと、栞がいちごを洗ってくれたのでみんなで分けて食べる。
「あとねぇ、堀内さんと賢司君なんだけど、卒業以降もいるから、ほかの親が怒っちゃって。冬弥様が前の下宿から居る人で、学校関係者だから保護者の方も安心でしょう?って少し術を使ってたの。もう、冷や冷やして。あと、部屋に冷蔵庫あるから未成年でもお酒持ち込めるからどうのこうのと……なら家から通わせればいいじゃない!って怒りそうになっちゃった」
「栞さん、何かあった?」
「何にもないわよ?ただ、私たち社の狐は人間の善意にも悪意とかに敏感なの。それでかなぁ?ねっ、アイス食べちゃわない?」
「あ、凛ちゃんに一つあげたんだ」
「そうなんだ。凛ちゃんは何味が好きなの?」
「も、桃……です」
「じゃあ今度は桃買ってくるわね」
最後のアイスをみんなで食べて、そのあと体を拭いてもらう。
「頭も洗えたらいいんだけど」
「頼んでみようかな?」
「看護士さんに?」
「うん。でももうすぐ抜糸でしょ?そしたらシャワーいいって言ってたし。我慢しようかな」
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