下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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「また読んだら新しいの貸すって言ってたからラインしたらいいよ」

「うん」

「頑張れよ」と肩をポンポンと叩かれる。

「じゃあ、荷物は前と同じところに入れたから」

その後熱も引いて説明会と校舎案内で外出し、校内を見て回る。

「スロープもありますし、トイレも車椅子用がありますし、大丈夫そうですねぇ」

「教室の机少ないね……」

「通信でも夜間の部ですからねぇ」

「でも、バス停も近いしエレベーターも付いてるから一人でも大丈夫だよ」

「最初は狐を見に行かせるからな」

「那智さん心配しすぎだよ」

「前もそう言って大丈夫じゃなかったろう?それに夜の部はお前と同年代はほとんどいない」

「分かってる……」

「だったら尚更だ!」

「私でもつけますよ?栞さんの狐もついていくと見てますけど、四匹も五匹もいたら勘のいい人は気づくでしょうから、毎日交代ですねぇ」

校舎も見て安心し、すぐに傍聴の日になった。

「前と場所が違うよ?」

「判決だけですからねぇ」

弁護士の先生と今後のために見ておきたいと隆弘と那智が来て、席に座る。

判決は言い渡しがあっただけで済んだ。

「少年刑務所ですか……」
「ふん!当たり前だ!」

那智たちが話している間、可愛そうな事をしたかもと考える。

退席との声で前を見ると手錠に繋がれた元同級生に睨まれ頭がくらくらするのをこらえる。

「雪翔?大丈夫か?」

「え?うん……」

帰りに喫茶店によって、相手の出所後に逆恨みで狙われることもあると聞く。

「では、また何かございましたら連絡下さい」

「先生ありがとうございました」

頭を下げ先生を見送ってから病院に戻る。

「夜の21:00から飲み食いできませんから、なにか今のうちに食べたいものあります?」

「特には……あ!麻酔が切れて食べれるようになったら、アイス食べたい」

「分かりました。手術室の前にいますから怖くないですからね?今夜はゆっくり寝るんですよ?」

「うん……翡翠たち預かって」

「はい。でも明日ギリギリまで一緒にいたらどうです?」

「夜に薬飲むって言ってたし。だから先に見ててほしいんだけど」

「分かりました。後これを……」

「御守り?」

「下宿のみんなからです。栞さんも明日来ますからね」

「隆弘さんと先に帰ったけど、忙しくないの?」

「みんなご飯は各自でしてくれるそうですよ?それに、今も洗い物が無い分廊下と玄関、各階の交流場の掃除は持ち回りですから慣れてますよあの子達も」

「みんなに感謝しなくちゃ」

「そうですねぇ。元気になることが一番ですよ」

「その通りだな。それにお前は色々と考えすぎだ。まぁ、もっと気楽に考えろ」

「うん」

「気も使いすぎですよ?もっと甘えてください。と言うことでパパって呼ぶのは……」
「やだ……」

「冬弥……まだ諦めてなかったのか?」

「いいじゃないですか減るものでもないですし」

「パパって小学生くらいまでじゃないの?」

「そうなんですか?ママって呼んだら栞さんも喜びますよ?」

「恥ずかしいよ……」
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