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手術
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すぐに夜間の診察室に呼ばれ、体温を計られてから足のレントゲンなどをとる。
撮るのにはなれたが、結果を聞くのが怖い。
「かなり熱があるのに体が冷えきってます。足の方は当直で先生がいますので変わります。熱冷ましの薬は出せるんですが、夜間なので三日分しか出せませんので、また昼に来てもらうことになりますが、もう少し待っていただければ担当医が来ますので……」
と言ったところで冬弥が術をかけたのがわかる。すぐにいつもの先生が来て足の状態を診てくれるが、あまりいい顔をしていない。
説明は僕も聞く!と言い張ったが、まずは家族にと言われ秋彪が外の待合室で付いててくれる。
「なんか飲むか?」
待合室にある自販機の前で小銭を取り出し、秋彪は炭酸飲料を。暖かいお茶が良かったのかもしれないが、喉が渇くので水を買ってもらう。
「なぁ、足……だけど。つかまって歩いてたって言ってたよな?」
「うん」
「痛みとかなかったのか?」
「右足が動きにくいとは思ってたけど、寒いのと前が見えないので焦っちゃって……帰らなきゃってので必死だった……」
「そうか……あ、お前、那智から札渡されてなかったか?」
「鞄に入ってる」
「それ使えば那智の影なり那智がきたのに」
「え?でもこの札は変なモノから身を守るものじゃ無いの?」
「それもあるが、使えば那智に伝わる。今度から使えよ?これも渡しておく」
そう言って木製の札が入っているというお守りをもらう。
「それ握って呼べ。俺か影が行くから」
「ありがとう……」
「なに、昔の稲荷の礼だ。気にすんな」
パタパタと外が慌ただしくなり、冬弥たちが戻ってきて検査入院と言われる。
「検査?」
「足の関節と腰……精密検査をします。熱は雨に打たれた事もありますけど、車椅子から落ちた時に足を打ってるでしょう?そこから来てるかも知れないということです。治すためですから我慢してくださいね?」
「はい……」
「すまん、俺がちゃんとした車椅子持ってこさせれていたらこんな事にはならなかった」
「そんな!那智さんのせいじゃ……」
「那智のせいですねぇ」
「那智だな!」
「私は微妙です!」
「みんな責めないでよ……お願い。僕検査受けるから。それと、入院中のパンフレットで見たんだけど、寝巻きやタオルとかレンタルできるみたい。少しの入院ならそれでいいよ?」
「そうですねぇ。ならそれでしましょうか」
部屋はまたもや術を使ったのか個室で、かなり広い。
「私達は帰らないといけないのですが、明日また来ます。那智の狐を置いていきますから、こき使っていいですよ?」
「煌輝と凛だ。使いに出す時は煌輝のが早い。本でも持ってくるか?」
いくつかの本を頼んでから病室に入り、明日の朝に説明があるというので点滴をされ寝るように言われる。
一旦みんなが帰ったあと、寝付けずにボーッとしていると、珍しく煌輝が話しかけてきた。
「主が申し訳ないことをしました」
「え?那智さんのせいじゃないよ?あれはたまたま車椅子の調子が悪かったんだし、それに試作品だって言ってたから気にしないでよ」
「ですが……」
「僕も、札の使い方わからなかったのも行けなかったんだ。誰のせいでもないからね?」
「ならば良いのですが……」
「もしかして那智さん気にしてるのかな?」
「落ち込んでるというよりは、車椅子の会社で試作品をもらってきたことに……」
「気にしなくていいのにな……歩いて帰ろうとか自分でしたことだから誰のせいでもないんだよね」
「私がある程度の回復はできますが、気の回りが違うので時間がかかります」
「ありがとう凛ちゃん、凛ちゃんも無理しないでね?」
撮るのにはなれたが、結果を聞くのが怖い。
「かなり熱があるのに体が冷えきってます。足の方は当直で先生がいますので変わります。熱冷ましの薬は出せるんですが、夜間なので三日分しか出せませんので、また昼に来てもらうことになりますが、もう少し待っていただければ担当医が来ますので……」
と言ったところで冬弥が術をかけたのがわかる。すぐにいつもの先生が来て足の状態を診てくれるが、あまりいい顔をしていない。
説明は僕も聞く!と言い張ったが、まずは家族にと言われ秋彪が外の待合室で付いててくれる。
「なんか飲むか?」
待合室にある自販機の前で小銭を取り出し、秋彪は炭酸飲料を。暖かいお茶が良かったのかもしれないが、喉が渇くので水を買ってもらう。
「なぁ、足……だけど。つかまって歩いてたって言ってたよな?」
「うん」
「痛みとかなかったのか?」
「右足が動きにくいとは思ってたけど、寒いのと前が見えないので焦っちゃって……帰らなきゃってので必死だった……」
「そうか……あ、お前、那智から札渡されてなかったか?」
「鞄に入ってる」
「それ使えば那智の影なり那智がきたのに」
「え?でもこの札は変なモノから身を守るものじゃ無いの?」
「それもあるが、使えば那智に伝わる。今度から使えよ?これも渡しておく」
そう言って木製の札が入っているというお守りをもらう。
「それ握って呼べ。俺か影が行くから」
「ありがとう……」
「なに、昔の稲荷の礼だ。気にすんな」
パタパタと外が慌ただしくなり、冬弥たちが戻ってきて検査入院と言われる。
「検査?」
「足の関節と腰……精密検査をします。熱は雨に打たれた事もありますけど、車椅子から落ちた時に足を打ってるでしょう?そこから来てるかも知れないということです。治すためですから我慢してくださいね?」
「はい……」
「すまん、俺がちゃんとした車椅子持ってこさせれていたらこんな事にはならなかった」
「そんな!那智さんのせいじゃ……」
「那智のせいですねぇ」
「那智だな!」
「私は微妙です!」
「みんな責めないでよ……お願い。僕検査受けるから。それと、入院中のパンフレットで見たんだけど、寝巻きやタオルとかレンタルできるみたい。少しの入院ならそれでいいよ?」
「そうですねぇ。ならそれでしましょうか」
部屋はまたもや術を使ったのか個室で、かなり広い。
「私達は帰らないといけないのですが、明日また来ます。那智の狐を置いていきますから、こき使っていいですよ?」
「煌輝と凛だ。使いに出す時は煌輝のが早い。本でも持ってくるか?」
いくつかの本を頼んでから病室に入り、明日の朝に説明があるというので点滴をされ寝るように言われる。
一旦みんなが帰ったあと、寝付けずにボーッとしていると、珍しく煌輝が話しかけてきた。
「主が申し訳ないことをしました」
「え?那智さんのせいじゃないよ?あれはたまたま車椅子の調子が悪かったんだし、それに試作品だって言ってたから気にしないでよ」
「ですが……」
「僕も、札の使い方わからなかったのも行けなかったんだ。誰のせいでもないからね?」
「ならば良いのですが……」
「もしかして那智さん気にしてるのかな?」
「落ち込んでるというよりは、車椅子の会社で試作品をもらってきたことに……」
「気にしなくていいのにな……歩いて帰ろうとか自分でしたことだから誰のせいでもないんだよね」
「私がある程度の回復はできますが、気の回りが違うので時間がかかります」
「ありがとう凛ちゃん、凛ちゃんも無理しないでね?」
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