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手術
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熱も出ていなかったが、体が冷えているので一日ゆっくりと休むようにと言われ、ベッドに入れられる。
帰ってきた栞はまたシクシクと泣いてしまい、体が温まるようにとスープを持ってきてくれた。
「熱いから気をつけてね。携帯は明日冬弥様がショップに持っていってくれるって」
「うん」
「雨の日は今度から冬弥様が送っていくって言ってたわ」
「少しの雨なら登れてたんだよ?今まで……途中で動かなくなっちゃって」
「元の車椅子が戻ってくるまで我慢ね。あれも返すって那智様が持っていったけど」
「いつ?」
「ついさっきだけど」
「またメーカーさんに文句言うよ……どうしよう」
「試作だったし、少しは文句言ってもいいのかもって私も思うけど。それより足は痛くない?」
「まだ冷えてて感覚があまりないんだ。暖まれば大丈夫だと思う」
「そう?私少し手伝いに行ってくるけど、その後は冬弥様が代わりにこっちに来てくれるから、寝てないとダメよ?」
「うん」
そのまま寝てしまったようで、起きたらものすごく寒いのに体が熱く、結局熱が出てしまった。
「熱、高いですねぇ。桜狐に治療させますけど、おかしな所はないですか?」
「足が……」
「ちょっと見せてください」
打ったのか紫になっているところもあり、足の付け根の部分は紫色になっていた。
「明日病院行きましょう」
「やだ……」
「やだって、熱もあるので薬が必要ですし、この足も歩いてる時に負担がかかったのかも知れませんし……見てもらわないと」
「だっていつもこういった時に入院とかなるから……」
「雪翔、私が治すと言った時になんて言いました?」
「自分で頑張る……」
「そうです。だから、頑張ってきたのでしょう?もし入院になっても、自宅に帰れてリハビリになるとしても、私と栞さん。そして他のみんなも応援してくれてます。それを嫌だからとの理由で辞めてしまうのですか?」
「それは……」
「今すぐ行く方が良いと思うんですけどねぇ。これ以上熱が上がっても困りますし」
「行く……」
撫で撫で撫で撫で__
「病院に電話してきますので、着替えてください。ジャージでいいですよ?汗かいてますからちゃんと拭いてください」
病院につくまでの車の中には下宿屋のみんなに事情を話して帰ってきた栞に那智、秋彪が乗っていた。毛布に包まれ、乗った車はいつもと違う黒のワゴン。
「この車……」
「買いました。我が家用ですよ?下宿の車はみんな使えるようにしてあるので、一応この車もワゴンというものにしました。これなら車椅子も詰めますし、みんな乗れるでしょう?」
「そうだけど……家も買って下宿も建てて大変なんじゃ……」
「まだまだ余裕ですよ?那智に株を預けてありますからねぇ、配当金も結構ありますし、何年も溜め込みましたから、働かなくても余裕です。そろそろ着きますけど、那智、あの車椅子どうなりました?」
「すまん、散々文句は言ってきた。試作とはいえ現に動かなくなり歩行困難なものが雨の中困難に陥ったとな」
「そうですか。いつ直ります?」
「明後日だ」
「で?なんで付いてきてるんです?」
「お、叔父だからだ!」
帰ってきた栞はまたシクシクと泣いてしまい、体が温まるようにとスープを持ってきてくれた。
「熱いから気をつけてね。携帯は明日冬弥様がショップに持っていってくれるって」
「うん」
「雨の日は今度から冬弥様が送っていくって言ってたわ」
「少しの雨なら登れてたんだよ?今まで……途中で動かなくなっちゃって」
「元の車椅子が戻ってくるまで我慢ね。あれも返すって那智様が持っていったけど」
「いつ?」
「ついさっきだけど」
「またメーカーさんに文句言うよ……どうしよう」
「試作だったし、少しは文句言ってもいいのかもって私も思うけど。それより足は痛くない?」
「まだ冷えてて感覚があまりないんだ。暖まれば大丈夫だと思う」
「そう?私少し手伝いに行ってくるけど、その後は冬弥様が代わりにこっちに来てくれるから、寝てないとダメよ?」
「うん」
そのまま寝てしまったようで、起きたらものすごく寒いのに体が熱く、結局熱が出てしまった。
「熱、高いですねぇ。桜狐に治療させますけど、おかしな所はないですか?」
「足が……」
「ちょっと見せてください」
打ったのか紫になっているところもあり、足の付け根の部分は紫色になっていた。
「明日病院行きましょう」
「やだ……」
「やだって、熱もあるので薬が必要ですし、この足も歩いてる時に負担がかかったのかも知れませんし……見てもらわないと」
「だっていつもこういった時に入院とかなるから……」
「雪翔、私が治すと言った時になんて言いました?」
「自分で頑張る……」
「そうです。だから、頑張ってきたのでしょう?もし入院になっても、自宅に帰れてリハビリになるとしても、私と栞さん。そして他のみんなも応援してくれてます。それを嫌だからとの理由で辞めてしまうのですか?」
「それは……」
「今すぐ行く方が良いと思うんですけどねぇ。これ以上熱が上がっても困りますし」
「行く……」
撫で撫で撫で撫で__
「病院に電話してきますので、着替えてください。ジャージでいいですよ?汗かいてますからちゃんと拭いてください」
病院につくまでの車の中には下宿屋のみんなに事情を話して帰ってきた栞に那智、秋彪が乗っていた。毛布に包まれ、乗った車はいつもと違う黒のワゴン。
「この車……」
「買いました。我が家用ですよ?下宿の車はみんな使えるようにしてあるので、一応この車もワゴンというものにしました。これなら車椅子も詰めますし、みんな乗れるでしょう?」
「そうだけど……家も買って下宿も建てて大変なんじゃ……」
「まだまだ余裕ですよ?那智に株を預けてありますからねぇ、配当金も結構ありますし、何年も溜め込みましたから、働かなくても余裕です。そろそろ着きますけど、那智、あの車椅子どうなりました?」
「すまん、散々文句は言ってきた。試作とはいえ現に動かなくなり歩行困難なものが雨の中困難に陥ったとな」
「そうですか。いつ直ります?」
「明後日だ」
「で?なんで付いてきてるんです?」
「お、叔父だからだ!」
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