下宿屋 東風荘 3

手術

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朝ごはんはいつもと同じだったので、みんなで食べて学校の始まったみんなを送り出してから、食器を洗う。

「雪翔、まさかと思いますが……もう新しい教科書で勉強してませんよねぇ？」

「え？えっと……」

「してますー！」

とひょこっと紫狐が出てきて、昨夜の事を冬弥に報告しているが、最後にお母さんみたいって言うんですー！とプンプンしている。

「紫狐……みんなのお母さんみたいなものじゃないですか……嫌だったら藍狐と変わってもいいですよ？」

「そ、それはダメですー！だって、ゆっきーがお勉強するとなかなか寝てくれないんです。なので、紫狐が寝るまでの一時間半ほどだけと時間を決めました！」

「ほら、お母さんみたいじゃないですか。でも、雪翔は頑張りすぎますからねぇ。紫狐ちゃんと見張っててくださいよ？でもまた太ったら……」

「はいー！つまみ食いしません！」

「ならいいです。それと、今日忙しいと言いましたけど、週末には説明会ですからね？あと学校内の案内があります」

「私も行ってはいけませんか？」

「そうですねぇ、昼間なので大丈夫でしょう。親子で参加……いいですよねぇ」

「なんだか照れてしまいます」

「あのー。盛り上がってるところ悪いんだけど、問題集は前のと並行でやってみたんだ。やっぱり、通信でもかなり難しいから、昼と夜は勉強に当てたくて。リハビリの時には出来ないから……」

「分かりました。ただ、薬だけは決まった時間に飲んでください。お医者さんが良いと言うまでは……それと、行く際に影が出てこないように紫狐だけでなく藍狐もつけます。翡翠たちがなれている狐のがいいでしょうから」

「そんなに？」

「念のためです。金と銀は飛び出してきそうですしねぇ」

「あ、夕方からだからもしかしたら翡翠がまた泣くかも……」

「なので、あまりにも酷ければこちらに連れてきてもらいます。後は、何でしたっけ？そうそう、2年からなので転入生扱いになるので、自己紹介しないといけません」

「は？」

「そう聞いてますから。大丈夫です。那智やほかのみんなの狐も様子見に行くと思いますよ？」

四月から色々と忙しくなりそうだと思いながらも、みんなの気遣いは嬉しい。

食器乾燥機に食器を入れてから、明日四社巡りをしてくることだけ伝え家に戻って昼から行くリハビリの準備をし、机に座って問題集を解いていく。バランスよく進めるのに、苦手な国語や英語も中心にして行かなければと思い、教科書を見ると半分ほどまでは前の問題集の三年生前期、後半は後期に近く、頑張ればなんとかやっていけるだろうとノートを開き、みんな静かにしているならと部屋で遊ばせる。

「あー！疲れた」

そういった時にはもうお昼になっており、急いでご飯を食べてバス停に向かう。

ポツポツと雨も降り出してきていたので、カバンに折り畳み傘があることを確認してからバスに乗る。

明日が雨なら中止にしようとも思ったが、雨の方が人が少ないかもしれないと思い、あまり降らないといいなと窓の外を見る。