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何日がすぎ、那智が物凄く怒った顔で「なぜ誕生日を教えなかった!」と怒鳴り込んできて、強制的にに買い物に連れていかれ、たくさんの服を買ってくれる。
「もう16だ!服にも気を使え!」
そう言ってインナーから下着、靴下に至るまで全てを買い、かなりの荷物を部屋に運び込まれ、開けたクローゼットを見てため息を付かれる。
「これだけしか無かったのか……」
ガラガラのクローゼットに狐ちゃんたちが値札を外してハンガーにかけ、しまうものは閉まってくれ、長袖から半袖までオールシーズンも使わなくていい位いっぱいになった。
「あの、ありがとうございます……でもこんなに着れな……」
「週に二度は学校へ行くんだろう?病院は動きやすい格好でいいが、出かける時には少しはお洒落をしろ。冬弥は着物ばかりだし、栞は質素だし、あの兄弟に任せたらとんでもない格好にされる……」
「こんなにあったらどう着ていいかわかんない……」
「杏香。コーディネートして掛けておけ」
「畏まりまして」
杏香と呼ばれた綺麗なお狐のお姉さんぽい人が、ハンガーにかけ直してくれている。
「掛けてあるまま着ればいい。サイズが変わったらまた買いなおせばいいしな」
バタン!と戸の開く音がし、冬弥が「また贅沢をさせるんですから!」と文句を言いながらもニコニコとしている。
「あれも買ってきてくれました?」
「隅に掛けてある」
「何?」
「裁判の傍聴行くんでしょう?いつもの格好ではと思いまして。それに、通信でも入学式ありますよ?あと説明会が。二年からの編入なので、一応来てくださいと言われてますし、これでも那智的に地味に買ってくれてます」
「そうなの?」
「子供と大人の間だからな。それに雪翔は童顔だし……これでもかなり迷った」
ポイポイと店員さんに渡していた記憶しかないが、選んでくれていたのかと返って驚く。
「それでですねぇ、来月から出かけることが多くなるんですけど、今月に校舎を見れるそうです。行けますか?」
「う、うん……」
「俺も行く!」
「え?良いですよ?来なくても」
「黙れ!行くと言ったら行くからな」
そのまま消えたのでポカーンとしていると、あれが那智の精一杯の照れ隠しですと言われてしまった。
日にちだけがすぎていき、まず最初に向かったのは裁判所。
たって話すことが出来ないので車椅子のままだったが、口頭で裁判官から聞かれたことに答え、何とか思っていることを言えた。その後弁護士さんから次はいつ判決が出ると教えてもらい、それ迄ゆっくりと休みなさいと言われた。
「あー、緊張した……でもやっぱりドラマと違うね」
「そうですねぇ。あのような所には一生のうち立つことがない人がほとんどですから」
「後、細かいのは俺が聞いておく。他の奴は既に更生施設に行っているし、次で最後だろう」
「那智さん、僕はあと何回来ればいいの?」
「後は判決聞くだけだ。通知にしてもらってもよかったんだぞ?」
「聞くって決めたから……」
「そうか」
「では、私と雪翔は学校に寄ってきます」
「何故俺を外す?」
「教科書取りに行くだけなので」
「ならいいが……」
「もう16だ!服にも気を使え!」
そう言ってインナーから下着、靴下に至るまで全てを買い、かなりの荷物を部屋に運び込まれ、開けたクローゼットを見てため息を付かれる。
「これだけしか無かったのか……」
ガラガラのクローゼットに狐ちゃんたちが値札を外してハンガーにかけ、しまうものは閉まってくれ、長袖から半袖までオールシーズンも使わなくていい位いっぱいになった。
「あの、ありがとうございます……でもこんなに着れな……」
「週に二度は学校へ行くんだろう?病院は動きやすい格好でいいが、出かける時には少しはお洒落をしろ。冬弥は着物ばかりだし、栞は質素だし、あの兄弟に任せたらとんでもない格好にされる……」
「こんなにあったらどう着ていいかわかんない……」
「杏香。コーディネートして掛けておけ」
「畏まりまして」
杏香と呼ばれた綺麗なお狐のお姉さんぽい人が、ハンガーにかけ直してくれている。
「掛けてあるまま着ればいい。サイズが変わったらまた買いなおせばいいしな」
バタン!と戸の開く音がし、冬弥が「また贅沢をさせるんですから!」と文句を言いながらもニコニコとしている。
「あれも買ってきてくれました?」
「隅に掛けてある」
「何?」
「裁判の傍聴行くんでしょう?いつもの格好ではと思いまして。それに、通信でも入学式ありますよ?あと説明会が。二年からの編入なので、一応来てくださいと言われてますし、これでも那智的に地味に買ってくれてます」
「そうなの?」
「子供と大人の間だからな。それに雪翔は童顔だし……これでもかなり迷った」
ポイポイと店員さんに渡していた記憶しかないが、選んでくれていたのかと返って驚く。
「それでですねぇ、来月から出かけることが多くなるんですけど、今月に校舎を見れるそうです。行けますか?」
「う、うん……」
「俺も行く!」
「え?良いですよ?来なくても」
「黙れ!行くと言ったら行くからな」
そのまま消えたのでポカーンとしていると、あれが那智の精一杯の照れ隠しですと言われてしまった。
日にちだけがすぎていき、まず最初に向かったのは裁判所。
たって話すことが出来ないので車椅子のままだったが、口頭で裁判官から聞かれたことに答え、何とか思っていることを言えた。その後弁護士さんから次はいつ判決が出ると教えてもらい、それ迄ゆっくりと休みなさいと言われた。
「あー、緊張した……でもやっぱりドラマと違うね」
「そうですねぇ。あのような所には一生のうち立つことがない人がほとんどですから」
「後、細かいのは俺が聞いておく。他の奴は既に更生施設に行っているし、次で最後だろう」
「那智さん、僕はあと何回来ればいいの?」
「後は判決聞くだけだ。通知にしてもらってもよかったんだぞ?」
「聞くって決めたから……」
「そうか」
「では、私と雪翔は学校に寄ってきます」
「何故俺を外す?」
「教科書取りに行くだけなので」
「ならいいが……」
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