下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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陰陽の守り神

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「もう私たちの子でしょ?それは何かの時のためにとっておいたら良いと思うの。多いかもしれないけど、ここからリハビリの時の飲み物や本を買ってね。参考書とかは言ってくれたらお金渡すから」

「あ、ありがとう」

「ふふ、ほら買ってきなさい」

少しこそばゆいなと思いながら会計を済ませて戻り、車にのってスーパーへと行く。

「こんなところあったの?」

「業務スーパーです。お肉もキロ単位で買えますしねぇ。魚はやはり商店街になりますけど、ここで調味料なども安く揃いますし、野菜も農家さんから入ってきてるみたいです」

「あ、お酒も売ってるよ?」

「それは商店街です。割り引いてくれるので月で考えると店を分けて買うほうが安いんですよ」

「ねぇ、これ……」

「鳥一羽ですね。こっちは牛タンです。大きいですねぇ」

「ちょっと気持ち悪いかも」

「見たことないですか?」

「クリスマスのチキンしか見たことないよ?足のやつ」

「見ると丸焼きにしたくなりますけど時間かかりますからねぇ」

今日は海鮮鍋でしょ?と言って、丸ごと1羽を買うのを止め、お菓子コーナーを見て回る。

「キュッ」

「これがいいの?」

手に持っていたイチゴ味のマシュマロを影から手を出して取ろうとするので、ダメだと言ってからカゴに入れ、バナナや苺などカゴに入れてレジに行って会計をする。

「言ってくれたら買ったのに」

「この子達のおやつだから。それに翡翠が離さないんだもん……」

「まだ小さいから甘えてるのね。でもご飯も食べさせないといけないから、沢山あげちゃダメよ?」

「まだ普通のもの食べれないかな?」

「りんごは食べてたから、少しずつ増やしていったら?」

「そうしてみる。後は白いのと黒いののご飯も考えなきゃ」

「基本式神は食事はしないと思うんですけど」

「そうなの?りんご食べてたからいるのかと思ってた」

まだまだ色々と知っていかないと行けないなと思って、よく観察するようにしようと決め、車に乗って帰ってから部屋で全員出して遊ばせてみる。

「やっ!やっ!」

「あー。だめですー。白さんも黒さんも引っ張ったら耳が取れますー」

「取れるって……」

「あ、逃げました!」

どちらかと言うと紫狐が一番駆け回っているように見えるが、本人は必死なのだろう。

「ねえ、君達なにか話せないの?」

「キシャ!キシャー」

「分かんないよ……。とにかく、みんなと仲良くしてほしいんだ。わかるかな?」

白いのがコクンと頷き、真似して黒いのも首を少し縦に振る。
性格が違うのだろう。似ているところといえば、すぐに影やどこかに隠れてしまうところだが、本を破りに行く時は必死で止める。

ビリッ__

「やめて!それはダメだってば!ここの本は破ったらダメなんだってば」

「と、とにかく戻しましょう」
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