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陰陽の守り神
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「うちの孫に何してくれとるんじゃ糞ガキ共!」
祖父の一喝で逃げると思ったが、腰を抜かしているのか誰も動かない。
那智が財布を取り上げカバンに戻してくれ、車椅子を動かそうにも壊れたのかタイヤがおかしな方に曲がっているので、おんぶしてくれる。
「すいません、車椅子お願いします」
「うむ、こやつらはどうする?」
「冬弥に任せます」
「な……何かしたの?」
「動けなくして結界を貼っておいた。冬弥にも使いは出した。お前は気にするな……」
「ごめ"んな"ざい"………ぼぐ……嫌って言ったけど……」
「泣くな。スーツが汚れる」
「うぐっ……うん"」
「ひとまず社に行きます。裏から入れたはずですから」
「分かった」
片手でひょいっと車椅子を祖父が持ち、人混みを抜けてこっそりと社の中の奥の部屋に入る。
「足見せてみろ。泥だらけじゃないか……」
ズボンをめくると赤く腫れており、所々擦れたのか血が出ていた。
「全く、雪翔も叫ぶなりなんなりしろ。途中まで全く気づかなかった……」
「みんなで……たこ焼き食べようと思って……なのにたこ焼きも、お金も取られて……。毎週、お金もってこいって。全部、嫌って言って……ゴミも、投げられるし、動けなかったから……。それに、いつまで車椅子に乗ってるんだって……」
ぐずぐずと泣いていると「良い良い」と祖父が言ってくれる。
「何があったんですか!」
「冬弥、遅い!これだけ人がいれば仕方ないが、結界の中に馬鹿どもを入れてある。後で何とかしておけ」
「雪翔が足を蹴られての。みんなで食べようと買ったたこ焼きなども取られて、金を毎週じゃったか持ってこいと言われたそうじゃ。車椅子のことも言われたようじゃ」
「那智、雪翔を任せます。あちらは好きにしても?」
「構わん!」
ガラッ__
「ゆ、雪翔君!」
「栞さん……なんで?」
「那智様から連絡が……あぁ、こんなに足を腫らして……」
「落ち着け。今治癒する」
「冬弥様は?」
「糞ガキ共を懲らしめに行ったわい」
「私も……」
「辞めておけ。任せておけばいい」
「ですが……」
「とにかくだ、治療して家まで運ぶ。車椅子はしばらく使えないから雪翔も大人しくしてろ」
「うん……」
「家に帰りましょう?お義父さまも……」
「そうじゃの」
ある程度の痛みと傷を治してもらってから家に連れて帰ってもらい、お風呂はやめておいた方がいいと言われたのでベッドに寝かされる。
「薬飲んでゆっくり寝ましょ。明日になれば元気になるわ」
「うん」
祖父が隣で寝てくれるというのでそれに甘え、薬が効いてきたのかそのまま眠る。
起きたのは翌朝の昼前。
すぐに薬を飲まされ、祖父が帰らなくてはならなかったので、社まで送りに行きたかったが、近くの森までならと言われ、そこで「夏に待っておるよ」と言われてわかれる。
栞が戻ってくるまで木に気を流し続け、いつも通りの作業を行うが、良い気が出ている気がしない。
「ごめんね」と一言いってから帰り、また布団に潜るとすぐ眠ってしまう。
「雪翔……」
「冬弥さん?」
ガバッと起き上がりその後のことを聞くと、しばらくは小さな不幸が起きるようにしただけで、怪我をしたりするようなことはしていないと言われホットする。
「ただし、彼らが真面目に授業を受けていたら落第はありませんし、そうでなければ落第します。自然の流れの中で運が悪くなるようしただけですから、本当にあとは運任せ。その運を少しもらいました」
「……」
「可愛そうですか?でも、自然の流れの中でと言ったでしょう?彼らが努力していれば回避できるようにとしただけです。本当ならば影を使って同じ目に遭わせてやりたかったんですが、そうするとせっかくの活性化した良い気が無くなってしまうので」
「うん。ちょっと……寝てていい?」
「今日はゆっくりするといいです。ご飯は……」
「何か、胃がムカムカしてて。食べたくない」
「1日いますから、お腹すいたら言ってくださいよ?」
祖父の一喝で逃げると思ったが、腰を抜かしているのか誰も動かない。
那智が財布を取り上げカバンに戻してくれ、車椅子を動かそうにも壊れたのかタイヤがおかしな方に曲がっているので、おんぶしてくれる。
「すいません、車椅子お願いします」
「うむ、こやつらはどうする?」
「冬弥に任せます」
「な……何かしたの?」
「動けなくして結界を貼っておいた。冬弥にも使いは出した。お前は気にするな……」
「ごめ"んな"ざい"………ぼぐ……嫌って言ったけど……」
「泣くな。スーツが汚れる」
「うぐっ……うん"」
「ひとまず社に行きます。裏から入れたはずですから」
「分かった」
片手でひょいっと車椅子を祖父が持ち、人混みを抜けてこっそりと社の中の奥の部屋に入る。
「足見せてみろ。泥だらけじゃないか……」
ズボンをめくると赤く腫れており、所々擦れたのか血が出ていた。
「全く、雪翔も叫ぶなりなんなりしろ。途中まで全く気づかなかった……」
「みんなで……たこ焼き食べようと思って……なのにたこ焼きも、お金も取られて……。毎週、お金もってこいって。全部、嫌って言って……ゴミも、投げられるし、動けなかったから……。それに、いつまで車椅子に乗ってるんだって……」
ぐずぐずと泣いていると「良い良い」と祖父が言ってくれる。
「何があったんですか!」
「冬弥、遅い!これだけ人がいれば仕方ないが、結界の中に馬鹿どもを入れてある。後で何とかしておけ」
「雪翔が足を蹴られての。みんなで食べようと買ったたこ焼きなども取られて、金を毎週じゃったか持ってこいと言われたそうじゃ。車椅子のことも言われたようじゃ」
「那智、雪翔を任せます。あちらは好きにしても?」
「構わん!」
ガラッ__
「ゆ、雪翔君!」
「栞さん……なんで?」
「那智様から連絡が……あぁ、こんなに足を腫らして……」
「落ち着け。今治癒する」
「冬弥様は?」
「糞ガキ共を懲らしめに行ったわい」
「私も……」
「辞めておけ。任せておけばいい」
「ですが……」
「とにかくだ、治療して家まで運ぶ。車椅子はしばらく使えないから雪翔も大人しくしてろ」
「うん……」
「家に帰りましょう?お義父さまも……」
「そうじゃの」
ある程度の痛みと傷を治してもらってから家に連れて帰ってもらい、お風呂はやめておいた方がいいと言われたのでベッドに寝かされる。
「薬飲んでゆっくり寝ましょ。明日になれば元気になるわ」
「うん」
祖父が隣で寝てくれるというのでそれに甘え、薬が効いてきたのかそのまま眠る。
起きたのは翌朝の昼前。
すぐに薬を飲まされ、祖父が帰らなくてはならなかったので、社まで送りに行きたかったが、近くの森までならと言われ、そこで「夏に待っておるよ」と言われてわかれる。
栞が戻ってくるまで木に気を流し続け、いつも通りの作業を行うが、良い気が出ている気がしない。
「ごめんね」と一言いってから帰り、また布団に潜るとすぐ眠ってしまう。
「雪翔……」
「冬弥さん?」
ガバッと起き上がりその後のことを聞くと、しばらくは小さな不幸が起きるようにしただけで、怪我をしたりするようなことはしていないと言われホットする。
「ただし、彼らが真面目に授業を受けていたら落第はありませんし、そうでなければ落第します。自然の流れの中で運が悪くなるようしただけですから、本当にあとは運任せ。その運を少しもらいました」
「……」
「可愛そうですか?でも、自然の流れの中でと言ったでしょう?彼らが努力していれば回避できるようにとしただけです。本当ならば影を使って同じ目に遭わせてやりたかったんですが、そうするとせっかくの活性化した良い気が無くなってしまうので」
「うん。ちょっと……寝てていい?」
「今日はゆっくりするといいです。ご飯は……」
「何か、胃がムカムカしてて。食べたくない」
「1日いますから、お腹すいたら言ってくださいよ?」
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