25 / 99
七泊八日
.
しおりを挟む
「坊ちゃんすごいです!」など言われたが、調味料を入れただけだ……
女中頭がしっかりとメモをとっていて、お礼を言ってくる。
「あれ、後でみんなで食べて。じゃがいもや人参にウインナー入れたらね、ポトフって料理になるんだ。味を薄くして水分少なめにしてから、沢山トマト入れて煮込むとトマトスープできるし、色々使えるよ?」
「これなのですが」
一冊の本を渡され見ると、簡単クッキングと書かれた分厚い本だった。
「写真があるので普段の煮物などはわかるのですが、この摘みの所の小さじとか大さじとか……測るものがなくてですね……」
「さっきの匙すり切りいっぱいが小さじだと思うけど。そこから味見するしかないかも」
「分かりました。若奥様がいらしたら聞けたんですが」
「これこれ、雪翔でも全部は無理でしょう?カレーは出来たんだから、次はおつまみに取り掛かって頂戴な」
「お婆ちゃん、僕作ってもいい?」
「良いけど、みんなにやらせて欲しいのよ。見てるだけでは覚えないでしょう?」
「わかった。お手伝いだけ……」
「そうねぇ。私も知らない調味料もあるし、見ていきましょうかねぇ」
台所はほかのものも来ていてごった返していたが、周太郎に幾つかフライパン等も同じ種類で並べ替えてもらい、調味料の中からソースや白だし醤油を見つけ、納豆があると言うので、三パック出してボウルに入れ、付いている調味料を入れてから刻みネギと混ぜ、揚げを半分に切ったものの中に入れる。
爪楊枝で止めて、軽く表面に焼き色がつくまで焼いてから少し白だしをかけて完成だったので、半分に切って試食してもらう。
「中は大葉でもいいと思うけど」
「大奥様、坊ちゃんは料理の才能がおありです。とても美味しいです!」
「どれどれ?……あら、本当。これは美味しいわねぇ。みんな書付しておいてくださいよ?」
「はい」
「あ、兎の肉あったよね?」
「まだ残ってますけど……ももの部分ですよ?」
それを出してもらい、包丁で開いて平にしてから一口大に切り、塩コショウを軽くして生姜、ニンニク、醤油を混ぜたものにつける。
その間に、サラダになる葉とトマトを小皿に置いて、冷蔵庫にあったフレンチドレッシングを少しかけておく。
「これサラダに使うから。で、この肉を布に包んで叩いてもらったあられの粉にしっかりとまぶしてから、揚げてくれる?僕届かないから……」
表面がきつね色になった兎の肉の唐揚げを盛り付け、残りをみんなで分けて食べてもらう。
「あられが衣に……サクサクとしていて美味しいです!」
「周太郎さんどう?」
「肉好きなので、これは酒が進みます。それにほんのりとニンニクが聞いていて美味しいです」
その夜はカレーから始まり、おつまみも普段の和物などと一緒に、作った唐揚げやあげ納豆など出てきて、雪翔が作ったと祖母が言うとそれはそれでまた撫で撫でとされ褒められる。
「なんでも出来るんだな。雪翔は器用なんじゃないか?他にもなにか趣味を持てばいいのに」
「冬弥さん見てたから出来ただけだよ。毎日手伝ってるから覚えちゃっただけ。京弥さんは料理しないの?」
「米は炊いたことあるけど……」と下を向く。
「焦げて真っ黒になったんですよ?あの時は火事かと大騒ぎで……」
「幸、それはもう随分と昔の話だろう?」
「そうでしたか?」
「二人も仲いいよね」
「仲はいいですよ?でも最近口うるさく……もしかして……」
「ふふ、多分」
「孫か!!!」
「お爺さん、静かにしてくださいまし。今度は何事も無いようにとなるべくゆっくりしてもらってますからねぇ」
「赤ちゃんできたの?」
「まだ医者に見てもらってないんですけど……もうそろそろ四ヶ月に入るかと」
「なぜ言わなんだ?」
「申し訳ございません。また……駄目だったらと言い出せずに……」
女中頭がしっかりとメモをとっていて、お礼を言ってくる。
「あれ、後でみんなで食べて。じゃがいもや人参にウインナー入れたらね、ポトフって料理になるんだ。味を薄くして水分少なめにしてから、沢山トマト入れて煮込むとトマトスープできるし、色々使えるよ?」
「これなのですが」
一冊の本を渡され見ると、簡単クッキングと書かれた分厚い本だった。
「写真があるので普段の煮物などはわかるのですが、この摘みの所の小さじとか大さじとか……測るものがなくてですね……」
「さっきの匙すり切りいっぱいが小さじだと思うけど。そこから味見するしかないかも」
「分かりました。若奥様がいらしたら聞けたんですが」
「これこれ、雪翔でも全部は無理でしょう?カレーは出来たんだから、次はおつまみに取り掛かって頂戴な」
「お婆ちゃん、僕作ってもいい?」
「良いけど、みんなにやらせて欲しいのよ。見てるだけでは覚えないでしょう?」
「わかった。お手伝いだけ……」
「そうねぇ。私も知らない調味料もあるし、見ていきましょうかねぇ」
台所はほかのものも来ていてごった返していたが、周太郎に幾つかフライパン等も同じ種類で並べ替えてもらい、調味料の中からソースや白だし醤油を見つけ、納豆があると言うので、三パック出してボウルに入れ、付いている調味料を入れてから刻みネギと混ぜ、揚げを半分に切ったものの中に入れる。
爪楊枝で止めて、軽く表面に焼き色がつくまで焼いてから少し白だしをかけて完成だったので、半分に切って試食してもらう。
「中は大葉でもいいと思うけど」
「大奥様、坊ちゃんは料理の才能がおありです。とても美味しいです!」
「どれどれ?……あら、本当。これは美味しいわねぇ。みんな書付しておいてくださいよ?」
「はい」
「あ、兎の肉あったよね?」
「まだ残ってますけど……ももの部分ですよ?」
それを出してもらい、包丁で開いて平にしてから一口大に切り、塩コショウを軽くして生姜、ニンニク、醤油を混ぜたものにつける。
その間に、サラダになる葉とトマトを小皿に置いて、冷蔵庫にあったフレンチドレッシングを少しかけておく。
「これサラダに使うから。で、この肉を布に包んで叩いてもらったあられの粉にしっかりとまぶしてから、揚げてくれる?僕届かないから……」
表面がきつね色になった兎の肉の唐揚げを盛り付け、残りをみんなで分けて食べてもらう。
「あられが衣に……サクサクとしていて美味しいです!」
「周太郎さんどう?」
「肉好きなので、これは酒が進みます。それにほんのりとニンニクが聞いていて美味しいです」
その夜はカレーから始まり、おつまみも普段の和物などと一緒に、作った唐揚げやあげ納豆など出てきて、雪翔が作ったと祖母が言うとそれはそれでまた撫で撫でとされ褒められる。
「なんでも出来るんだな。雪翔は器用なんじゃないか?他にもなにか趣味を持てばいいのに」
「冬弥さん見てたから出来ただけだよ。毎日手伝ってるから覚えちゃっただけ。京弥さんは料理しないの?」
「米は炊いたことあるけど……」と下を向く。
「焦げて真っ黒になったんですよ?あの時は火事かと大騒ぎで……」
「幸、それはもう随分と昔の話だろう?」
「そうでしたか?」
「二人も仲いいよね」
「仲はいいですよ?でも最近口うるさく……もしかして……」
「ふふ、多分」
「孫か!!!」
「お爺さん、静かにしてくださいまし。今度は何事も無いようにとなるべくゆっくりしてもらってますからねぇ」
「赤ちゃんできたの?」
「まだ医者に見てもらってないんですけど……もうそろそろ四ヶ月に入るかと」
「なぜ言わなんだ?」
「申し訳ございません。また……駄目だったらと言い出せずに……」
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
生贄の花嫁~鬼の総領様と身代わり婚~
硝子町玻璃
キャラ文芸
旧題:化け猫姉妹の身代わり婚
多くの人々があやかしの血を引く現代。
猫又族の東條家の長女である霞は、妹の雅とともに平穏な日々を送っていた。
けれどある日、雅に縁談が舞い込む。
お相手は鬼族を統べる鬼灯家の次期当主である鬼灯蓮。
絶対的権力を持つ鬼灯家に逆らうことが出来ず、両親は了承。雅も縁談を受け入れることにしたが……
「私が雅の代わりに鬼灯家に行く。私がお嫁に行くよ!」
妹を守るために自分が鬼灯家に嫁ぐと決心した霞。
しかしそんな彼女を待っていたのは、絶世の美青年だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あやかし婚活姫と霊感従者の恋結び
ちづ
キャラ文芸
あやかしと駆け落ちしたいお姫様と、そんなお姫様に片想いしている従者との平安風ホラーラブコメ。
短編ですのでもしよろしければ。
内大臣家の末娘の結姫は、父親に望まない輿入れを迫られていた。嫌気が差したある日、幼馴染の従者に、幽世で駆け落ちしてくれるあやかしを探してきて欲しいと頼み込む。けれど、従者はずっとそんな姫君に片想いをしていて──
平安和風ファンタジー主従ものです。
廻り捲りし戀華の暦
日蔭 スミレ
恋愛
妖気皆無、妖に至る輪廻の記憶も皆無。おまけにその性格と言ったら愚図としか言いようもなく「狐」の癖に「狐らしさ」もない。それ故の名は間を抜いてキネ。そんな妖狐の少女、キネは『誰かは分からないけれど会いたくて仕方ない人』がいた。
自分の過去を繫ぐもの金細工の藤の簪のみ。だが、それを紛失してしまった事により、彼女は『会いたかった人』との邂逅を果たす。
それは非ず者の自分と違う生き物……人の青年だった。
嗜虐癖ドS陰陽師×愚図な狐 切なめな和ファンタジーです。
あやかし雑草カフェ社員寮 ~社長、離婚してくださいっ!~
菱沼あゆ
キャラ文芸
令和のはじめ。
めでたいはずの10連休を目前に仕事をクビになった、のどか。
同期と呑んだくれていたのだが、目を覚ますと、そこは見知らぬ会社のロビーで。
酔った弾みで、イケメンだが、ちょっと苦手な取引先の社長、成瀬貴弘とうっかり婚姻届を出してしまっていた。
休み明けまでは正式に受理されないと聞いたのどかは、10連休中になんとか婚姻届を撤回してもらおうと頑張る。
職だけでなく、住む場所も失っていたのどかに、貴弘は住まいを提供してくれるが、そこは草ぼうぼうの庭がある一軒家で。
おまけにイケメンのあやかしまで住んでいた。
庭にあふれる雑草を使い、雑草カフェをやろうと思うのどかだったが――。
下宿屋 東風荘 4
浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。
天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!?
ほのぼの美味しいファンタジー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
表紙・挿絵:深月くるみ様
イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。
☆マークの話は挿絵入りです。
オアシス都市に嫁ぐ姫は、絶対無敵の守護者(ガーディアン)
八島唯
キャラ文芸
西の平原大陸に覇を唱える大帝国『大鳳皇国』。その国からはるか数千里、草原と砂漠を乗り越えようやく辿り着く小国『タルフィン王国』に『大鳳皇国』のお姫様が嫁入り!?
田舎の小国に嫁入りということで不満たっぷりな皇族の姫であるジュ=シェラン(朱菽蘭)を待っているのタルフィン国王の正体は。
架空のオアシス都市を舞台に、権謀術数愛別離苦さまざまな感情が入り交じるなか、二人の結婚の行方はどうなるのか?!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる