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新たなる出会い
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「それはダメ。栞さんが一人になっちゃうもん」
「では、いい解決策はありますか?」
「無いけど、二人で行ってきて。その間僕、お爺ちゃんの所に遊びに行ってくる。それならどう?」
「本当に?」
「うん、あちらでお正月にしてもいいし。ってあるのかなお正月……」
「ありますよ?お正月とまでは行きませんけど、お祭りがあります。雪翔ありがとう」
いきなりギューッと抱きしめられたので、苦しいよと言って離してもらい、旅行は栞さんと二人で。お正月の二日までお爺ちゃんの家に行くことになった。
「お昼の薬飲んでください。夜は少し時間をずらせばいいでしょう。翡翠が影に馴染むまで時間がかかりますから、体調がおかしければ言ってください。合わない子もいますから」
「合わない?」
「相性が悪い狐がどうしてもいるものなんです。だから、むやみに拾ってきてはいけませんよ?」
「わかった」
薬を飲んで、寝ないように我慢して森に行って辺りを隈無く探す。
「しーちゃん、那智さん達にパーティに来て欲しいって伝えに行ってくれないかな?場所はね__」
「分かりました。ここにいて下さい。すぐに戻ります」
紫狐が飛んでいってから、金に頼んで翡翠を出してもらい、膝に乗せる。
「翡翠、この辺りの匂いとか覚えてない?」
「キュッ」
「分かんないか……」
いつもの木で気を練って流す。この作業もだいぶ慣れてきて、体を何かが駆け巡っているような感覚に陥る時がある。
しばらく続けたあと、しーちゃんが帰ってくるのが見えて、また後で。と木に触り、「おかえり」としーちゃんに言う。
「皆さん大丈夫だそうです。那智様は居酒屋と聞いて顔を顰めていました」
「だと思うよ。だって、イケメンスーツが居酒屋でお酒飲むなんてありえないってみんな言ってて、もし、那智さんが飲んでたら奇跡だとか言ってたから、それだけで盛り上がりそうだもん」
「それとですね、秋彪様ですが……何故か大笑いされていて。紫狐も意味がわからなかったのですけど」
「那智さん思い出して笑ってたんじゃないかな?」
「キュゥー」
「あ、ミルクかも!」
「ゆっきーがパパみたいですー」
「ぺっしちゃダメなの!チューって飲むんだってば!」
リビングで足を伸ばして座りながらミルクをあげていたら、二人が買い出しから帰ってきて、何してるのかと聞かれるので、見ててね?とミルクを翡翠にあげると、ペッと出してしまうところを見せる。
「酷いよ!なんで飲んでくれないんだよー!」
「雪翔、小狐はある程度までは大きくなる速度が早いです。普通の狐とは違うからですが。もしかして自力で飲みたいのかも知れませんよ?」
「そうなの?」
ミルクのお皿を下において、近くに翡翠を下ろす。
ヨチヨチと歩いてミルクを少しずつ飲んでいるのを見て安心したが、ペッは酷いと言い、服がベタベタになっちゃったからとお風呂に入ることにした。
「金、銀。洗ってあげるから出ておいで」
「自分で出来る!」
「仲良く洗いっこしてよ?いつも泡飛ばすんだから!」
結局泡だらけにしたので綺麗に洗い流し、湯船につけて30数えさせる。
「もう出ていいよ」
タオルで拭いている姿は幼稚園の子と変わらないなと思いながら、自分も洗って風呂から出る。
「痛っ……」
「どーしたの?痛い?」
「僕呼んでくるー!」
待ってという前に行ってしまい、下着をつけたところで冬弥が来て足を見る。
「腫れてませんか?」
「歩く練習が始まると、こうなるとは聞いてて湿布はもらってるよ?だから大丈夫と思うんだけど」
「今日は下宿はいいです。横になってなさい」
服を着て、布団に寝かされ湿布を貼られる。
「老人みたい……」
「では、いい解決策はありますか?」
「無いけど、二人で行ってきて。その間僕、お爺ちゃんの所に遊びに行ってくる。それならどう?」
「本当に?」
「うん、あちらでお正月にしてもいいし。ってあるのかなお正月……」
「ありますよ?お正月とまでは行きませんけど、お祭りがあります。雪翔ありがとう」
いきなりギューッと抱きしめられたので、苦しいよと言って離してもらい、旅行は栞さんと二人で。お正月の二日までお爺ちゃんの家に行くことになった。
「お昼の薬飲んでください。夜は少し時間をずらせばいいでしょう。翡翠が影に馴染むまで時間がかかりますから、体調がおかしければ言ってください。合わない子もいますから」
「合わない?」
「相性が悪い狐がどうしてもいるものなんです。だから、むやみに拾ってきてはいけませんよ?」
「わかった」
薬を飲んで、寝ないように我慢して森に行って辺りを隈無く探す。
「しーちゃん、那智さん達にパーティに来て欲しいって伝えに行ってくれないかな?場所はね__」
「分かりました。ここにいて下さい。すぐに戻ります」
紫狐が飛んでいってから、金に頼んで翡翠を出してもらい、膝に乗せる。
「翡翠、この辺りの匂いとか覚えてない?」
「キュッ」
「分かんないか……」
いつもの木で気を練って流す。この作業もだいぶ慣れてきて、体を何かが駆け巡っているような感覚に陥る時がある。
しばらく続けたあと、しーちゃんが帰ってくるのが見えて、また後で。と木に触り、「おかえり」としーちゃんに言う。
「皆さん大丈夫だそうです。那智様は居酒屋と聞いて顔を顰めていました」
「だと思うよ。だって、イケメンスーツが居酒屋でお酒飲むなんてありえないってみんな言ってて、もし、那智さんが飲んでたら奇跡だとか言ってたから、それだけで盛り上がりそうだもん」
「それとですね、秋彪様ですが……何故か大笑いされていて。紫狐も意味がわからなかったのですけど」
「那智さん思い出して笑ってたんじゃないかな?」
「キュゥー」
「あ、ミルクかも!」
「ゆっきーがパパみたいですー」
「ぺっしちゃダメなの!チューって飲むんだってば!」
リビングで足を伸ばして座りながらミルクをあげていたら、二人が買い出しから帰ってきて、何してるのかと聞かれるので、見ててね?とミルクを翡翠にあげると、ペッと出してしまうところを見せる。
「酷いよ!なんで飲んでくれないんだよー!」
「雪翔、小狐はある程度までは大きくなる速度が早いです。普通の狐とは違うからですが。もしかして自力で飲みたいのかも知れませんよ?」
「そうなの?」
ミルクのお皿を下において、近くに翡翠を下ろす。
ヨチヨチと歩いてミルクを少しずつ飲んでいるのを見て安心したが、ペッは酷いと言い、服がベタベタになっちゃったからとお風呂に入ることにした。
「金、銀。洗ってあげるから出ておいで」
「自分で出来る!」
「仲良く洗いっこしてよ?いつも泡飛ばすんだから!」
結局泡だらけにしたので綺麗に洗い流し、湯船につけて30数えさせる。
「もう出ていいよ」
タオルで拭いている姿は幼稚園の子と変わらないなと思いながら、自分も洗って風呂から出る。
「痛っ……」
「どーしたの?痛い?」
「僕呼んでくるー!」
待ってという前に行ってしまい、下着をつけたところで冬弥が来て足を見る。
「腫れてませんか?」
「歩く練習が始まると、こうなるとは聞いてて湿布はもらってるよ?だから大丈夫と思うんだけど」
「今日は下宿はいいです。横になってなさい」
服を着て、布団に寝かされ湿布を貼られる。
「老人みたい……」
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