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新たなる出会い
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※※※※※
「最近雪翔は反抗期というやつですかねぇ」
「私たちが結婚したから気を使ってるのかも」
「ヤキモチとかですか?」
「分かりませんけど、いつもすぐ居なくなっちゃうんです」
「ちゃんと話をしないといけませんねぇ」
「はい」
「温泉に誘ったんですよ……そしたら行かないって言いましてねぇ。その時も様子がおかしかったので気にはなってたんです」
「いつもなら行くって言いますよね?」
「ええ。前のことも引きずってると思いますから、ゆっくりとでいいと思うんですけど、気になりますよねぇ」
「しばらく様子みます?」
「そうします。元旦は一日社にいますけど、栞さんの社にも参拝には来るでしょう?」
「はい、なので私も1日社にいないと行けないんですけど、雪翔君が気になって」
「ですよねぇ。あの小狐はどうなりました?」
「雪翔君から話すって言ってましたよ?」
「そうですか」
※※※※※
「雪翔……」
「ん?……あ!」
「どうしました?お昼も食べてないでしょう?」とお握りを渡される。
「ごめんなさい。なんだかとても眠くて」
「あの小狐の事聞きましたよ?名前はなんでしたっけ?」
「翡翠」
「いい名前ですねぇ。初めての女の子だから、金と銀もお兄さんですね。喜んでいたでしょう?」
「面倒みるって……」
「私たち狐の世界では階級があります。簡単に言うと上中下。大まかに分けるとですけど。私や栞さんは上に当たります。上の者は生まれてすぐ一匹~二匹狐を乳母がわりに付けられます。その後だんだんと仲間が増えていって、私は今九匹の影を持っています」
「どこかで見つけるの?」
「殆どそうです。紫狐が三番目でした。あの時は社狐になるんだと家を出てかなり旅をしてましてね、その時に翡翠と同じくらいでしょうかねぇ?雨の日に泣いているのを見つけたんです。藤の花が綺麗で紫の名が浮かんだので紫狐と付けました。後は漆と琥珀が面倒見てくれましたが、泣き虫は今も相変わらずですねぇ」
「し、紫狐はもうあまり泣きません!」
「泣いてるでしょう?紫狐はそのままでいいんですよ?」
「じゃあ、翡翠も金と銀が親代わり?」
「彼らもまだ小さいので全部は無理でしょう。遊びたい盛りなので」
「じゃあ、普段はどうするの?」
「時間を決めるんです」
「時間?」
「雪翔がリハビリやご飯、お手伝いなどの時は二匹に見てもらう。紫狐もいますし。それ以外でいつも金と銀が遊ぶ時間には雪翔が面倒を見る。こんな感じですかねぇ」
「それなら出来るかも」
「本当は雪翔から話してくれるのを待つつもりでしたけど、やはり私たちの結婚のことで……」
「違うよ?二人が親になってくれて、お爺ちゃんやお婆ちゃんが出来てとても嬉しいよ?でも、なんだか一人ぼっちになった気にもなっちゃって……」
「気が付きませんでした……もっと話してください。何でもですよ?でないと、何もわからないじゃないですか」
「うん……温泉は、二人で行ったらいいのになって思ったんだ。じゃないと、新婚旅行とか行けそうにないし、お正月はお社に行くって言ってたから僕留守番でしょ?だから、一人になるのがなんだか嫌だったんだ。でも、幸せになって欲しくて。旅行は行ける時に行かないと二人で出掛けるなんて出来ないと思ったんだ」
「それならそうと言ってくれれば……私も栞さんも、雪翔を置いてどこにも行きません。我々は約束を大事にします。温泉も私と二人が良ければそうしようと思ってましたよ?」
「最近雪翔は反抗期というやつですかねぇ」
「私たちが結婚したから気を使ってるのかも」
「ヤキモチとかですか?」
「分かりませんけど、いつもすぐ居なくなっちゃうんです」
「ちゃんと話をしないといけませんねぇ」
「はい」
「温泉に誘ったんですよ……そしたら行かないって言いましてねぇ。その時も様子がおかしかったので気にはなってたんです」
「いつもなら行くって言いますよね?」
「ええ。前のことも引きずってると思いますから、ゆっくりとでいいと思うんですけど、気になりますよねぇ」
「しばらく様子みます?」
「そうします。元旦は一日社にいますけど、栞さんの社にも参拝には来るでしょう?」
「はい、なので私も1日社にいないと行けないんですけど、雪翔君が気になって」
「ですよねぇ。あの小狐はどうなりました?」
「雪翔君から話すって言ってましたよ?」
「そうですか」
※※※※※
「雪翔……」
「ん?……あ!」
「どうしました?お昼も食べてないでしょう?」とお握りを渡される。
「ごめんなさい。なんだかとても眠くて」
「あの小狐の事聞きましたよ?名前はなんでしたっけ?」
「翡翠」
「いい名前ですねぇ。初めての女の子だから、金と銀もお兄さんですね。喜んでいたでしょう?」
「面倒みるって……」
「私たち狐の世界では階級があります。簡単に言うと上中下。大まかに分けるとですけど。私や栞さんは上に当たります。上の者は生まれてすぐ一匹~二匹狐を乳母がわりに付けられます。その後だんだんと仲間が増えていって、私は今九匹の影を持っています」
「どこかで見つけるの?」
「殆どそうです。紫狐が三番目でした。あの時は社狐になるんだと家を出てかなり旅をしてましてね、その時に翡翠と同じくらいでしょうかねぇ?雨の日に泣いているのを見つけたんです。藤の花が綺麗で紫の名が浮かんだので紫狐と付けました。後は漆と琥珀が面倒見てくれましたが、泣き虫は今も相変わらずですねぇ」
「し、紫狐はもうあまり泣きません!」
「泣いてるでしょう?紫狐はそのままでいいんですよ?」
「じゃあ、翡翠も金と銀が親代わり?」
「彼らもまだ小さいので全部は無理でしょう。遊びたい盛りなので」
「じゃあ、普段はどうするの?」
「時間を決めるんです」
「時間?」
「雪翔がリハビリやご飯、お手伝いなどの時は二匹に見てもらう。紫狐もいますし。それ以外でいつも金と銀が遊ぶ時間には雪翔が面倒を見る。こんな感じですかねぇ」
「それなら出来るかも」
「本当は雪翔から話してくれるのを待つつもりでしたけど、やはり私たちの結婚のことで……」
「違うよ?二人が親になってくれて、お爺ちゃんやお婆ちゃんが出来てとても嬉しいよ?でも、なんだか一人ぼっちになった気にもなっちゃって……」
「気が付きませんでした……もっと話してください。何でもですよ?でないと、何もわからないじゃないですか」
「うん……温泉は、二人で行ったらいいのになって思ったんだ。じゃないと、新婚旅行とか行けそうにないし、お正月はお社に行くって言ってたから僕留守番でしょ?だから、一人になるのがなんだか嫌だったんだ。でも、幸せになって欲しくて。旅行は行ける時に行かないと二人で出掛けるなんて出来ないと思ったんだ」
「それならそうと言ってくれれば……私も栞さんも、雪翔を置いてどこにも行きません。我々は約束を大事にします。温泉も私と二人が良ければそうしようと思ってましたよ?」
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