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新たなる出会い
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「ねえ、もう一緒に住んでるし、今更じゃない?」
「ただ恥ずかしいだけですよ?」
「そうなの。商店街では前から夫婦って言われてきたから、今更って思われるのもねぇって話してたの」
「気にしないんじゃない?返って僕が恥ずかしくなるよ?」
「雪翔……その話は雪翔からしてくれませんかねぇ?その、那智とか……」
「分かった。金と銀を使いに出せばいいんだよね?」
「もうそこまで?」
「お手伝いは部屋でしてくれてるから、出来ないかなぁ?」
「匂いがわかってるから出来ると思いますよ?金・銀!」
「はい?」
「結婚したとだけ伝えて来てください……」
「他は?」
「それだけです!ほら行ってきておくれ」
後でお駄賃頂戴ねと言い残し二匹が行ってしまったので、みんなが帰ってくるまで森に行ってくると言って出掛ける。
「しーちゃん、本持ってて」
「はい!」
「えっと五芒星を描いて気を送り……その後なんて読むのかな?飛ばしていいのかなぁ?それを続ける。毎日欠かさず続けて初めて小さな気の塊が二つできる」
書かれた図に合わせて気を送るイメージで毎日続けているが、その部分が暖かくなる程度で変化はない。
「しーちゃん、みんなの中でこれ読めそうな人知らない?あ、でもダメ!結婚式までに自分でしたいんだ。しーちゃんもナイショだよ?」
「はいー。黙ってます」
「この間の文字……見たことあるような気もするんだけどなぁ」
その後も一時間ほど続け、木にまた明日ねと声をかけて戻る。
「ごめん、もうご飯炊いちゃった?」
「ええ、でも、今日は三人分だから楽よ?」
「隆弘さんがバイトかぁ」
「裏の畑、移してきたでしょ?ちゃんと育ってるか見てきてくれない?」
「水やりもしてくるね」
畑に行くとちゃんと育っており、少しだが新しく芽が出ていた。
「フキューッ」
「何……猫?」
「違います……匂いが狐です!紫狐が見ます」
しーちゃんが裏側に回ったので反対から覗くと、真っ白で小さな猫……狐が蹲っていた。
「しーちゃん、その子弱ってるの?」
「紫狐達とは違って金たちと同じ匂いがしますけど」
「冬弥さんに見せよう……」
膝に乗せて落ちないようにしているが、かなり震えている。裏にいたと説明して、せめて元気になるまでお世話したいとお願いする。
「親の匂いがないですねぇ。だいぶ時間が経ってると思いますよ。ここの野菜を食べに来たんですかねぇ?」
「ダメ?僕面倒みるから」
「下宿だとバレたら困るので、家に連れていってください。ミルクでもいいと思いますけど、温めて、人肌になってから飲ませてくださいね」
「うん、ありがとう!」
抱っこして家まで行き、ダンボールがあったと組み立てて、中にバスタオルを入れる。それでも震えているので寒いのかな?と思い暖房をつける。
暖炉の形をした暖房器具だが、臭いが少ないのでちょうどいいかもしれない。
温めたミルクを言われた通りの温度にして飲ませようとするも、プイっと横を向いてしまう。
「しーちゃーん。狐の子ってどうやって育つの?」
「し、紫狐は産んだことがないから……母から乳をもらうんだと……」
「そうか!ちょっと待っててね!」
綺麗なスポンジを水で洗って、ミルクを浸し手で口元に持っていくと、チューチューと吸っていたのでそれを繰り返す。
「やった!飲んでくれたよぉ。しーちゃんありがとう!」
「あー!ミルクだ!」
「金銀おかえり。飲む?」
「もうミルクは卒業しました!」
「君たちはこうやって飲んでたの?」
「覚えてないので……」
「でも確か、赤ちゃんはそう飲むって。最初の僕達くらいになると、色々と食べ始めるから水とか木ノ実とか」
「そうなんだ。この狐どう思う?」
「金は、分からないけど……優しい感じがする」
「銀も。この狐女の子だよ?」
「そうなの?」
最近は、俺とかおいらとか言わずに、しーちゃんの真似をして自分たちの名を呼んでいる。
まさかメスだとは思わずに世話していたが、おトイレはどうしたらいいのだろう?
「ただ恥ずかしいだけですよ?」
「そうなの。商店街では前から夫婦って言われてきたから、今更って思われるのもねぇって話してたの」
「気にしないんじゃない?返って僕が恥ずかしくなるよ?」
「雪翔……その話は雪翔からしてくれませんかねぇ?その、那智とか……」
「分かった。金と銀を使いに出せばいいんだよね?」
「もうそこまで?」
「お手伝いは部屋でしてくれてるから、出来ないかなぁ?」
「匂いがわかってるから出来ると思いますよ?金・銀!」
「はい?」
「結婚したとだけ伝えて来てください……」
「他は?」
「それだけです!ほら行ってきておくれ」
後でお駄賃頂戴ねと言い残し二匹が行ってしまったので、みんなが帰ってくるまで森に行ってくると言って出掛ける。
「しーちゃん、本持ってて」
「はい!」
「えっと五芒星を描いて気を送り……その後なんて読むのかな?飛ばしていいのかなぁ?それを続ける。毎日欠かさず続けて初めて小さな気の塊が二つできる」
書かれた図に合わせて気を送るイメージで毎日続けているが、その部分が暖かくなる程度で変化はない。
「しーちゃん、みんなの中でこれ読めそうな人知らない?あ、でもダメ!結婚式までに自分でしたいんだ。しーちゃんもナイショだよ?」
「はいー。黙ってます」
「この間の文字……見たことあるような気もするんだけどなぁ」
その後も一時間ほど続け、木にまた明日ねと声をかけて戻る。
「ごめん、もうご飯炊いちゃった?」
「ええ、でも、今日は三人分だから楽よ?」
「隆弘さんがバイトかぁ」
「裏の畑、移してきたでしょ?ちゃんと育ってるか見てきてくれない?」
「水やりもしてくるね」
畑に行くとちゃんと育っており、少しだが新しく芽が出ていた。
「フキューッ」
「何……猫?」
「違います……匂いが狐です!紫狐が見ます」
しーちゃんが裏側に回ったので反対から覗くと、真っ白で小さな猫……狐が蹲っていた。
「しーちゃん、その子弱ってるの?」
「紫狐達とは違って金たちと同じ匂いがしますけど」
「冬弥さんに見せよう……」
膝に乗せて落ちないようにしているが、かなり震えている。裏にいたと説明して、せめて元気になるまでお世話したいとお願いする。
「親の匂いがないですねぇ。だいぶ時間が経ってると思いますよ。ここの野菜を食べに来たんですかねぇ?」
「ダメ?僕面倒みるから」
「下宿だとバレたら困るので、家に連れていってください。ミルクでもいいと思いますけど、温めて、人肌になってから飲ませてくださいね」
「うん、ありがとう!」
抱っこして家まで行き、ダンボールがあったと組み立てて、中にバスタオルを入れる。それでも震えているので寒いのかな?と思い暖房をつける。
暖炉の形をした暖房器具だが、臭いが少ないのでちょうどいいかもしれない。
温めたミルクを言われた通りの温度にして飲ませようとするも、プイっと横を向いてしまう。
「しーちゃーん。狐の子ってどうやって育つの?」
「し、紫狐は産んだことがないから……母から乳をもらうんだと……」
「そうか!ちょっと待っててね!」
綺麗なスポンジを水で洗って、ミルクを浸し手で口元に持っていくと、チューチューと吸っていたのでそれを繰り返す。
「やった!飲んでくれたよぉ。しーちゃんありがとう!」
「あー!ミルクだ!」
「金銀おかえり。飲む?」
「もうミルクは卒業しました!」
「君たちはこうやって飲んでたの?」
「覚えてないので……」
「でも確か、赤ちゃんはそう飲むって。最初の僕達くらいになると、色々と食べ始めるから水とか木ノ実とか」
「そうなんだ。この狐どう思う?」
「金は、分からないけど……優しい感じがする」
「銀も。この狐女の子だよ?」
「そうなの?」
最近は、俺とかおいらとか言わずに、しーちゃんの真似をして自分たちの名を呼んでいる。
まさかメスだとは思わずに世話していたが、おトイレはどうしたらいいのだろう?
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