下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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新たなる出会い

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新しくなった下宿屋は三階建てで、西に三部屋東に三部屋の1LDK。バストイレ別、キッチン付き。ちょっとしたアパートとなっており、Wi-Fi・インターネット完備、部屋にもテレビ接続可能と前と大幅に変わっていた。三階の真ん中は談話室、一階の真ん中は食堂となっており、区切られた扉を開けると玄関に続く。

一応下駄箱の前に管理人室があり、下駄箱でスリッパや室内シューズに変えて中に入るのが決まり。三階へのエレベーターは使用禁止となっており、食堂のボードには朝夕の食事がいるのかどうか書いておかねばならない。

門限は大学生は1時、高校生は22時となっている。

前より厳しくはなくなったが、夜はしっかりと見回りが入る。もちろん見回るのは狐だが……

学校をやめて半月。
足のリハビリに通いながら、朝六時に起きて花に水やり、下宿に行き朝食の支度の手伝いをし、みんなが学校に行って片付けを終えてから朝食となる。

「栞さん、結局今までと変わらないね?」

「でも調理は楽になったわよ?」

「そうだけど、入居者増えたら三人で間に合うのかなぁ?」

「なるわよ!魚焼くのも業務用よ?一気に焼けちゃうわ。ただ、お盆にしたから楽だけど、洗い物が大変よね」

「うん」

「ほらほら、泣き言言わないで早く済ませてください!大物は私がしますし、洗い物は雪翔も出来るでしょう?みんなでやれば早いんですから!」

「そうだ!もう時間になっちゃう……栞さんこれ乾燥機に入れて……僕洗うから」

「はいはい……」

今日は栞の家の御両親に挨拶に行く日で、冬弥が一番そわそわしている。

天狐と一番位が高いのに、普通の人と変わらない生活を送ってきたので、慣れて無いといいながら、来ていく着物を選ぶのにも時間がかかっていた。

11時丁度に栞の家に着くと、お爺ちゃんが馬鹿者!遅いわ!と怒っている。

「狭い家ですが……」と通してくれた栞の母は、栞に似ていておっとりとしている。

「雪翔君よね?」

「はい」

「足、伸ばしてね?」

「ありがとうございます」

失礼にならないようにしながら、結婚の挨拶を済ませ食事会となる。人間の世界と似ているようでまた違う。

親同士は元々知り合いらしく、話はどんどんと進み、人間の子供が出来たのも嬉しいと喜んでくれたので一安心した。

「それでね?お式なんだけど、冬弥さんが天狐と言うことも有るから、通りを歩かないといけないのよねぇ。道をどうするか……ってお父さん達また飲んでるんですか?大事な話してるのに!」と怒る姿もそっくりだ。

「いやぁ、すまんすまん。道はこの前の道だけでよかろう?もう名も知れ渡っておるし……問題は人間の世界の方じゃよ。何もせんわけには行かん」

「それなんですけどねぇ、こちらで婚姻の書は出しますが、あちらにもいるので、下宿の子と四社だけでいいかと」

「今はそう言う時代なのか?雪翔」

「僕に聞かれても……地味婚はよく聞きますけど」

「じみこん?」

「えっと、式をしない人もいるし、身内だけでする人もいるし……僕に聞かないで……」

「儂等も行くしかなかろうな。適当に決めておけ」

そのままみんな飲み始め、暇になったので店の反物を見せてもらう。
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