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第三話 なんでやねん
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目が覚めた。やべえ、猫シュミ!
あれ? ここ、階段じゃねえ。保健室でもねえ。どこや?
ってか草! 草生えとるやん! 外か?
つーか、委員長。名前なんやったっけ。あいつ大丈夫なん? 咄嗟にあいつの頭を抱きかかえた記憶はあるけど。
「委員長!」
と声を出したつもりやった。名前が分かんねえんだからしゃーないやん。
せやけど、出た声はまるっきり違った。
「みゃー!」
…………。
…………。
…………可愛ええやん、俺。
ちゃうわえ! 何が可愛ええねん!
嘘やろ、俺の手も足も何もかもがモフモフや。長い尻尾まである。グレーで縞々。フツーにサバトラやん!
「みゃーみゃーみゃー!」
あかん。何を言っても「みゃー」にしかならへん。
これはもしやラノベで流行りの転生? いや、あれはフィクションやねんで。しかも中世ヨーロッパ風の異世界に行くのが基本やねんで。そんで特殊能力とか持ったりすんねんで。中世ヨーロッパ風なのにトマトとかジャガイモがあって、ドラゴンが空飛んでるんやで。できれば勇者あがりの農民でスローライフを楽しみながら可愛い女の子に囲まれてモフモフを愛でるっちゅーのんが希望なんやけど……。
猫やん。サバトラやん。異世界行ってへんし、特殊能力ないし、モフモフ愛でるどころか自分がモフっとるやん。
ちゅーかさ、それ以前に俺がこうして転生したってことは、人間だった俺は死んだってことじゃねえの? 打ち所が悪かったのか、首の骨でも折ったか。委員長は大丈夫やったん? 名前知らんけど。
なんでやねん、せっかく中学から関東デビューやと思っとったのに、いきなり死ぬんかい。せっかくうちのクラスにめっちゃかわええ双子見つけたっちゅーのに、マジやっとれんわー。
ともかく猫の体に慣れなあかんな。そもそもここどこやねん。学校の近くか。猫の視線は低くてかなんな。
おっ? 猫の体は案外快適やな。歩いても走っても身が軽い。百七十八センチ七十二キロのとても中学一年生には見えない巨体から、ちっさい猫になるのも悪ないな。
しばらくウロウロして、ここが学校の近くやいうことはわかった。あとは家に帰ってみるしかないな。俺が死んだんやったら葬式の準備とかしとるやろし、うまくすれば俺の遺体が見れるかしれん。自分の遺体を見るってシュールやで。なかなかできる経験ちゃうわ。
ところが、俺が家で見たのは俺の遺体じゃなくて『生きて歩いてる俺』やった。
あれ? ここ、階段じゃねえ。保健室でもねえ。どこや?
ってか草! 草生えとるやん! 外か?
つーか、委員長。名前なんやったっけ。あいつ大丈夫なん? 咄嗟にあいつの頭を抱きかかえた記憶はあるけど。
「委員長!」
と声を出したつもりやった。名前が分かんねえんだからしゃーないやん。
せやけど、出た声はまるっきり違った。
「みゃー!」
…………。
…………。
…………可愛ええやん、俺。
ちゃうわえ! 何が可愛ええねん!
嘘やろ、俺の手も足も何もかもがモフモフや。長い尻尾まである。グレーで縞々。フツーにサバトラやん!
「みゃーみゃーみゃー!」
あかん。何を言っても「みゃー」にしかならへん。
これはもしやラノベで流行りの転生? いや、あれはフィクションやねんで。しかも中世ヨーロッパ風の異世界に行くのが基本やねんで。そんで特殊能力とか持ったりすんねんで。中世ヨーロッパ風なのにトマトとかジャガイモがあって、ドラゴンが空飛んでるんやで。できれば勇者あがりの農民でスローライフを楽しみながら可愛い女の子に囲まれてモフモフを愛でるっちゅーのんが希望なんやけど……。
猫やん。サバトラやん。異世界行ってへんし、特殊能力ないし、モフモフ愛でるどころか自分がモフっとるやん。
ちゅーかさ、それ以前に俺がこうして転生したってことは、人間だった俺は死んだってことじゃねえの? 打ち所が悪かったのか、首の骨でも折ったか。委員長は大丈夫やったん? 名前知らんけど。
なんでやねん、せっかく中学から関東デビューやと思っとったのに、いきなり死ぬんかい。せっかくうちのクラスにめっちゃかわええ双子見つけたっちゅーのに、マジやっとれんわー。
ともかく猫の体に慣れなあかんな。そもそもここどこやねん。学校の近くか。猫の視線は低くてかなんな。
おっ? 猫の体は案外快適やな。歩いても走っても身が軽い。百七十八センチ七十二キロのとても中学一年生には見えない巨体から、ちっさい猫になるのも悪ないな。
しばらくウロウロして、ここが学校の近くやいうことはわかった。あとは家に帰ってみるしかないな。俺が死んだんやったら葬式の準備とかしとるやろし、うまくすれば俺の遺体が見れるかしれん。自分の遺体を見るってシュールやで。なかなかできる経験ちゃうわ。
ところが、俺が家で見たのは俺の遺体じゃなくて『生きて歩いてる俺』やった。
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