旦那様は甘かった

松石 愛弓

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「奥様、大丈夫ですか?」

 愕然として、足が止まり、立ち尽くしている私を侍女が心配しています。

 しっかりしなければ。

 でも、学生時代も私だけを見てくれていた旦那様が、ピンクブロンドの若い女性とふたり楽しそうに歩いていた事実を、私の心は受け止められないのでした。


「奥様、私、旦那様が何処へ行かれたのか見届けて参りましょうか?」

 落ち込む私を慰めるように呟くリノン。

「いいのよ。今日はもう帰りましょう」

 もしかしたら、私が心配するようなことではないのかもしれない。

 そう思いたい気持ちと、

 もし浮気だったら・・・はっきり問い詰めて、居心地の悪くなった旦那様が彼女を選び、私の傍から居なくなってしまったら・・・。

 もう、彼に会えなくなってしまったら・・・。

 私は耐えられるのだろうか。

 こんなに愛してるのに・・・。
 
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