4 / 5
祝福の雪
しおりを挟む
不思議の森に冬が来て、初雪が降りました。
フワフワと綿のようにゆっくりと空から降ってくる雪は、とても幻想的です。
ユキヒョウのヒョウタくん(5歳)は大樹の後ろに隠れながら、そっとユキヒョウのヒョウコちゃん(5歳)の姿を見つめていました。
「ヒョウコちゃん…今日もなんて可愛いんだ…。冬休みに入る前にもっと仲良くなって、休み中もヒョウコちゃんに会えないかなぁ…」
今日も木の陰から熱視線を送り、萌えるヒョウタくんでした。
「そうだ! ヒョウコちゃんが喜ぶことをして、僕を好きになってもらえばいいんだ! そうと決まればこうしちゃいられない!」
ヒョウタくんは、いそいそと不思議の森に入ってゆきました。
しばらくして、森から出てきたヒョウタくんはヒョウコちゃんの家へ訪ねてゆきました。
♪ピンポ~ン♪
インターホンを鳴らすと、「は~い」とヒョウコちゃんが家から出てきてくれました。
「あっ、あのっ、僕、ヒョウタ。ずっと君に憧れてて…友達になってくれない? これ、君のために森で収穫してきたんだ」
ガッチガチに緊張しているヒョウタくんは、細枝で編んだ籠に多種類の果物を盛ったものと、ピンク色の可憐な花の花束を、ヒョウコちゃんにそっと差し出しました。
「まぁ…これを私に?」
嬉しそうに微笑むヒョウコちゃん。
しかし、次の瞬間、
「ケケケケケケケケ…」と不気味な笑い声がして、果物や花たちが宙に浮き、ヒョウコちゃんの周りをグルグルと飛び回り始めました。
ヒョウタくんが収穫してきたのは、妖怪果物と妖怪花だったようです。
「ごめん! 僕、気付かなくて…」
「ヒョウタくん、ひどいわ!」
パシ~ン!
見事な平手打ちが入り、遥か彼方へ飛ばされてゆくヒョウタくん。
「ヒョウコちゃん…なんて力持ちなんだ♪」
手形に腫れた頬を押さえ感動しながら飛んでゆく、ちょっとやばいヒョウタくん。なんだかとても幸せそうです。
しかし、カッコウの巣穴に突っ込んで着地したとき、カッコウに説教され頭が冷えたヒョウタくんは、このままではヒョウコちゃんに嫌われてしまう!と気付いたようです。
湖には氷が張っていて、スケートをしている動物たちがいました。
(こ…これだ! 今度こそヒョウコちゃんに好印象を与えなくちゃ!)
ヒョウタくんは一生懸命スケートの練習をし始めました。
滑って転んでは起き、何度も尻餅をついて、氷上のプリンスに弟子入りし、なんとか滑れるようになったので、ヒョウコちゃんに湖に来てくれるように頼みました。
「ヒョウコちゃん、見ていてね!」
ヒョウタくんはこの日のために作ったヒラヒラキラキラの衣装を着て、颯爽と滑り始めました。特訓の成果か、次々と技が決まってゆきます。3回転ルッツ、3回転トゥループ、3回転サルコウ、3回転ジャンプの連続技を決め、
(僕って、今、ちょっとカッコイイかも?)と調子に乗ってしまうヒョウタくんでした。
ヒョウタくんはフィニッシュにクルクルと高速回転し始めました。
ゴリゴリゴリゴリ…
同じ場所で回転し過ぎたせいか、湖の氷に穴が開いてしまいました。
ドッポ~ン!!
湖に沈んでゆくヒョウタくん。
(…かっこよく決めるつもりだったのに。ああ、僕ってカッコ悪い…)
湖に沈みながら羞恥に震えていると、ヒョウコちゃんが湖に飛び込み助けに来てくれました。
ヒョウコちゃんに抱えられなんとか湖面に上がると、ヒョウコちゃんは魔法で服を乾かし、体を温めてくれました。
「ヒョウタくんに悪意がなくて、一生懸命だってことは分かったわ。この間は、殴っちゃってごめんね」
ヒョウコちゃんの優しい眼差しに、誤解が解けたことを喜ぶヒョウタくん。
「ヒョウコちゃん、また会える?」
「会えるよ。今度はもっと安全で温かいところで会おう」
「やったぁ♪」
ちょっとドジで一生懸命なヒョウタくんの想いは、ヒョウコちゃんに届いたようです。
ふたりを祝福するように、空からは美しい雪がキラキラと降り注いだのでした。
フワフワと綿のようにゆっくりと空から降ってくる雪は、とても幻想的です。
ユキヒョウのヒョウタくん(5歳)は大樹の後ろに隠れながら、そっとユキヒョウのヒョウコちゃん(5歳)の姿を見つめていました。
「ヒョウコちゃん…今日もなんて可愛いんだ…。冬休みに入る前にもっと仲良くなって、休み中もヒョウコちゃんに会えないかなぁ…」
今日も木の陰から熱視線を送り、萌えるヒョウタくんでした。
「そうだ! ヒョウコちゃんが喜ぶことをして、僕を好きになってもらえばいいんだ! そうと決まればこうしちゃいられない!」
ヒョウタくんは、いそいそと不思議の森に入ってゆきました。
しばらくして、森から出てきたヒョウタくんはヒョウコちゃんの家へ訪ねてゆきました。
♪ピンポ~ン♪
インターホンを鳴らすと、「は~い」とヒョウコちゃんが家から出てきてくれました。
「あっ、あのっ、僕、ヒョウタ。ずっと君に憧れてて…友達になってくれない? これ、君のために森で収穫してきたんだ」
ガッチガチに緊張しているヒョウタくんは、細枝で編んだ籠に多種類の果物を盛ったものと、ピンク色の可憐な花の花束を、ヒョウコちゃんにそっと差し出しました。
「まぁ…これを私に?」
嬉しそうに微笑むヒョウコちゃん。
しかし、次の瞬間、
「ケケケケケケケケ…」と不気味な笑い声がして、果物や花たちが宙に浮き、ヒョウコちゃんの周りをグルグルと飛び回り始めました。
ヒョウタくんが収穫してきたのは、妖怪果物と妖怪花だったようです。
「ごめん! 僕、気付かなくて…」
「ヒョウタくん、ひどいわ!」
パシ~ン!
見事な平手打ちが入り、遥か彼方へ飛ばされてゆくヒョウタくん。
「ヒョウコちゃん…なんて力持ちなんだ♪」
手形に腫れた頬を押さえ感動しながら飛んでゆく、ちょっとやばいヒョウタくん。なんだかとても幸せそうです。
しかし、カッコウの巣穴に突っ込んで着地したとき、カッコウに説教され頭が冷えたヒョウタくんは、このままではヒョウコちゃんに嫌われてしまう!と気付いたようです。
湖には氷が張っていて、スケートをしている動物たちがいました。
(こ…これだ! 今度こそヒョウコちゃんに好印象を与えなくちゃ!)
ヒョウタくんは一生懸命スケートの練習をし始めました。
滑って転んでは起き、何度も尻餅をついて、氷上のプリンスに弟子入りし、なんとか滑れるようになったので、ヒョウコちゃんに湖に来てくれるように頼みました。
「ヒョウコちゃん、見ていてね!」
ヒョウタくんはこの日のために作ったヒラヒラキラキラの衣装を着て、颯爽と滑り始めました。特訓の成果か、次々と技が決まってゆきます。3回転ルッツ、3回転トゥループ、3回転サルコウ、3回転ジャンプの連続技を決め、
(僕って、今、ちょっとカッコイイかも?)と調子に乗ってしまうヒョウタくんでした。
ヒョウタくんはフィニッシュにクルクルと高速回転し始めました。
ゴリゴリゴリゴリ…
同じ場所で回転し過ぎたせいか、湖の氷に穴が開いてしまいました。
ドッポ~ン!!
湖に沈んでゆくヒョウタくん。
(…かっこよく決めるつもりだったのに。ああ、僕ってカッコ悪い…)
湖に沈みながら羞恥に震えていると、ヒョウコちゃんが湖に飛び込み助けに来てくれました。
ヒョウコちゃんに抱えられなんとか湖面に上がると、ヒョウコちゃんは魔法で服を乾かし、体を温めてくれました。
「ヒョウタくんに悪意がなくて、一生懸命だってことは分かったわ。この間は、殴っちゃってごめんね」
ヒョウコちゃんの優しい眼差しに、誤解が解けたことを喜ぶヒョウタくん。
「ヒョウコちゃん、また会える?」
「会えるよ。今度はもっと安全で温かいところで会おう」
「やったぁ♪」
ちょっとドジで一生懸命なヒョウタくんの想いは、ヒョウコちゃんに届いたようです。
ふたりを祝福するように、空からは美しい雪がキラキラと降り注いだのでした。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

ルカとカイル
松石 愛弓
児童書・童話
異世界に転移してきた魔法を使えるルカと、金色の虎から人の姿に変身できるカイルの日常。童話のパロディや、森の動物たちの日常をコメディ路線で書いてゆく予定です。
ほぼショートショートの読み切りのお話です。すぐに気楽に読めると思います。よろしくお願いします。不定期更新です。

【完結済み】破滅のハッピーエンドの王子妃
BBやっこ
児童書・童話
ある国は、攻め込まれ城の中まで敵国の騎士が入り込みました。その時王子妃様は?
1話目は、王家の終わり
2話めに舞台裏、魔国の騎士目線の話
さっくり読める童話風なお話を書いてみました。

ルカ、振り向いて作戦
松石 愛弓
児童書・童話
ルカが郵便屋さんのヤギ吉さんと仲良く話している姿を見て、ヤキモチを焼いてしまうカイル。カイルは焦り、打開策を考える。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました。ルカとカイル。の番外編です。

カラッポ城の歌王子
都茉莉
児童書・童話
ミアの住む町の側には、人の寄り付かない古城がある。かつては魔王が住んでいたという、いわくがあるからだ。
その城から漏れ聞こえる歌声に魅了されたミアは、誘われるままに引き寄せられていく。妖しげな古城で出会った歌声の主である少年との交流で、彼女の生活は少しずつ歪みはじめていた。
プラネタリウムのめざす空
詩海猫
児童書・童話
タイトル通り、プラネタリウムが空を目指して歩く物語です。
普段はタイトル最後なのですが唐突にタイトルと漠然とした内容だけ浮かんで書いてみました。
短い童話なので最初から最後までフワッとしています。が、細かい突っ込みはナシでお願いします。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
賢二と宙
雨宮大智
児童書・童話
中学校3年生の宙(そら)は、小学校6年生の弟の賢二と夜空を見上げた⎯⎯。そこにあるのは、未だ星座として認識されていない星たちだった。ふたりの対話が、物語の星座を作り上げてゆく。流れ星を見た賢二はいう。「願い事を三回言うなんて、出来ないよ」兄の宙が答えた。「いつでもそうなれるように、準備しておけってことさ」。
【旧筆名、多梨枝伸時代の作品】
クール天狗の溺愛事情
緋村燐
児童書・童話
サトリの子孫である美紗都は
中学の入学を期にあやかしの里・北妖に戻って来た。
一歳から人間の街で暮らしていたからうまく馴染めるか不安があったけれど……。
でも、素敵な出会いが待っていた。
黒い髪と同じ色の翼をもったカラス天狗。
普段クールだという彼は美紗都だけには甘くて……。
*・゜゚・*:.。..。.:*☆*:.。. .。.:*・゜゚・*
「可愛いな……」
*滝柳 風雅*
守りの力を持つカラス天狗
。.:*☆*:.。
「お前今から俺の第一嫁候補な」
*日宮 煉*
最強の火鬼
。.:*☆*:.。
「風雅の邪魔はしたくないけど、簡単に諦めたくもないなぁ」
*山里 那岐*
神の使いの白狐
\\ドキドキワクワクなあやかし現代ファンタジー!//
野いちご様
ベリーズカフェ様
魔法のiらんど様
エブリスタ様
にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる