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エミルは隣国の森で、可愛い動物たちに囲まれて毎日楽しく暮らしていた。
森のはずれの木陰に魔法でウッドハウスを建て、可憐な花々が咲く庭には、木製の長テーブルと長椅子を置き、エミルはここで動物たちとの食事を楽しんだ。
家の傍には、動物たちが好む甘い果実や木の実が実る木をたくさん植えた。魔法でいつもたわわに果物や木の実が実っているので、動物たちや小鳥たちは食べ物に困ることがなくなった。
可愛いもふもふの動物たちと一緒に昼寝したり、遊んだり、散歩したり、夜は空一面に輝く星空を眺めたり。
数日、のんびり暮らしていると、5年間休み無しで頑張ってきた疲れた心身が活気を取り戻すように回復してきた。
そんなある日、森を散歩していると行倒れている騎士を見かけた。
エミルは治癒魔法で怪我を治し、まだ意識の戻らない彼を家に連れ帰りベッドで休ませた。
ベッドの周りを動物たちと取り囲むようにして、彼が気が付くのを待つ。
青い短髪、白い肌に長い睫毛の美しい青年だ。
「この人、この国の騎士かな?」
リスさんが心配そうに言い、
「剣は預かっていたほうがいいよ。もし悪い人だったら、僕たちが守ってあげるからね!」
熊さんや狼さんがエミルを勇気づける。
「ありがとう。頼もしいわ」
腕を少し剣で斬られてたみたいだけど、誰かに追われているのかしら……?
「なかなか起きないから、私が起こしてあげる~」
山猫さんがピョンっとベッドに飛び乗ると、彼にキスをした。
「ううん……」
キスで目覚める白雪姫のような青年は目をこすり、エミルと動物たちに囲まれている状況に驚いた。
「ここは……?」
キョロキョロと部屋や動物たちを見る青年。
「あなたは森で倒れていたのよ。体調はどう?」
エミルが心配そうに尋ねると、
「あなたが看病してくれたんですね。ありがとうございます。実は……」
青年が事情を話そうとしてベッドからゆっくりと起き上がると、突然、乱暴にドアが蹴破られた。
「見つけたぞ! 今度こそ逃がさない!」
衛兵のような風貌の男が、青年にライフルの銃口を向けた。
森のはずれの木陰に魔法でウッドハウスを建て、可憐な花々が咲く庭には、木製の長テーブルと長椅子を置き、エミルはここで動物たちとの食事を楽しんだ。
家の傍には、動物たちが好む甘い果実や木の実が実る木をたくさん植えた。魔法でいつもたわわに果物や木の実が実っているので、動物たちや小鳥たちは食べ物に困ることがなくなった。
可愛いもふもふの動物たちと一緒に昼寝したり、遊んだり、散歩したり、夜は空一面に輝く星空を眺めたり。
数日、のんびり暮らしていると、5年間休み無しで頑張ってきた疲れた心身が活気を取り戻すように回復してきた。
そんなある日、森を散歩していると行倒れている騎士を見かけた。
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ベッドの周りを動物たちと取り囲むようにして、彼が気が付くのを待つ。
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「この人、この国の騎士かな?」
リスさんが心配そうに言い、
「剣は預かっていたほうがいいよ。もし悪い人だったら、僕たちが守ってあげるからね!」
熊さんや狼さんがエミルを勇気づける。
「ありがとう。頼もしいわ」
腕を少し剣で斬られてたみたいだけど、誰かに追われているのかしら……?
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「ううん……」
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「ここは……?」
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「あなたは森で倒れていたのよ。体調はどう?」
エミルが心配そうに尋ねると、
「あなたが看病してくれたんですね。ありがとうございます。実は……」
青年が事情を話そうとしてベッドからゆっくりと起き上がると、突然、乱暴にドアが蹴破られた。
「見つけたぞ! 今度こそ逃がさない!」
衛兵のような風貌の男が、青年にライフルの銃口を向けた。
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