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☆ エリオット視点
あまりにも似合いすぎるふたりに、僕は思わず嫉妬してしまう。
「アリシア! 誰だよ、その男は!」
もうアリシアは僕の婚約者じゃないのに、他の男に奪われたかと思うと、余計にアリシアが綺麗で魅力的に見えてきて、なんて惜しいことをしたんだと後悔の念が押し寄せてくる。
身勝手な独占欲に支配されていく僕は、アリシアを取り戻したくて仕方なかった。
アリシアは元々、僕のものだ。
「なぜ、エリオット様に怒鳴られないといけないのです? 私に婚約破棄を突き付けておきながら、なぜここに来たのです」
アリシアの冷たい声が、心に響く。
幼い頃から、僕に会うといつも優しく微笑んでくれたのに。
こんな無表情な、能面のようなアリシアを見るのは初めてだ。
いつも至らない僕を許してくれたアリシアが、遂にキレた。
でも、なんとか婚約破棄を無かったことにして、元の鞘に収めたい。単純な僕の頭の中には、それしかなかった。
「ダメじゃないか、食べ物を大切にしなければ! 食品ロスなどもってのほか。ちゃんと賞味期限内に調理して、コンニャク破棄しないようにね!」
僕が真面目な顔でボケて、今までのことを有耶無耶にしようとすると、
「何言ってるんですか~っ! コンニャク破棄してないし、婚約破棄の話をしてるんですよ! あなたはターニャ嬢を選んだのでしょう? 今更私に何の用事があるんですか!」
イラっとしたアリシアを今まで見たことが無かった。新鮮だなぁ。
「実は、ターニャ嬢と結婚すると、魔物討伐に行かされるということが分かったのだよ。 おまけに毒蛇を数十匹も放し飼いにしてるし、それなら、アリシアと結婚してたほうがずっとよかったなぁって気付いたんだ。 というわけで、婚約破棄は無かったことにしてくれないかな?」
平然と言う僕に、アリシアは唖然とした後、盛大にキレた。
「最っ低~~~っ! あなたは条件の良し悪しだけで結婚するのですか? ターニャ嬢を愛してるなら、魔物討伐も毒蛇も我慢できるのでは? 私に濡れ衣を着せてまで婚約破棄して選んだ女性なのでしょう?」
「愛してるっていうか…贅沢三昧好き放題させてくれるって話だったんだけど、実際はそうでもないような気がしてきたんだよね」
「軽いわ…軽すぎる…そんな理由で婚約破棄…。あなたは男の風上にも置けないクズだわっ!」
こんなにブチ切れるアリシアを初めて見た。なんて言えば許してくれるのかな。
「あなたは本当に、勝手な人ですね」
ローブ姿の美青年が呆れたように呟いた。
アリシアを庇うように、さりげなく僕と彼女の間に立ち塞がる。
くそぅ。イケメンだからって、ヅラじゃないからって。なんか色々すごく負けてるような気分になってくる。
彼を直視しないようにしよう。眩しすぎて卑屈になってしまう。
僕は邸内に入れてももらえず、門の外から彼と対峙するのだった。
あまりにも似合いすぎるふたりに、僕は思わず嫉妬してしまう。
「アリシア! 誰だよ、その男は!」
もうアリシアは僕の婚約者じゃないのに、他の男に奪われたかと思うと、余計にアリシアが綺麗で魅力的に見えてきて、なんて惜しいことをしたんだと後悔の念が押し寄せてくる。
身勝手な独占欲に支配されていく僕は、アリシアを取り戻したくて仕方なかった。
アリシアは元々、僕のものだ。
「なぜ、エリオット様に怒鳴られないといけないのです? 私に婚約破棄を突き付けておきながら、なぜここに来たのです」
アリシアの冷たい声が、心に響く。
幼い頃から、僕に会うといつも優しく微笑んでくれたのに。
こんな無表情な、能面のようなアリシアを見るのは初めてだ。
いつも至らない僕を許してくれたアリシアが、遂にキレた。
でも、なんとか婚約破棄を無かったことにして、元の鞘に収めたい。単純な僕の頭の中には、それしかなかった。
「ダメじゃないか、食べ物を大切にしなければ! 食品ロスなどもってのほか。ちゃんと賞味期限内に調理して、コンニャク破棄しないようにね!」
僕が真面目な顔でボケて、今までのことを有耶無耶にしようとすると、
「何言ってるんですか~っ! コンニャク破棄してないし、婚約破棄の話をしてるんですよ! あなたはターニャ嬢を選んだのでしょう? 今更私に何の用事があるんですか!」
イラっとしたアリシアを今まで見たことが無かった。新鮮だなぁ。
「実は、ターニャ嬢と結婚すると、魔物討伐に行かされるということが分かったのだよ。 おまけに毒蛇を数十匹も放し飼いにしてるし、それなら、アリシアと結婚してたほうがずっとよかったなぁって気付いたんだ。 というわけで、婚約破棄は無かったことにしてくれないかな?」
平然と言う僕に、アリシアは唖然とした後、盛大にキレた。
「最っ低~~~っ! あなたは条件の良し悪しだけで結婚するのですか? ターニャ嬢を愛してるなら、魔物討伐も毒蛇も我慢できるのでは? 私に濡れ衣を着せてまで婚約破棄して選んだ女性なのでしょう?」
「愛してるっていうか…贅沢三昧好き放題させてくれるって話だったんだけど、実際はそうでもないような気がしてきたんだよね」
「軽いわ…軽すぎる…そんな理由で婚約破棄…。あなたは男の風上にも置けないクズだわっ!」
こんなにブチ切れるアリシアを初めて見た。なんて言えば許してくれるのかな。
「あなたは本当に、勝手な人ですね」
ローブ姿の美青年が呆れたように呟いた。
アリシアを庇うように、さりげなく僕と彼女の間に立ち塞がる。
くそぅ。イケメンだからって、ヅラじゃないからって。なんか色々すごく負けてるような気分になってくる。
彼を直視しないようにしよう。眩しすぎて卑屈になってしまう。
僕は邸内に入れてももらえず、門の外から彼と対峙するのだった。
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