9 / 14
9
しおりを挟む
☆ エリオット視点
「またなの~? エリオット様、金鉱山を守るため、魔物退治に行ってくださいな。私兵に案内させますわ」
まるで当たり前のように平然と言ってのけるターニャ。
「え? 何で? 贅沢三昧好き放題させてくれる約束だろ?」
ターニャの豹変ぶりに唖然とする。
「それはそうですけど、今は緊急事態ですもの。 金鉱山の金を食べる魔物もいますのよ。 金が減ってしまうじゃないですか。 腕の良い騎士や魔法使いは皆、王宮の護衛に召し上げられ、良い私兵もなかなか集まらず難儀しておりました。 エリオット様は学園でもトップクラスの武術力で攻撃魔法もお上手。 きっと、魔物討伐も楽勝でしょう?」
何かを企むような表情で薄笑いするターニャ。
ちょっと待て…それじゃ、まるで…。
「もしかして、君が僕を婿に欲しがったのは…魔物討伐の戦力にしたかったからなのか?」
ターニャは、それがどうしたとばかりに嘲笑した。
「あら、言ってませんでしたか?」
「聞いてないよ! 魔物討伐に行かされるなんて知ってたら、君と結婚しようなんて思わなかった!」
言い返す僕を、ターニャはキッと睨みつけた。
「愛する婚約者の実家が困っていたら助けるのは当然のことでしょう? 贅沢だけさせてもらえるとでも? それに、エリオット様だって私に言ってないことがあるわ!」
「なんだ?」
「ヅラを被っていることと、童貞だということよ!」
「童貞まで申告しないといけないのか~~っ?! なぜ、そこまで知っている?」
「密偵を放って調べさせたもの! あなたがベッドの下にH本を隠していることも知ってるわ! このロリ好き!」
「そこまで調べるのか~~っ! プライバシーの侵害だっ! 君のような性悪女とは結婚できない! 婚約破棄だっ!」
「おほほほほ~! 婚約破棄したって、あなたの実家は弟が継ぐことになってるし、2度も婚約破棄した貴方と結婚してくれる令嬢なんてどこにもいないわよ! あなたは私と結婚するしかないの! さぁ、とっとと魔物退治に行きなさい!」
腰に手をあて仁王立ちする悪魔のような女。
僕に逃げ場が無いと分かれば、この態度か。
僕を好きだったんじゃない。最初から、魔物討伐の戦力が欲しくて近づいてきただけだったんだ。
彼女が本当に好きなのは、金鉱山に眠る金塊。
ターニャの言葉を丸ごと信じたばかりにこんなことに…。
ターニャは目的のためなら、どんなことでも言える女だったんだ。
僕は部屋を飛び出した。
もう、ターニャを信じられない。 絶対、逃げ切ってやるんだ!
「またなの~? エリオット様、金鉱山を守るため、魔物退治に行ってくださいな。私兵に案内させますわ」
まるで当たり前のように平然と言ってのけるターニャ。
「え? 何で? 贅沢三昧好き放題させてくれる約束だろ?」
ターニャの豹変ぶりに唖然とする。
「それはそうですけど、今は緊急事態ですもの。 金鉱山の金を食べる魔物もいますのよ。 金が減ってしまうじゃないですか。 腕の良い騎士や魔法使いは皆、王宮の護衛に召し上げられ、良い私兵もなかなか集まらず難儀しておりました。 エリオット様は学園でもトップクラスの武術力で攻撃魔法もお上手。 きっと、魔物討伐も楽勝でしょう?」
何かを企むような表情で薄笑いするターニャ。
ちょっと待て…それじゃ、まるで…。
「もしかして、君が僕を婿に欲しがったのは…魔物討伐の戦力にしたかったからなのか?」
ターニャは、それがどうしたとばかりに嘲笑した。
「あら、言ってませんでしたか?」
「聞いてないよ! 魔物討伐に行かされるなんて知ってたら、君と結婚しようなんて思わなかった!」
言い返す僕を、ターニャはキッと睨みつけた。
「愛する婚約者の実家が困っていたら助けるのは当然のことでしょう? 贅沢だけさせてもらえるとでも? それに、エリオット様だって私に言ってないことがあるわ!」
「なんだ?」
「ヅラを被っていることと、童貞だということよ!」
「童貞まで申告しないといけないのか~~っ?! なぜ、そこまで知っている?」
「密偵を放って調べさせたもの! あなたがベッドの下にH本を隠していることも知ってるわ! このロリ好き!」
「そこまで調べるのか~~っ! プライバシーの侵害だっ! 君のような性悪女とは結婚できない! 婚約破棄だっ!」
「おほほほほ~! 婚約破棄したって、あなたの実家は弟が継ぐことになってるし、2度も婚約破棄した貴方と結婚してくれる令嬢なんてどこにもいないわよ! あなたは私と結婚するしかないの! さぁ、とっとと魔物退治に行きなさい!」
腰に手をあて仁王立ちする悪魔のような女。
僕に逃げ場が無いと分かれば、この態度か。
僕を好きだったんじゃない。最初から、魔物討伐の戦力が欲しくて近づいてきただけだったんだ。
彼女が本当に好きなのは、金鉱山に眠る金塊。
ターニャの言葉を丸ごと信じたばかりにこんなことに…。
ターニャは目的のためなら、どんなことでも言える女だったんだ。
僕は部屋を飛び出した。
もう、ターニャを信じられない。 絶対、逃げ切ってやるんだ!
1
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
失礼な人のことはさすがに許せません
四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」
それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。
ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。
せっかくですもの、特別な一日を過ごしましょう。いっそ愛を失ってしまえば、女性は誰よりも優しくなれるのですよ。ご存知ありませんでしたか、閣下?
石河 翠
恋愛
夫と折り合いが悪く、嫁ぎ先で冷遇されたあげく離婚することになったイヴ。
彼女はせっかくだからと、屋敷で夫と過ごす最後の日を特別な一日にすることに決める。何かにつけてぶつかりあっていたが、最後くらいは夫の望み通りに振る舞ってみることにしたのだ。
夫の愛人のことを軽蔑していたが、男の操縦方法については学ぶところがあったのだと気がつく彼女。
一方、突然彼女を好ましく感じ始めた夫は、離婚届の提出を取り止めるよう提案するが……。
愛することを止めたがゆえに、夫のわがままにも優しく接することができるようになった妻と、そんな妻の気持ちを最後まで理解できなかった愚かな夫のお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID25290252)をお借りしております。
伯爵令嬢の苦悩
夕鈴
恋愛
伯爵令嬢ライラの婚約者の趣味は婚約破棄だった。
婚約破棄してほしいと願う婚約者を宥めることが面倒になった。10回目の申し出のときに了承することにした。ただ二人の中で婚約破棄の認識の違いがあった・・・。
ボロボロになった心
空宇海
恋愛
付き合ってそろそろ3年の彼氏が居る
彼氏は浮気して謝っての繰り返し
もう、私の心が限界だった。
心がボロボロで
もう、疲れたよ…
彼のためにって思ってやってきたのに…
それが、彼を苦しめてた。
だからさよなら…
私はまた、懲りずに新しい恋をした
※初めから書きなおしました。
この恋、諦めます
ラプラス
恋愛
片想いの相手、イザラが学園一の美少女に告白されているところを目撃してしまったセレン。
もうおしまいだ…。と絶望するかたわら、色々と腹を括ってしまう気の早い猪突猛進ヒロインのおはなし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる