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「明日、サーガ伯爵がおまえに会ってくださるそうだ。
 必ずや気に入っていただき、結婚にこぎつけるのだ!」

 父は、ふんぞり返って偉そうに命令した。


 早っ!

 昨日の今日で、もう結婚相手の選出と会う日まで決まったなんて。

 父は領地の仕事はやる気が無くいつまでも捗らないのに、私を追い出す話となると剛速球だ。


「というわけで、明日の早朝、サーガ伯爵家の領地へ出立だ。
 そのまま、伯爵の屋敷に置いてもらえるように荷造りもしていきなさい。おやすみ」

 父は言いたいことだけ言って、私の部屋を出て行った。


 明日の早朝出発で荷造りしないといけないのに、伝えてくれたのは今しがた…。

 部屋の掛け時計を眺める。

「もう22時か」

 もっと、早く言ってよ~~!!

 私は大急ぎでメリーの部屋へ向かった。



 翌日、早朝。

 といっても、午前3時。

 どんだけ早く追い出したいのだろう。


 昨夜はメイドたちと荷造りの後、湯浴みをして、ドレスアップとお化粧(厚め)をしたら、徹夜だった。

 メリーと馬車に乗り込み、窓から生家を眺める。

 といっても、暗くてよく見えない。


 いつも、父母妹に邪魔にされて寂しかった思い出ばかりが蘇る。

 庭に咲く花々とメリーだけが、安らぎを与えてくれた日々。

 予想通り家族の見送りもなく、馬車は出発した。


 やっと、あの人たちと離れられる。


 父が探してきた結婚相手がどんな人なのか不安はあったけど、

 不安より、眠気が圧勝。

 揺れる馬車の中で、私とメリーは寄り添いながら爆睡した。
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