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しおりを挟む今日もフライパン片手にお料理の練習♪
屋敷の隅っこの物置小屋の隠し部屋で、喫茶店メニューを延々と作っています。
サンドウィッチ、スパゲティ、オムレツ、などなど。
「ラーナお嬢様、材料持ってきました~♪」
侍女のメリーが厨房から野菜や果物などを運んでくれる。
どっこいしょ、と重いカバンを小屋の入り口に置いた。
「いつもありがとう、メリー」
「やだもう。お嬢様のためならえんやこらですわ。ああ、良い匂い♪」
「今、シチューを作ってたのよ。味見してくれる?」
「もちろんですわ~♪」
私たちは仲良く物置小屋の隠し部屋へ入っていく。
リンゴ箱をたくさん並べてくっつけた台の上には、今しがた作った喫茶店メニューがずらりと並び、美味しそうな匂いを漂わせていた。
「このクリームシチュー、濃厚で美味しいですわ♪」
「チーズを入れてみたの」
「かくれんぼ味ですね♪」
「隠し味よ♪ 他にもいろいろ作ってみたから試食してくれる?」
「はいっ♪」
私たちがクルリと振り向くと、すでに料理は無かった。
そして、リンゴ箱の横では義妹のエリザベスが満腹な様子で横たわっていた。
「エリザベス、どうして?!」
「私の後を連いてこられたんでしょうか? そして、こっそり忍び込み、私がシチューを味見している間に、完食?」
なんという早技!
「うぅ~ん…食べ過ぎで苦しぃ~…」
エリザベスは苦しそうだけど、食べ過ぎって自業自得だよね、なんて思っていると、
「なんと~~っ! 食べ過ぎで苦しいなんて! なんて可哀そうなんだ、エリザベス!」
「なんて酷い仕打ちを! ラーナ、許さないわ!」
どこから湧いたのか、突然、エリザベス父母が登場した!
一方的に悪者にされているあたり、とても納得がゆかない。
勝手に小屋に忍び込み、私の手料理を黙って完食し、泥棒と言われても仕方ない状況なのに。
「あのですね~」
私が何か言いかけると、
「エリザベスをこんな目に合わせて、まだ言い訳するつもりかっ!
もう我慢ならん! 近日中におまえの結婚相手を決めてくるからな!
こんな恐ろしい娘を家に置いておくわけにはいか~~ん!」
熱血わけわからん父母はエリザベスを抱き上げ、怒って小屋を出て行った。
まだ家出準備が出来てないのに~!
「ラーナお嬢様…」
メリーが悲しそうな顔をして私を見つめてる。
こんなに早く追い出されることになって、不安だよね。
「お嬢様が作ったサンドウィッチとスパゲティとオムレツが食べれると思って楽しみにしておりましたのに…少しくらい残しておいてくれてもいいのに…完食してしまうなんて~~っ!」
メリーはハンカチを噛んで、くやしがった。
落ち込んでた理由は、そっちか~い!
突っ込まずにはいられない私だった。
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