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「あ~♪ 美味かったな~」
朝食の後、晴れた空を飛んでいるマリーたち。
銀狼ライの背中は、極上のもふもふで温かくて乗り心地満点だ。
ジャックの頭や肩の上では、満腹で丸々太ったインコたちがのんびりと寛ぎ、ジャックは少し重そうだ。
「初めて森で会った時は、インコ連れてなかったよね?」マリーが訊くと、
「マリーを探すのに呼び出して協力してもらったんだよ。マリーを見つけてくれたのはいいが、甘え癖がついたみたいで…。インコが重い」と、猫背になるジャック。
「大丈夫? ライも重いよね? 私たち二人も乗せてくれて」
心配でマリーがライに聞いてみると、
「いや? おまえたち2人くらい何ともない。あと、20~30人でもいけるぞ」
ライの余裕の発言に、メスインコたちが嬌声を上げる。
「キャ~♪ライ様ステキ~!」
「力持チ ナノネ~!」
「カッコイイ~!」
「何処カノ 軟弱デ ソコソコノ 誰カトハ違ウワ~!」
「悪かったな、軟弱なそこそこの男で!」
シャルロットの放った『そこそこの男』発言は、しっかりインコたちに受け継がれてしまったようだ。
男らしいライに比べ、器の小っちゃい男だと思われたくないジャックは、インコが重くないふりをして見栄を張った。
「太ったインコが何羽乗ろうと重いわけないだろ!ははは!」
「「「ホント~♪」」」
大喜びのインコたちは、食後の運動にプロレスを始めた。
「ちょっ、おまえら、マジか!」
ジャックの頭や肩や背中の上でピョンピョンと跳ね回り、キックを楽しむインコたち。
後悔先に立たずである。
そうこうしていると、ハゲワシの群れが近づいてきた。
なんだなんだ?
山賊の次はハゲワシか?
満腹インコは戦力にならなさそうだし(普段から)
なんて、ドキドキしていたら、ハゲワシは道を尋ねてきただけだった。
「ところで、家の方にはちゃんと連絡してるのか?」
ライがジャックに尋ねる。
「もちろんだ!インコAとインコBに手紙を届けるように言ってきかせた。インコAとBは真面目なインコだから、きっと、うちとマリーの実家に手紙を届けてくれるはずだ。インコZとインコYはあまりアテにならないのだがな!」
ジャックは数十羽のインコの性格を把握しつくしているようだ。
しかし数十羽もいると、凝った名前を付けても覚えきれないのか、A~Zと呼んでいるらしい。とても手抜きだ。
「それから、俺の友人にも手紙を送ったんだ。シャルロットの理想に近い男なんだけど、以前からシャルロットを気に入ってるようだったから交際を勧めた。どういう理由であれ、婚約破棄にしたままでは彼女に悪いからな。彼とはシャルロットも面識があるし、多分うまくいくと思うんだ」
ジャックの言葉を聞いて、マリーはホッとした。
「そう。私もシャルロットの事は気になっていたの。前世では私が気付かないうちに嫌な思いをさせてしまって、今世は幸せになってほしいと思っていたのよ。彼女に、そんな良い人を紹介してくれたのね。ありがとう、ジャック」
心のつかえがなくなり、罪悪感から解放されるマリーだった。
雲を抜けると眼下には綺麗な花畑が広がっていた。
「きれ~い!」
マリーが歓声を上げ、ライはゆっくり花畑へ着地した。
朝食の後、晴れた空を飛んでいるマリーたち。
銀狼ライの背中は、極上のもふもふで温かくて乗り心地満点だ。
ジャックの頭や肩の上では、満腹で丸々太ったインコたちがのんびりと寛ぎ、ジャックは少し重そうだ。
「初めて森で会った時は、インコ連れてなかったよね?」マリーが訊くと、
「マリーを探すのに呼び出して協力してもらったんだよ。マリーを見つけてくれたのはいいが、甘え癖がついたみたいで…。インコが重い」と、猫背になるジャック。
「大丈夫? ライも重いよね? 私たち二人も乗せてくれて」
心配でマリーがライに聞いてみると、
「いや? おまえたち2人くらい何ともない。あと、20~30人でもいけるぞ」
ライの余裕の発言に、メスインコたちが嬌声を上げる。
「キャ~♪ライ様ステキ~!」
「力持チ ナノネ~!」
「カッコイイ~!」
「何処カノ 軟弱デ ソコソコノ 誰カトハ違ウワ~!」
「悪かったな、軟弱なそこそこの男で!」
シャルロットの放った『そこそこの男』発言は、しっかりインコたちに受け継がれてしまったようだ。
男らしいライに比べ、器の小っちゃい男だと思われたくないジャックは、インコが重くないふりをして見栄を張った。
「太ったインコが何羽乗ろうと重いわけないだろ!ははは!」
「「「ホント~♪」」」
大喜びのインコたちは、食後の運動にプロレスを始めた。
「ちょっ、おまえら、マジか!」
ジャックの頭や肩や背中の上でピョンピョンと跳ね回り、キックを楽しむインコたち。
後悔先に立たずである。
そうこうしていると、ハゲワシの群れが近づいてきた。
なんだなんだ?
山賊の次はハゲワシか?
満腹インコは戦力にならなさそうだし(普段から)
なんて、ドキドキしていたら、ハゲワシは道を尋ねてきただけだった。
「ところで、家の方にはちゃんと連絡してるのか?」
ライがジャックに尋ねる。
「もちろんだ!インコAとインコBに手紙を届けるように言ってきかせた。インコAとBは真面目なインコだから、きっと、うちとマリーの実家に手紙を届けてくれるはずだ。インコZとインコYはあまりアテにならないのだがな!」
ジャックは数十羽のインコの性格を把握しつくしているようだ。
しかし数十羽もいると、凝った名前を付けても覚えきれないのか、A~Zと呼んでいるらしい。とても手抜きだ。
「それから、俺の友人にも手紙を送ったんだ。シャルロットの理想に近い男なんだけど、以前からシャルロットを気に入ってるようだったから交際を勧めた。どういう理由であれ、婚約破棄にしたままでは彼女に悪いからな。彼とはシャルロットも面識があるし、多分うまくいくと思うんだ」
ジャックの言葉を聞いて、マリーはホッとした。
「そう。私もシャルロットの事は気になっていたの。前世では私が気付かないうちに嫌な思いをさせてしまって、今世は幸せになってほしいと思っていたのよ。彼女に、そんな良い人を紹介してくれたのね。ありがとう、ジャック」
心のつかえがなくなり、罪悪感から解放されるマリーだった。
雲を抜けると眼下には綺麗な花畑が広がっていた。
「きれ~い!」
マリーが歓声を上げ、ライはゆっくり花畑へ着地した。
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