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サファーロの想い シリアス風?
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サファーロ様が用意してくれた家は、洋風でとても可愛らしい雰囲気ですわ。
家の中に入ると、生活に必要なものは何でも揃っていて、まさに至れり尽くせり。
可愛らしいデザインの家具とレースとリボンとピンクと花に囲まれた乙女チックなお部屋ですわ♪
私とエミリーを基準にコーディネートしてくださったのですね。
サファーロ様とモーリスさんには、ちょっと痛々しいお部屋かもしれませんわ?
「サファーロ様、ありがとうございます♪」
「お嬢様、素敵なお屋敷ですね~♪ 早速、湯あみの用意をいたしますね」
私とエミリーは、おとぎの国のような可愛い螺旋階段を楽しく駆け上がってゆきました。
**********
サファーロ視点
**********
安全のため、家の周囲に結界を張っていると、
「私も湯あみの用意をいたしましょうか?」と、モーリスが言った。
そんなこと、させたことないんだけどな。冗談かな?
男に体を洗ってもらうって、なんだかなぁ…。
モーリスは可愛い彼女が出来て、気分がハイになってるのかもしれない。
「魔法で全身洗浄できるし、私のことは気にするな。少し散歩してくるけど…2階には上がるなよ。のぞくなよ」
「は~い」
「では行ってくる」
家から少し離れたところまで草原を歩いてゆく。
背の高い雑草が生い茂った場所で座り込み、空を仰いで月光を浴びた。
月の魔力を吸収する。
体の中に魔力が満ち溢れてくるのがわかる。
今夜は雲が少なく、月光を遮らないぶん多く魔力を吸収できそうだ。
体の中から湧いてくる魔力を、〈体力の回復〉〈病気の治癒〉〈精神力の回復〉〈怪我の治癒〉などに効果的な魔力に変換し、手のひらと手のひらの間で〈魔力玉〉を作っていく。
〈魔力玉〉の中に、治癒・回復の魔力を貯めている。
毎日、少しずつ魔力を貯めて、今は小さい玉でも、いずれ大きな玉になり、絶大な治癒力を持った玉になる。
もし〈白竜の住む谷の湖にある宝玉〉が見つけられない時は、この〈魔力玉〉をシャルル嬢のおばあさまに差し出す。
おばあさまの病が完治しなくても、症状が少し軽くなるだけでもいいから、やれることはやっておく。
その後で、陞爵されるような手柄を上げなくては。
陞爵されたら、シャルル嬢を妻に迎えたい。
でも、何をすれば陞爵されるのか…それまでシャルル嬢は僕を待ってくれるだろうか。
年頃だし、シャルル嬢にはもっと良い縁談がくるはずだ。
30分くらい、体内の魔力を〈魔力玉〉に注ぎ込み、さすがに魔力が枯渇してきたので、今日はこのへんでやめることにする。
ふと、夕暮れに見た銀猫の姿を思い出した。
シャルル嬢が夢中で抱きしめていた、もふもふの銀猫。
――あんなふうに、シャルル嬢に求められてみたい…。
猫に嫉妬するなんて、ちっちゃい器だなと思いつつも、シャルル嬢からの愛情が欲しくて仕方なかった。
――前世は、年の差が壁になり、今世は爵位の差か…。こんなに長く想い続けているのに…。
僕は悔しくなって、魔法で銀猫に変身した。
思ってた以上に、魔力と体力を使ってしまった。
まだ家まで歩かないといけないのに…。
なんとか家まで辿り着いたが、汗だくになってしまった。
思わず、全身洗浄の魔法をかけてしまう。
ああっ! 今の魔法で、魔力を使い果たしてしまった…!
僕は家の前で行倒れ、意識を失った…。
目を覚ますと、僕はやわらかくて甘い匂いのするところに乗っていた。
マシュマロのような弾力。なんだこれは。
周りをよく見渡すと、僕は揺り椅子で眠るシャルル嬢の胸に抱かれていたのだった。
知らずに、ぷにぷにと触ってしまった右手を叱る。
「猫ちゃん、起きた~?」
と言うなり、熱い抱擁。谷間に顔がはさまって、ぱふぱふ状態に。
こんなラッキースケベ…じゃなくて、ハプニングに見舞われ、この部屋を出なきゃダメだと思いつつも、気持ちよくて動けない。
だめだ! 煩悩に負けるな自分! ファイト一発!
煩悩を振り切るように、未練たらたらで、僕はシャルル嬢の部屋を飛び出した。
家の中に入ると、生活に必要なものは何でも揃っていて、まさに至れり尽くせり。
可愛らしいデザインの家具とレースとリボンとピンクと花に囲まれた乙女チックなお部屋ですわ♪
私とエミリーを基準にコーディネートしてくださったのですね。
サファーロ様とモーリスさんには、ちょっと痛々しいお部屋かもしれませんわ?
「サファーロ様、ありがとうございます♪」
「お嬢様、素敵なお屋敷ですね~♪ 早速、湯あみの用意をいたしますね」
私とエミリーは、おとぎの国のような可愛い螺旋階段を楽しく駆け上がってゆきました。
**********
サファーロ視点
**********
安全のため、家の周囲に結界を張っていると、
「私も湯あみの用意をいたしましょうか?」と、モーリスが言った。
そんなこと、させたことないんだけどな。冗談かな?
男に体を洗ってもらうって、なんだかなぁ…。
モーリスは可愛い彼女が出来て、気分がハイになってるのかもしれない。
「魔法で全身洗浄できるし、私のことは気にするな。少し散歩してくるけど…2階には上がるなよ。のぞくなよ」
「は~い」
「では行ってくる」
家から少し離れたところまで草原を歩いてゆく。
背の高い雑草が生い茂った場所で座り込み、空を仰いで月光を浴びた。
月の魔力を吸収する。
体の中に魔力が満ち溢れてくるのがわかる。
今夜は雲が少なく、月光を遮らないぶん多く魔力を吸収できそうだ。
体の中から湧いてくる魔力を、〈体力の回復〉〈病気の治癒〉〈精神力の回復〉〈怪我の治癒〉などに効果的な魔力に変換し、手のひらと手のひらの間で〈魔力玉〉を作っていく。
〈魔力玉〉の中に、治癒・回復の魔力を貯めている。
毎日、少しずつ魔力を貯めて、今は小さい玉でも、いずれ大きな玉になり、絶大な治癒力を持った玉になる。
もし〈白竜の住む谷の湖にある宝玉〉が見つけられない時は、この〈魔力玉〉をシャルル嬢のおばあさまに差し出す。
おばあさまの病が完治しなくても、症状が少し軽くなるだけでもいいから、やれることはやっておく。
その後で、陞爵されるような手柄を上げなくては。
陞爵されたら、シャルル嬢を妻に迎えたい。
でも、何をすれば陞爵されるのか…それまでシャルル嬢は僕を待ってくれるだろうか。
年頃だし、シャルル嬢にはもっと良い縁談がくるはずだ。
30分くらい、体内の魔力を〈魔力玉〉に注ぎ込み、さすがに魔力が枯渇してきたので、今日はこのへんでやめることにする。
ふと、夕暮れに見た銀猫の姿を思い出した。
シャルル嬢が夢中で抱きしめていた、もふもふの銀猫。
――あんなふうに、シャルル嬢に求められてみたい…。
猫に嫉妬するなんて、ちっちゃい器だなと思いつつも、シャルル嬢からの愛情が欲しくて仕方なかった。
――前世は、年の差が壁になり、今世は爵位の差か…。こんなに長く想い続けているのに…。
僕は悔しくなって、魔法で銀猫に変身した。
思ってた以上に、魔力と体力を使ってしまった。
まだ家まで歩かないといけないのに…。
なんとか家まで辿り着いたが、汗だくになってしまった。
思わず、全身洗浄の魔法をかけてしまう。
ああっ! 今の魔法で、魔力を使い果たしてしまった…!
僕は家の前で行倒れ、意識を失った…。
目を覚ますと、僕はやわらかくて甘い匂いのするところに乗っていた。
マシュマロのような弾力。なんだこれは。
周りをよく見渡すと、僕は揺り椅子で眠るシャルル嬢の胸に抱かれていたのだった。
知らずに、ぷにぷにと触ってしまった右手を叱る。
「猫ちゃん、起きた~?」
と言うなり、熱い抱擁。谷間に顔がはさまって、ぱふぱふ状態に。
こんなラッキースケベ…じゃなくて、ハプニングに見舞われ、この部屋を出なきゃダメだと思いつつも、気持ちよくて動けない。
だめだ! 煩悩に負けるな自分! ファイト一発!
煩悩を振り切るように、未練たらたらで、僕はシャルル嬢の部屋を飛び出した。
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