異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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どんぐり子ちゃんがコロコロした日

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どんぐりのぐり子ちゃんは、友達のどんぐりたちと山の斜面を転がって遊んでいました。

思わず崖までコロコロしてしまい、お海にはまってさぁ大変です。

池ポチャなら、ドジョウさんが現れてコンニチワと一緒に遊んでくれたかもしれないけど、海ポチャならどうなるの?と思いながら海にプカプカ浮かぶ、どんぐり子ちゃん。

「どんぐりちゃん、どうしたんだい?」
親切なトビウオさんが海面からニュッと顔を出して尋ねてくれました。

「転がってたら、海に落ちちゃったの」
どんぐり子ちゃんがしょんぼりしていると、

「そうか。よし! 僕が浜の近くまで送っていってあげよう。背中に乗りな!」
トビウオさんは気前よくどんぐり子ちゃんを背中に乗せてくれました。

「行くぞ!」
爽やかに笑いながらトビウオさんは泳ぎ始めました。
しばらく泳ぐと、トビウオさんはジャンプして空中に飛びあがり、大きなヒレを羽のように広げ、風に乗って何メートルも飛び続けました。

「トビウオさん、すご~い!」
ぐり子ちゃんも大喜びです。

「ははは! もっと飛ぶぞ~!」
トビウオさんは上機嫌で風に乗り、飛行距離をどんどん伸ばしてゆきます。
風を切って空を飛ぶのは、とても爽快でした。

その様子を見ていた鴨さんの目がキラリと光り、突然やってきて、ぐり子ちゃんを咥えると飛んで行ってしまいました。

どんぐりは鴨さんの好物だったのです。

「だめよ~! 私なんて美味しくないわよ、きっと~~!」
ぐり子ちゃんは何とか逃げようとジタバタ暴れ、鴨さんも咥え方が甘かったのか、クチバシからつるんと落としてしまいました。

鴨さんに食べられるのは免れたけど、海に落ちることになってしまったぐり子ちゃん。

もしかしたら、海中では大きな魚さんがぐり子ちゃんを食べようと待っているかもしれません。

ぐり子ちゃん、危機一髪!


ブシャ~~~~ッ!!!

その時、奇跡が起こりました。

ぐり子ちゃんが海に落ちる寸前、クジラさんの潮吹きが始まったのです。

「きゃ~~~っ♪」

クジラさんの大きな潮吹きに乗って、さらに風にも乗って、ぐり子ちゃんは山の崖まで戻ってきました。

「やったぁ~~~!!」

大喜びのぐり子ちゃんは、なんとかコロコロ転がって、山の斜面もなんのそのと転がりながら登り、根性でお家まで帰ったのでした。

家の前では、お母さんどんぐりが心配そうに待っていました。

「ぐり子!」
「ママ~~!」
「遅いから心配したわ」
「ママ! 海ってとっても広かったのよ!」
「まぁ、海まで行ってたの?」
「トビウオさんとクジラさんが山へ帰してくれたのよ!」
「よかったわね~♪」

どんぐり親子はコロコロしながら無事を喜んだのでした♪
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