異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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自称・名探偵ビーグル  その2

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 しばらくして意識を取り戻した自称・名探偵ビーグル。

 好物の特製ミルクで回復し、セーターの捜索を再開しました。


「クンクン。この道をまっすぐ行ったようです!」

「ビーグルさん、すごいわ!」

 ビーグルとカピバラ子さんは、森を通り抜け、商店街を歩き、野を越え、山を登り始めました。


「ビーグルさん、もう10㎞くらい歩いてるわ!」

「この山の上の方から貴方の匂いがするのです! もう少しですよ!」

 道なき道を行き、険しい崖をロッククライミングして登ると、山の頂上にはカピバラのカピ男さんがいました。


「あっ! 私のセーター!」

 カピバラ子さんはカピ男さんに向かって突進してゆくのでした。


「カピ男さん、どうして・・・」

 詰め寄るカピバラ子さんと、気まずそうな表情のカピ男さん。

「ごめん! どうしても君のセーターが欲しかったんだ! 
 喫茶店の椅子に置き忘れみたいになってたから、届けようと思ったんだけど…。
 さっき商店街で同じサイズのセーターを2枚買ったんだけど、これと交換してくれないかな?」

 カピ男さんは背負っていたリュックから、新品のセーターを2枚取り出しました。

 1枚のセーターと2枚のセーターとの交換は、一見、良い条件のように見えますが、

 豚のお尻模様のセーターと、雷様が大笑いしているイラストのセーターで、
 ちょっと着るのが恥ずかしいかも?と、少々センスを疑ってしまいそうになるデザインにカピバラ子さんは悩むのでした。


「どうして、そんなに私のセーターが欲しいの?」

「どうしてって、それは・・・」

 カピ男さんが言いよどんでいると、


「ちょぉっと待ったぁ~~!!」

 突然、カピバラ子さんの兄、バラ郎さんが現れました。

「お兄ちゃん!」

「おまえを見かけて、心配だから連いてきたんだ!」

 バラ郎さんは、カピバラ子さんとカピ男さんの間に割り込むように立ちました。


(見かけて連いてきたって、一体、どこらへんから? 相当歩いたんだけど!)
 と、心の中で突っ込むビーグルでした。


「兄といっても、カピバラ子とは血の繋がりは無い。
 カピ男くん、君はどういうつもりなんだ?」

「えっ?」

 バラ郎さんはカピ男さんを睨んでいます。

 山頂の冷たい風に吹かれながら、カピバラ子さんは思いました。

(もしかして・・・これが噂の三角関係というやつ? 
 や~ん! 初のモテ期到来~?!)




 つづく
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