異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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勝負〇〇〇? その1

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 入道雲が浮かぶ夏空の下、風に揺れるヒマワリ畑を眺めながら、カイルとふたり歩いていた。

 ギラギラ照り付ける太陽光を、気持ちよさそうに浴びるカイル。
 袖なしの夏服から伸びたしなやかな腕が小麦色に焼けて健康的だ。

 そして隣を歩いているのは、紫外線によるシミそばかすを心配してたりする、心はアラサー、見た目は6歳児の私。
 新陳代謝絶好調の6歳児なのだから紫外線なんて気にしなくていいはずなのに、つい昔の癖で、つばの広い大きな麦わら帽子をかぶり、サングラスにマスク、夏なのに長袖、手袋、ロングスカート姿で、紫外線を完全ブロック装備してしまう。

「ルカ、暑くない? すごい汗かいてるよ。脱いだら?」
 カイルが不思議そうな顔で言う。

 そうよね。
 子供にしては不自然な感じになっちゃってるし、脱ぎたいのはやまやまなのだけど、アラサー時代の癖が抜けないのよ~。
 でもさすがに、この猛暑日に長袖&マスクはきつかったのか、目が回ってきちゃったわ。熱中症?
 もう諦めて、シミ・ソバカスどんとこ~い!装備にしようかしら。

 なんてことを考えていると、
 上空にひらひらとピンク色の大きな布が飛んでいるのが見えた。

 そして、「ドドドドッ!!」と、猛スピードで砂煙をあげながら遠くから走ってくるアイスゴリラのゴリ子さんも。

「ルカちゃ~~ん!カイルく~~ん!その布、拾って~~!!」
 
 どうやら、あの布はゴリ子さんの私物で、風に飛ばされたか何かで追いかけてきたみたいね。

「ルカはここで休んでて。僕が取ってくるから」

 カイルは私を大木の木陰に座らせると、空を飛び、ピンクの大きな布に向かっていった。

 カイルはいつも優しいわね。
 ちょうどいいところに大木があってよかったわ。

 太い幹から伸びるたくさんの長い枝には青葉が茂り、木洩れ日と一緒に涼しい風が運ばれてくる。
 樹木のそばって、気持ちいいなぁ~。
 マスクを外して木の幹にもたれていると、カイルが戻ってきた。

「ルカ。レースのクッションカバーだったよ」
 カイルが布を広げて見せる。

 綺麗なピンクのレースをふんだんに使った可愛いクッションカバーみたい。両端に紐が付いてるのは、椅子の背にくくり付ける紐かしら。

「素敵ね~。私たちもこんなクッションカバーを作ってみましょうか?」
「そうだね」
 なんて話していると、

「きゃ~~~っ!! 私の勝負パンツをそんなに広げて見ちゃダメ~~!!」
 と、叫びながら全力疾走したままのゴリ子さんが突っ込んできた!
 
 

 つづく
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