異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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深海に行ってみました その2

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 しばらくしてカイルが目を覚ましたので、女の子は安心して化粧を直し、お礼を言って去ってゆきました。
 
 劇画顔のウミガメさんが玉手箱じゃなくて、救急箱を持ってきてくれたけど、使うことはなかったようです。

 浜辺で休憩していると、海に投網を投げている少女が見えました。
 大物が釣れたのか、かなりの手ごたえを感じ、ガッツポーズを決めています。
 わくわくしながら投網を曳くと、

「なんて積極的なお嬢さんなんだ♪ そんなに僕たちを捕まえたかったのかい?」
 投網の中でときめく独身ボーイズ。

 どうやら遊泳中の独身ボーイズを釣ってしまったようです。

「いえ、ぴちぴちのお魚さんが獲れないかなと思って」

「えぇ~~っ!?」
「おいっ!僕たちの勘違いだったらしいぞ!なんとかして投網から脱出しよう!」
「よく考えてみたら、好きな人に投網を打つはずがない!」
「投網って、どうやって出るんだ? 出口はどこなんだ?」
「魚の気持ちになって考えてみるんだ!」
 なんとか投網から脱出したぴちぴちの独身ボーイズは少女と一緒に浜に上がってきました。

 ちょうど時刻はお昼過ぎ。
 お腹が空いたな~と思っていたら、なぜかルカは無性にラーメンが食べたくなってしまいました。

 チャララ~ララ♪ チャラララララ~♪
 ラーメンの魔笛、チャルメラの音を思い出します。
 この音を聞くと、不思議とラーメンが食べたくなり、2割増し美味しく感じる!? 魔法の笛なのです♪

「みなさん、よかったら一緒にラーメンを食べませんか?」
 ルカが声をかけると、みんな大喜びです。

 ルカは魔法でラーメンを人数分作ると、風に浮かせました。
 響き渡るチャルメラの音に、美味しそうなダシの匂いを漂わせながら、食べてくれとばかりにふわふわと浮かび皆のもとにやってくるラーメンたち。
 
 みんなは浮かんでくるラーメン丼をキャッチして食べ始めました。
「ラーメン美味しい~♪」
「焼き豚とシナチクがたくさんはいってる~♪」
「出汁の味が最高!」
 
 浜辺で波を見ながらラーメンを食べていると、猫ちゃんがやってきました。
 先日もらった突撃魚をマジックバッグから出してあげると大喜び。
 
 それを見ていた投網少女が突撃魚をじっと見つめて言いました。
「あの~…1匹、わけていただけませんか? 今日の夕食のおかずは任せてって言ってきたんですけど、坊主なんです…」
 よくある話です。

「いいですよ。何匹でも」
 爆獲れだった突撃魚はマジックバッグの中で鮮度を保ったままたくさんいたのでした。

「ありがとう」
 少女の面目は保てそうです。

 暑い浜辺で汗だくでラーメンを食べたせいか、すごく涼みたくなってきて、ルカは雪を降らせました。
 太陽の光でキラキラと反射して、とても綺麗です。

「うわ~。冷たくて気持ちいい~!」
 みんなも相当暑かったようです。

 夏の海に降る雪は、とても素敵なのでした。

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