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深海に行ってみました その1
しおりを挟む「ルカ~♪」
「カイル~♪」
夏の太陽がきらめく波打ち際で、ルカとカイルが水を掛け合い、じゃれあっていました。
ふたりで海に入って泳いでいると、ウミガメさんに出会いました。
「ルカちゃん、カイルくん。一緒に海の綺麗な景色を見にいきましょう。僕の後についてきてください」
ふたりはウミガメさんに誘われるままに、深海へと潜ってゆきました。
しばらく潜ると、深海なのにキラキラ輝いている城が見えてきました。
煌めく大きな門には、〈ようこそ竜宮城へ、いらっしゃ~い♪〉と書かれています。
「ウミガメさん、ここ竜宮城じゃないですか!」
あやうく門をくぐるところだったルカとカイルは、慌てて後退しました。
「そうですよ♪ こんなに美しいところはありません!
竜宮城ファンクラブに入会すると、乙姫Tシャツと、鯛やヒラメと一緒に踊れるエアロビクス券をプレゼントしますよ♪ 今だけの限定特典ですよ!お早めに♪」
と、テレビショッピングのような明るい口調で、ウミガメさんは勧めるのでした。
「どんなに勧められても、竜宮城には入りませんよ! 帰りに玉手箱を持たせておじいさんにするつもりなんでしょう?」
カイルにズバッと指摘され、ウミガメさんの顔色が険しく変わりました。
「な…なぜ、そんなトップシークレットな極秘情報を知っているんですか!?」
ゴル〇13のような劇画顔のウミガメさんを見るのは初めてでした。
「みんな知ってますよ?」
「えぇ~~?!」
いつの間にやら、トップシークレットだだ漏れの事態にウミガメさんの冷や汗が止まりません!
海中なのでとても分かりにくいですが。
その時、
「助けて~!」
と、女の子の悲鳴が聞こえました。
劇画顔のウミガメさんの数メートル後ろで、深海植物人食いイソギンチャクに捕まった女の子が格闘しています!
ルカとカイルはすぐに駆け付け人食い植物から女の子を引き離そうとしますが、なかなか離してくれません。
「人食い植物さん、お腹がすいてるのかしら?」
ルカはマジックバッグから、先日のトライアスロンっぽい障害物競争の参加者たちからもらった突撃魚やキノコを人食い植物に食べさせ、その隙に女の子を救出しました。
女の子を浜まで運ぶと、なぜか女の子は顔を隠してモジモジしています。
「どうしたの? ケガしてるなら、ヒールで治すよ?」
カイルが聞くと、
「ううん、大丈夫…はっはっはっくしょ~い!!」
盛大なくしゃみと共に、女の子は顔を隠していた手を放しました。
ルカが女の子に鼻紙を渡そうとしていたら、突然、カイルが倒れてしまいました。
「どうしたの? カイル!」
訳が分からず、女の子の顔をふと見てみると、
厚化粧だったのか、アイメイクやマスカラがもの凄く崩れ、長いつけまつげもブラ~ンと半分取れて、ちょっとホラーな仕上がりになっていました!
カイルはホラー系が苦手なようで、すっかり気絶しています。
「ウォータープルーフにすればよかった~!」
手遅れです!
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