異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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森で出会った双葉

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 ある晴れた日の午後、ルカとカイルは山を散歩していました。
 木漏れ日がきらきらと輝いて、澄み切ったおいしい空気が流れてゆきます。
 道端に小さな双葉が揺れていました。

「カイル、この双葉、羽をパタパタさせてるみたいに動いてる」
「人懐っこくて可愛いなぁ。でも、こんなに小さくて大丈夫なのかな」
 双葉はまだ2㎝くらいしかありません。
 山で大きく成長できるのか心配になってきたカイルは、植物が速く成長する魔法をかけてあげました。

 双葉はにょきにょきと育ち、あっという間に大きな樹になりました。
 枝の先には、よく太った大きなえんどう豆のような形のものがたくさん成っています。
 そのうちのひとつがカイルの腕の中へ落ちてきました。長さは40㎝くらいです。
 
「カイル、これ動いてるよ?」
 うごめく巨大えんどう豆もどき。
 プスッ! プスプスッ!!
「うわっ!」
 なぜか蠢く巨大えんどう豆もどきから尖った何かが!
「「「ピヨピヨ♪」」」
 尖ったくちばしでえんどう豆もどきの皮を破り現れたのは、5匹の元気なひな鳥たちでした。
 一番最初に出会った生き物を親と思うひな鳥たちは、カイルとルカに懐いてきます。
「「「ピヨピヨ♪」」」
 頭に乗ったり、肩に乗ったり、大騒ぎです。
「可愛い~♪」
「生まれたばかりなのに成長速いね。どんどん大きくなってる」
 さっきのカイルの成長魔法がまだ効いているのか、どんどん大きく成長してゆくひな鳥たち。
 5分ほどで30㎝ほどのアヒルのような種類の成鳥になりました。もう走り回っています。

「一緒に散歩する?」
 カイルが鳥たちに聞くと、「「「グワ!!」」」と元気のいい返事が返ってきました。

 みんなで楽しく散歩していると、湖が見えてきました。
「「「グワグワ!!」」」
 水鳥らしく、柿色の水掻きで湖に駆けてゆき、水の中へ入ってゆくと、突撃魚の大群に囲まれてしまいました。
 突撃魚は獲物に激突して気絶してるうちに食べてしまうという狂暴な魚です。

 水鳥ピンチ!
 湖の中から40㎝くらいの突撃魚がミサイルのごとく飛んできます。
 ドゥッ!ドゥッ!ドゥッ!
 しかし、太い体で意外と上手くかわす水鳥たち!

「「「グワグワ!!」」」
 反撃開始とばかりに、激突してくる突撃魚に向かって飛んでゆきました。
 真っ向勝負でぶつかりあうのか~?! 水掻きキック炸裂なのか~?!
 と思いきや、空中を飛んできた突撃魚のさらに上を飛び、突撃魚の背中に乗ってしまいました!

「アヒルが魚の上に乗って、サーフィンしてる?」
「魚がサーフィンボードみたいだね!」
 アヒルと魚が楽しそうなので、思わず観とれるカイルとルカ。
 突撃魚の大群が移動するたびに起こる大きな波を、華麗に乗りこなす太いアヒルたちはとてもシュール?!

「「「グワグワ!!」」」
 他のアヒルたちも真似をしはじめ、湖ではアヒル5羽が見事に突撃魚サーフィンを乗りこなしています。
 なぜかサーフィンの高等技術といわれる、カットバック、オフザリップ、エアリアルまでこなしてしまい、あんた何者やねん展開に!

 そのうちアヒルとのサーフィンが楽しくなってきた突撃魚たちは、
『なかなかやるじゃないか!』
『いやぁ~!そんなことあるけど~♪』
 というような意思疎通があり、湖で共存することになりました。

「なんだかよくわからないけど、よかったね」
「そろそろお昼だし、湖のほとりでお弁当でも食べましょうか」
「うわぁ。ルカのお弁当、楽しみだ♪」

 ルカとカイルが座ってお弁当の包みを開くと、
「「「グワグワグワ!!」」」
 アヒルの目がキラン!と光ったかと思うと、突撃魚サーフィン中のアヒルが、次々とルカとカイル目掛けて飛んできました!
 どうやらお弁当が気になるようです!

 ルカとカイルはアヒルたちと仲良くランチタイムを楽しんだのでした♪

 
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