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牛子さんは何処へ 5
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「僕は牛助。牛子さんのことが子供の頃から好きだったんだ。長年想い続けた女性を諦めるなんてできないよ」
「私は牛美。牛雄さんの元カノよ。一方的に別れを告げられたけど、私はまだ牛雄さんが好き。諦められないわ」
どうやら4角関係のようです。
「でも、牛雄さんと牛子さんは相思相愛じゃないですか。ここは潔く身を引いたらどうです?」
と、カイルが聞くと。
「牛雄さんだけをずっと想ってきたのよ。諦められないって言ってるでしょう!
そのうちふたりは結婚するかもしれないわ。結婚式で彼を奪おうかとも思ったけど、万が一、牛雄さんに抵抗されて式場スタッフにつまみ出されたらカッコ悪すぎると思って、今のうちに牛子と引き離そうとしたの。
私の行動力に、きっと彼は私を見直してくれるって思って。なんて情熱的な女性なんだ、僕のことをそんなに愛していたのかい、って私に惚れ直してくれるはずだわ~!」
拳を握りしめ、舞台女優のように熱弁し、自分に酔いしれる牛美。
いつの間にかBGMはドラマチックな音楽が流れ、自作のマイスポットライトを浴び、拍手を要求するような視線を送ってくる牛美の迫力に押され、なんとなく拍手してしまう覆面軍団。
牛子さんに眠り薬を盛って誘拐なんて、牛雄さんにドン引きされるだけじゃないのかなぁ。とカイルは思いました。
「結婚式の最中に花嫁強奪は、やったことがある」
「本当? 牛助さん、すごいわ!」
「牛雄と牛子は教会でふたりきりの結婚式をしていた。そこへ僕が乱入し、花嫁牛子を無理やり車に乗せて逃走したんだ。しかし、牛子は僕の彼女にはなってくれなかった。僕に怒鳴り散らし、いつの間にか、イカがいっぱい干された民宿へ牛雄と旅行に行ってしまって…迎えに行っても逃げられるし…」
「牛助さん、かわいそう!」
「牛美さん。君だけだよ、僕の気持ちを分かってくれるのは」
そんなに牛子さんに冷たくされたのなら諦めたらいいのに。と、カイルは少し思ってしまいました。
「牛助さん、牛美さん。ふたりは価値観も似てるし、気も合って、お似合いじゃないですか。振り向いてくれない人を追いかけるよりも、自分に合った人と過ごすほうが幸せじゃないでしょうか?」
カイルの言葉に、はっとしたように見つめあう牛助と牛美。
「…そういえば、そうね。牛雄さんにばかり固執していたけど、よく考えると、冷たい牛雄さんと居るより、優しい牛助さんといた方が楽しかったかもしれないわ。その付け睫毛も素敵よ」
「牛美さん。僕のつけまつげ、気付いてたのかい?牛美さんのゴージャスなパーマヘアもとても素敵だよ。僕に嘘をついたり、二股もしないよね?」
「もちろんよ! 私は一途な女よ!」
「牛美さん!」
意気投合したふたりは手を取り合い、カイルに向き直りました。
「カイルくんの言葉で、僕たち目が覚めた気分だよ。幸せの青い鳥はこんなにそばにいたんだ」
「私も、私だけを見つめてくれるひとがいいわ」
なんだか円満解決できたみたいなので、牛助と牛美の気が変わらないうちに、カイルはルカと牛雄と牛子を連れて瞬間移動したのでした。
眠っている牛雄と牛子は、草原にある牛雄の家に届けて、
ルカを横抱きにして家に帰ろうと空を飛んでいると、ルカが小さな寝言をつぶやきました。
「カイル…」
幸せそうなルカの声が心に沁みたカイルは、想いを抑えきれずルカのおでこに内緒のキスをしたのでした。
end
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039
ルカとカイル
「私は牛美。牛雄さんの元カノよ。一方的に別れを告げられたけど、私はまだ牛雄さんが好き。諦められないわ」
どうやら4角関係のようです。
「でも、牛雄さんと牛子さんは相思相愛じゃないですか。ここは潔く身を引いたらどうです?」
と、カイルが聞くと。
「牛雄さんだけをずっと想ってきたのよ。諦められないって言ってるでしょう!
そのうちふたりは結婚するかもしれないわ。結婚式で彼を奪おうかとも思ったけど、万が一、牛雄さんに抵抗されて式場スタッフにつまみ出されたらカッコ悪すぎると思って、今のうちに牛子と引き離そうとしたの。
私の行動力に、きっと彼は私を見直してくれるって思って。なんて情熱的な女性なんだ、僕のことをそんなに愛していたのかい、って私に惚れ直してくれるはずだわ~!」
拳を握りしめ、舞台女優のように熱弁し、自分に酔いしれる牛美。
いつの間にかBGMはドラマチックな音楽が流れ、自作のマイスポットライトを浴び、拍手を要求するような視線を送ってくる牛美の迫力に押され、なんとなく拍手してしまう覆面軍団。
牛子さんに眠り薬を盛って誘拐なんて、牛雄さんにドン引きされるだけじゃないのかなぁ。とカイルは思いました。
「結婚式の最中に花嫁強奪は、やったことがある」
「本当? 牛助さん、すごいわ!」
「牛雄と牛子は教会でふたりきりの結婚式をしていた。そこへ僕が乱入し、花嫁牛子を無理やり車に乗せて逃走したんだ。しかし、牛子は僕の彼女にはなってくれなかった。僕に怒鳴り散らし、いつの間にか、イカがいっぱい干された民宿へ牛雄と旅行に行ってしまって…迎えに行っても逃げられるし…」
「牛助さん、かわいそう!」
「牛美さん。君だけだよ、僕の気持ちを分かってくれるのは」
そんなに牛子さんに冷たくされたのなら諦めたらいいのに。と、カイルは少し思ってしまいました。
「牛助さん、牛美さん。ふたりは価値観も似てるし、気も合って、お似合いじゃないですか。振り向いてくれない人を追いかけるよりも、自分に合った人と過ごすほうが幸せじゃないでしょうか?」
カイルの言葉に、はっとしたように見つめあう牛助と牛美。
「…そういえば、そうね。牛雄さんにばかり固執していたけど、よく考えると、冷たい牛雄さんと居るより、優しい牛助さんといた方が楽しかったかもしれないわ。その付け睫毛も素敵よ」
「牛美さん。僕のつけまつげ、気付いてたのかい?牛美さんのゴージャスなパーマヘアもとても素敵だよ。僕に嘘をついたり、二股もしないよね?」
「もちろんよ! 私は一途な女よ!」
「牛美さん!」
意気投合したふたりは手を取り合い、カイルに向き直りました。
「カイルくんの言葉で、僕たち目が覚めた気分だよ。幸せの青い鳥はこんなにそばにいたんだ」
「私も、私だけを見つめてくれるひとがいいわ」
なんだか円満解決できたみたいなので、牛助と牛美の気が変わらないうちに、カイルはルカと牛雄と牛子を連れて瞬間移動したのでした。
眠っている牛雄と牛子は、草原にある牛雄の家に届けて、
ルカを横抱きにして家に帰ろうと空を飛んでいると、ルカが小さな寝言をつぶやきました。
「カイル…」
幸せそうなルカの声が心に沁みたカイルは、想いを抑えきれずルカのおでこに内緒のキスをしたのでした。
end
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039
ルカとカイル
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