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シャボン玉がやってきた(後編)カイルの秘密
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「その子虎を渡しなさい」
大きな虎は横柄な態度で言いました。
「渡せるわけないでしょ!カイルに薬を盛ったの?」
ぎゅっとカイルを抱きしめ、守る体制をとる私。
強く言われて、大きな虎は、はっと我に返ったようです。
「そうだな…。強引なことをしてすまなかった。実は、私の子が寝込んでいて、占い師に相談したら、健康で利発そうな子虎の爪を薬草で煮込んでおでこに貼れば治ると言われて、その子虎カイルの爪が欲しくてつい強引に攫ってしまった。一刻でも早く治してやりたくて、焦って、親バカな事をした。申し訳ない。もしカイルが暴れたら爪が切りにくいと思って、虎用スーパーマタタビを与えてしまったが、しばらくすれば元に戻るから…」
反省しているのか、耳と尻尾をしょんぼりと下げて大きな虎がうつむいています。
「もぅ…。仕方ないですね。爪切りを貸してください。私がカイルの爪を切ってあなたに渡します」
その言葉を聞いて、ぱぁっと頭に花が咲いたように陽気になる大虎さん。
「そうか…!それは助かる。カイルは魔法を使うし、どんな反撃を食らうかちょっと怖かったのだ!」
大きな身体と大迫力の顔面力なのに、カイルが怖い大虎さん。
爪切りを渡す手がガタガタと震えています。それほど?
パチン、パチン、パチン、パチン…
子虎カイルの小さな爪を切って大虎さんに渡すと、ふにゃりと安心した嬉しそうな顔をしました。
「これで、子供さんの体調が良くなるといいですね」
「ありがとう」
「それから、体調不良なら、占い師より医師に相談したほうがいいのでは?」
「あっ。そういわれれば、そうだったな。慌てていて、つい近所の占い師の家に駆けこんでしまった!」
やっちまったな~!と頭を掻いて豪快に笑う大虎さん。
強面の大虎さんが、怖がりで慌て者だったとは。ここだけの内緒にしておいてあげましょう。
なにわともあれ、カイルの爪が効くことを願って、大虎さんの気が変わらないうちに、私はカイルを抱いて瞬間移動したのでした。
「虎用スーパーマタタビの香りを洗い流せば、元のカイルに戻るかしら?」
マタタビが効きすぎて酔っぱらっているようなカイルを森の清流に運び、ザブザブと洗ってあげていると、カイルの体が少し大きくなっていることに気付きました。
「はっくしょん!」
くしゃみと同時に人の姿になってしまったカイルは少し成長していて、7~8歳くらいに見えます。
不思議そうに見つめる私に、カイルはバツが悪そうな顔をしました。
「バレちゃったか…。ルカと同い年でいたかったから、魔法で幼い姿に変身してたんだけど、スーパーマタタビで頭がぼぅっとして、うっかり本当の姿になっちゃったな。
僕は虎族だからルカよりも成長が早い。でも、子虎でいればルカともふもふ出来るし、ルカと同じ目線で傍にいたかったんだ。
本当の姿じゃない僕を、許せない?」
心配そうな瞳で私を見つめるカイル。
「そんな…ことは…」
だって、私なんて心はアラサー。カイルが歳を1つか2つサバ読んだのとは比べ物にならないのよ~。私の方が、本当は心はアラサーなの♪とか言ったら、きっと皆にドン引きされるわ。
「カイルが私のために可愛い子虎ちゃんでいてくれるなんて、嬉しい♪」
「ずっと、もふもふしようね♪」
「うんっ♪」
かくして、カイルの双子の弟たちは、そのうちカイルの歳を追い抜き、大きな虎に成長し、子虎のカイルを〈兄さん〉と慕うようになるのでした。
大きな虎は横柄な態度で言いました。
「渡せるわけないでしょ!カイルに薬を盛ったの?」
ぎゅっとカイルを抱きしめ、守る体制をとる私。
強く言われて、大きな虎は、はっと我に返ったようです。
「そうだな…。強引なことをしてすまなかった。実は、私の子が寝込んでいて、占い師に相談したら、健康で利発そうな子虎の爪を薬草で煮込んでおでこに貼れば治ると言われて、その子虎カイルの爪が欲しくてつい強引に攫ってしまった。一刻でも早く治してやりたくて、焦って、親バカな事をした。申し訳ない。もしカイルが暴れたら爪が切りにくいと思って、虎用スーパーマタタビを与えてしまったが、しばらくすれば元に戻るから…」
反省しているのか、耳と尻尾をしょんぼりと下げて大きな虎がうつむいています。
「もぅ…。仕方ないですね。爪切りを貸してください。私がカイルの爪を切ってあなたに渡します」
その言葉を聞いて、ぱぁっと頭に花が咲いたように陽気になる大虎さん。
「そうか…!それは助かる。カイルは魔法を使うし、どんな反撃を食らうかちょっと怖かったのだ!」
大きな身体と大迫力の顔面力なのに、カイルが怖い大虎さん。
爪切りを渡す手がガタガタと震えています。それほど?
パチン、パチン、パチン、パチン…
子虎カイルの小さな爪を切って大虎さんに渡すと、ふにゃりと安心した嬉しそうな顔をしました。
「これで、子供さんの体調が良くなるといいですね」
「ありがとう」
「それから、体調不良なら、占い師より医師に相談したほうがいいのでは?」
「あっ。そういわれれば、そうだったな。慌てていて、つい近所の占い師の家に駆けこんでしまった!」
やっちまったな~!と頭を掻いて豪快に笑う大虎さん。
強面の大虎さんが、怖がりで慌て者だったとは。ここだけの内緒にしておいてあげましょう。
なにわともあれ、カイルの爪が効くことを願って、大虎さんの気が変わらないうちに、私はカイルを抱いて瞬間移動したのでした。
「虎用スーパーマタタビの香りを洗い流せば、元のカイルに戻るかしら?」
マタタビが効きすぎて酔っぱらっているようなカイルを森の清流に運び、ザブザブと洗ってあげていると、カイルの体が少し大きくなっていることに気付きました。
「はっくしょん!」
くしゃみと同時に人の姿になってしまったカイルは少し成長していて、7~8歳くらいに見えます。
不思議そうに見つめる私に、カイルはバツが悪そうな顔をしました。
「バレちゃったか…。ルカと同い年でいたかったから、魔法で幼い姿に変身してたんだけど、スーパーマタタビで頭がぼぅっとして、うっかり本当の姿になっちゃったな。
僕は虎族だからルカよりも成長が早い。でも、子虎でいればルカともふもふ出来るし、ルカと同じ目線で傍にいたかったんだ。
本当の姿じゃない僕を、許せない?」
心配そうな瞳で私を見つめるカイル。
「そんな…ことは…」
だって、私なんて心はアラサー。カイルが歳を1つか2つサバ読んだのとは比べ物にならないのよ~。私の方が、本当は心はアラサーなの♪とか言ったら、きっと皆にドン引きされるわ。
「カイルが私のために可愛い子虎ちゃんでいてくれるなんて、嬉しい♪」
「ずっと、もふもふしようね♪」
「うんっ♪」
かくして、カイルの双子の弟たちは、そのうちカイルの歳を追い抜き、大きな虎に成長し、子虎のカイルを〈兄さん〉と慕うようになるのでした。
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