異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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美味しい夢を探す旅

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 僕は夢を食べるバク。
 旅をしながら、出会った人の夢をパックンチョしながら生きている。

 しかし、僕は失敗してしまった。
 とてもストイックなスポーツマンの夢を食べてしまったんだ。

 彼は夢の中でも、超ハードなトレーニングをこなしていた。
 100㎞のランニング、腕立て伏せ1000回、腹筋1000回、命知らずな妖怪たちとの壮絶な戦い、その上、スタイル保持のダイエット中だ。何者やねん。

 彼の夢を食べてすっかり疲れてしまったので、次は、気楽そうに見えたレオンさんの畑にいる鶏助さんの夢を食べた。

 レオンさんの畑は美味しい作物がたくさんなっていて、鶏助さんは夢の中でも美味しい作物を食べていた。
 僕はやっと夢の中で美味しいものを食べることが出来たけど、鶏助さんは鶏だけに、少食だった。量が物足りない。

 ある日、なんだかおかしいと思い始めた鶏助さんは、畑に罠を仕掛けた。
 僕を捕まえるつもりだったみたいだけど、設置した鶏助さん自身が罠にかかってしまい、気の毒なので罠を外してあげた。
「まぁ、こんなこともあるさ。気にするな」と、鶏助さんは自分で自分を励まして、何事も無かったかのように去って行った。なんてプラス思考なんだ。

 そして僕は、森の泉で開催されていた「大食い大会」を見て、大食い大会優勝者のグルメ熊さんの夢を食べさせてもらおうと思った。

 グルメ熊さんは、夢の中でも美味しいものを山ほど食べていて、僕はやっと満足感を得ることができた。
 しかし、毎日、グルメ熊さんの夢を喜んでお腹一杯食べていたら、いつの間にか凄く太ってしまった。
 湖に映る球体のような自分の姿に呆然とする。

 どうしよう、と思いながら座った公園のベンチは真っ二つに折れて壊れるし。
 振り向きざまに僕にぶつかった人は、何mも飛ばされていく。
 
 そんな時、僕の肩をトントンと叩いてくれる人がいたんだ。

 僕は、森の泉部屋の親方にスカウトされ、相撲取りになった。
 同部屋力士の夢は、ちゃんこ味でとても美味しい。

 僕の美味しい夢を探す旅は終わった♪
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