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ジェリーの実は美味しいクマ!
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アーシャさんが双子の赤ちゃん虎を産んだ。
ベビーベッドに並ぶ生まれたての赤ちゃん虎は、まだ目も開けていない。
小さくて、柔らかそうで、守ってあげたくなるような愛らしさの塊だった。
レオンさんは目尻が下がりっぱなしで、とっても嬉しそう。おむつを替えるのも手慣れたものだ。
アーシャさんが微笑んで「抱いてみる?」と言ってくれたけど、華奢な赤ちゃんを落としでもしたら大変なので、数日経ってから抱かせてくださいとお願いした。
ラブラブのアーシャさんとレオンさんの部屋を出てから、カイルに聞いてみる。
「アーシャさんの好きなものを教えてくれない? 産後の体力が回復しそうなものとか」
「ママはジェリーの実が好きだよ。甘酸っぱくてとても美味しいんだ。高山植物だからこのあたりじゃ見かけないけど、栄養もあるし、体力も回復するって言われてる」
「ジェリーの実、アーシャさんに摘んできてあげたいなぁ…」
「ありがとう、ママも喜ぶよ。早速、探しに行こう!」
私とカイルは空を飛び、高山地帯の上空でジェリーの赤い実を探しはじめた。
「カイル! あの山、赤い実がたくさんなってる!」
「ジェリーの実だ!」
一か所に、こんなに沢山なってるなんて!
赤くて丸いルビーのように美しい実が、キラキラと輝きながら地面を覆いつくすように、たわわに実っている。
「すご~い! 綺麗~!」
ジェリーの実に見とれながら、収穫してはマジックバッグに収納していると、
「何やってるクマ!」
3mくらいありそうな茶色い熊さんに怒られた。
「ジェリーの実を収穫しています!」と答えると、
「そのジェリーの実は、食べ頃になるまでずっと待ってたんだクマ! やっと熟れて美味しそうになってきたから今日あたり食べようと思ってたんだクマ~!」
なんだかとてもご立腹だ。
「こんなにたくさんあるんだから、少しくらい分けてくれてもいいじゃないですか~」
こんなでかい熊に口答えする命知らずの私。
「ダメだクマ! ジェリーの実はケーキのトッピングに使うし、ジャムも大量に作るし、ジェリージュースもジェリー酒も作るし、タルトやゼリーやクッキーにも入れる予定なのだクマ!」
料理男子か!
「どうしてもジェリーの実を分けてほしいなら、代わりに好物の魚を獲ってくるクマ~!」
料理男子クマに指を指された瞬間、私は深海へ瞬間移動させられていた!
真っ暗な深海で、迫力満点の光る眼がたくさん集まってきて、すぐに囲まれる。
深海魚の顔って、怖いよ~!
その頃、カイルはどうしていたかというと。
「ルカをどこに飛ばしたんだ!場所を教えろ!」
クマを睨みつけるカイル。
しかし、クマはポッと頬を赤らめた。
「怒った顔も、素敵♪」
急に内股になり、もじもじし始める。
「はぁ?」
意外な反応にドン引きのカイル。
「山奥にいると、こんなイケメンにはなかなか出会えないクマ~!」
とハートマークを飛ばしながら叫んで、ぎゅっと抱きついてくるクマ。
「タイプ、タイプ♪ 好き♪ フォーリンラブ♪」
頬ずりされ、キスの嵐にカイルは滝汗の冷や汗を流した。
「ぼくは…女子が好き…」
ノーマル宣言してみたが、
「大丈夫♪ 私、女子よ♪」
クマは、カイルの美貌に見とれながらウィンクした。
筋肉粒々のシックスパックなので男にしか見えなかった、とは言えないカイル。立派な上腕二頭筋が体に食い込んでくる。
「ダメだ!ぼくはルカが好きなんだよ!」
カイルは子虎に変身した。
「ぼくの本当の姿は虎なんだ!」
クマが諦めてくれるかと思ったが、
「なんて可愛いの! 動くヌイグルミみたいじゃないの~♪ ふわふわもこもこ~♪」
さらに気に入られ、カイルの美貌は裏目に出る一方なのだった。
そこへ、深海からルカが戻ってきた。
「ルカッ!」
クマの腕をすり抜け、ルカを抱きしめるカイル。
「ぼくはルカだけだからね!」
「?」
鈍感なルカには、クマとカイルの間にあったことなど想像も出来ない。
大型の深海魚に囲まれていたルカを助けたのは、ニャロンの呪いを解いた植物だった。
植物のツルには、20匹の深海魚が捕らえられ、獲れたてピチピチのお魚さんが跳ねている。
「魚っ! 美味しそうな深海魚だクマ~♪」
熊は大喜びで魚に飛びつこうとしたが、植物はそう簡単には魚をくれない。魚は植物の好物なのだ。
「わかったクマ! 約束通り、ジェリーの実を好きなだけ持っていくクマ! おまけでジェリーの苗も付けるクマ~!」
了解した植物は、クマと仲良く一緒に魚を食べ始めた。
植物は熊と気が合うらしく、ジェリーの実も気に入ったので、しばらくここで暮らすらしい。
アーシャさんとレオンさんは、ジェリーの実をとても喜んでくれた。
レオンさんはジェリーの苗に、魔法で高山地帯のようなヒンヤリした空気を纏わせ、見事なジェリー畑を作ったのだった。
ベビーベッドに並ぶ生まれたての赤ちゃん虎は、まだ目も開けていない。
小さくて、柔らかそうで、守ってあげたくなるような愛らしさの塊だった。
レオンさんは目尻が下がりっぱなしで、とっても嬉しそう。おむつを替えるのも手慣れたものだ。
アーシャさんが微笑んで「抱いてみる?」と言ってくれたけど、華奢な赤ちゃんを落としでもしたら大変なので、数日経ってから抱かせてくださいとお願いした。
ラブラブのアーシャさんとレオンさんの部屋を出てから、カイルに聞いてみる。
「アーシャさんの好きなものを教えてくれない? 産後の体力が回復しそうなものとか」
「ママはジェリーの実が好きだよ。甘酸っぱくてとても美味しいんだ。高山植物だからこのあたりじゃ見かけないけど、栄養もあるし、体力も回復するって言われてる」
「ジェリーの実、アーシャさんに摘んできてあげたいなぁ…」
「ありがとう、ママも喜ぶよ。早速、探しに行こう!」
私とカイルは空を飛び、高山地帯の上空でジェリーの赤い実を探しはじめた。
「カイル! あの山、赤い実がたくさんなってる!」
「ジェリーの実だ!」
一か所に、こんなに沢山なってるなんて!
赤くて丸いルビーのように美しい実が、キラキラと輝きながら地面を覆いつくすように、たわわに実っている。
「すご~い! 綺麗~!」
ジェリーの実に見とれながら、収穫してはマジックバッグに収納していると、
「何やってるクマ!」
3mくらいありそうな茶色い熊さんに怒られた。
「ジェリーの実を収穫しています!」と答えると、
「そのジェリーの実は、食べ頃になるまでずっと待ってたんだクマ! やっと熟れて美味しそうになってきたから今日あたり食べようと思ってたんだクマ~!」
なんだかとてもご立腹だ。
「こんなにたくさんあるんだから、少しくらい分けてくれてもいいじゃないですか~」
こんなでかい熊に口答えする命知らずの私。
「ダメだクマ! ジェリーの実はケーキのトッピングに使うし、ジャムも大量に作るし、ジェリージュースもジェリー酒も作るし、タルトやゼリーやクッキーにも入れる予定なのだクマ!」
料理男子か!
「どうしてもジェリーの実を分けてほしいなら、代わりに好物の魚を獲ってくるクマ~!」
料理男子クマに指を指された瞬間、私は深海へ瞬間移動させられていた!
真っ暗な深海で、迫力満点の光る眼がたくさん集まってきて、すぐに囲まれる。
深海魚の顔って、怖いよ~!
その頃、カイルはどうしていたかというと。
「ルカをどこに飛ばしたんだ!場所を教えろ!」
クマを睨みつけるカイル。
しかし、クマはポッと頬を赤らめた。
「怒った顔も、素敵♪」
急に内股になり、もじもじし始める。
「はぁ?」
意外な反応にドン引きのカイル。
「山奥にいると、こんなイケメンにはなかなか出会えないクマ~!」
とハートマークを飛ばしながら叫んで、ぎゅっと抱きついてくるクマ。
「タイプ、タイプ♪ 好き♪ フォーリンラブ♪」
頬ずりされ、キスの嵐にカイルは滝汗の冷や汗を流した。
「ぼくは…女子が好き…」
ノーマル宣言してみたが、
「大丈夫♪ 私、女子よ♪」
クマは、カイルの美貌に見とれながらウィンクした。
筋肉粒々のシックスパックなので男にしか見えなかった、とは言えないカイル。立派な上腕二頭筋が体に食い込んでくる。
「ダメだ!ぼくはルカが好きなんだよ!」
カイルは子虎に変身した。
「ぼくの本当の姿は虎なんだ!」
クマが諦めてくれるかと思ったが、
「なんて可愛いの! 動くヌイグルミみたいじゃないの~♪ ふわふわもこもこ~♪」
さらに気に入られ、カイルの美貌は裏目に出る一方なのだった。
そこへ、深海からルカが戻ってきた。
「ルカッ!」
クマの腕をすり抜け、ルカを抱きしめるカイル。
「ぼくはルカだけだからね!」
「?」
鈍感なルカには、クマとカイルの間にあったことなど想像も出来ない。
大型の深海魚に囲まれていたルカを助けたのは、ニャロンの呪いを解いた植物だった。
植物のツルには、20匹の深海魚が捕らえられ、獲れたてピチピチのお魚さんが跳ねている。
「魚っ! 美味しそうな深海魚だクマ~♪」
熊は大喜びで魚に飛びつこうとしたが、植物はそう簡単には魚をくれない。魚は植物の好物なのだ。
「わかったクマ! 約束通り、ジェリーの実を好きなだけ持っていくクマ! おまけでジェリーの苗も付けるクマ~!」
了解した植物は、クマと仲良く一緒に魚を食べ始めた。
植物は熊と気が合うらしく、ジェリーの実も気に入ったので、しばらくここで暮らすらしい。
アーシャさんとレオンさんは、ジェリーの実をとても喜んでくれた。
レオンさんはジェリーの苗に、魔法で高山地帯のようなヒンヤリした空気を纏わせ、見事なジェリー畑を作ったのだった。
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