40 / 103
小さな箱には
しおりを挟む
カイルと森を散歩していたら、かわいい花を見つけた。
茎に小さな白い花がたくさん並んで咲いていて、なぜか、花の先には白くて丸い球が付いていた。
卵のような、白い雫のようなそれは、時々、ぷるぷると揺れた。
「カイル、これ何だろう?」
「すごく動くし、何かの卵が孵ろうとしてるのかな?」
ぷるぷるぷるっ。ぷるるん。
「あっ、球の薄皮が破れてきた。何が生まれてくるのかな?」
こんな清楚な花から、花の妖精でも生まれてくるのかしら。
わくわく期待しながら待っていると、
「「「ピヨ♪ピヨ♪ピヨ♪」」」
なぜか鳥の雛が生まれてきた。
鳥の雛は、生まれて初めて見た生物を親だと思うらしい。
「花鳥の雛だ。そういえば、花に卵を産み付ける鳥がいるって聞いたことがある」
「カイルと私を親だと思ってるみたいだよ?」
「うん。突然、10羽の鳥の親になっちゃったね」
花鳥の雛たちは、私とカイルの周りを楽しそうに歩き回ってる。
時々、小さなクチバシでつついてきたりして、とても可愛い。
「かわいいね~♪」
私の部屋でこの子たちを育てることになるのかな~?
すっかり花鳥の親になる気でいる私に、カイルが焼きもちをやく。
「ダメだよ。雛に夢中になって、ぼくに構ってくれなくなるつもり?」
急遽、カイルは子虎に変身し、もふもふ攻撃をしてくる。
なめらかなふわふわ毛並みの金毛が覆いかぶさってきて、ほっぺにスリスリしてきて…うぁぁ…可愛いくて柔らかいぬいぐるみのようなモフモフ感触がたまらん…天国だぁ~…♪
「ルカはぼくだけ見てればいいんだよ。わかった?」
洗脳されてしまう~♪
しかし、雛はカイルの言葉など聞こえないかのように、私やカイルの上によじ登ってきては、クチバシで軽くつついてきたり、「ぴよぴよ♪」とお尻を振りながら、可愛らしく鳴くのだった。
カイルも雛も可愛くて、どちらかなんて選べないよ~♪
なんて思っていたら、花鳥の親鳥が帰ってきて私を睨んでいた。
突然、花鳥が私に向かって駆けてくる!
ドガッ!
「ぐはぁ!」
みぞおちに花鳥キック炸裂!
子虎のモフモフと雛のクチバシつんつんの甘い時間に蕩けていた私は、さらに繰り出されるアッパーカットになすすべもない。
雛を奪われたと勘違いした親鳥が怒っているらしい。
さらなる攻撃を加えようとファイティングポーズを決める花鳥親。
なんでやね~ん!
空中に飛ばされた私を追いかけてきて、抱えてくれるカイル。
「ルカ、大丈夫? 花鳥の攻撃が速すぎて守れなくてごめん!
花鳥さん、ぼくたちは雛を奪うつもりはないよ!
育児放棄なら世話をしようと思ってただけだよ!」
カイルが必死でかばってくれたのが嬉しくて、アッパーカット時の鼻血も止まりそうだわ。
「雛のみんな、集まって!みんなのお母さんだよ!ほら、羽の模様も一緒!」
鏡を見せてあげると雛たちは納得してくれて、親鳥のところへ集まっていった。
ああ、よかった。
親鳥は雛が戻ってきたので機嫌を直し、私を蹴ったお詫びにと小さな箱をくれた。
花鳥の親子は仲良く森を歩いてゆき、私とカイルは微笑ましく思いながら見送った。
さて。
花鳥がくれた小さな箱をどうしたものか。
開けるのが少しこわい。
でも、ここに置いて帰るわけにも…。
花鳥がくれた箱を手のひらに乗せ、じっと見つめていると、子猿がやってきて私の手から持って行ってしまった。
木の枝の上で、小さな箱を開けている。
中には、花鳥の羽が1枚入っていたようだ。薄緑の綺麗な羽を、子猿は髪飾りのように頭に挿した。
すると、子猿の背中から花鳥の大きな翼が生えてきた。
翼をはためかせ、空を飛べるようになった子猿は大喜び。
「花鳥さんは私に翼をくれようとしたんだね」
「また、花鳥親子に会えるといいね♪」
後日、同じ翼を持った子猿と花鳥たちは楽しそうに仲良く空を飛んでいた。
茎に小さな白い花がたくさん並んで咲いていて、なぜか、花の先には白くて丸い球が付いていた。
卵のような、白い雫のようなそれは、時々、ぷるぷると揺れた。
「カイル、これ何だろう?」
「すごく動くし、何かの卵が孵ろうとしてるのかな?」
ぷるぷるぷるっ。ぷるるん。
「あっ、球の薄皮が破れてきた。何が生まれてくるのかな?」
こんな清楚な花から、花の妖精でも生まれてくるのかしら。
わくわく期待しながら待っていると、
「「「ピヨ♪ピヨ♪ピヨ♪」」」
なぜか鳥の雛が生まれてきた。
鳥の雛は、生まれて初めて見た生物を親だと思うらしい。
「花鳥の雛だ。そういえば、花に卵を産み付ける鳥がいるって聞いたことがある」
「カイルと私を親だと思ってるみたいだよ?」
「うん。突然、10羽の鳥の親になっちゃったね」
花鳥の雛たちは、私とカイルの周りを楽しそうに歩き回ってる。
時々、小さなクチバシでつついてきたりして、とても可愛い。
「かわいいね~♪」
私の部屋でこの子たちを育てることになるのかな~?
すっかり花鳥の親になる気でいる私に、カイルが焼きもちをやく。
「ダメだよ。雛に夢中になって、ぼくに構ってくれなくなるつもり?」
急遽、カイルは子虎に変身し、もふもふ攻撃をしてくる。
なめらかなふわふわ毛並みの金毛が覆いかぶさってきて、ほっぺにスリスリしてきて…うぁぁ…可愛いくて柔らかいぬいぐるみのようなモフモフ感触がたまらん…天国だぁ~…♪
「ルカはぼくだけ見てればいいんだよ。わかった?」
洗脳されてしまう~♪
しかし、雛はカイルの言葉など聞こえないかのように、私やカイルの上によじ登ってきては、クチバシで軽くつついてきたり、「ぴよぴよ♪」とお尻を振りながら、可愛らしく鳴くのだった。
カイルも雛も可愛くて、どちらかなんて選べないよ~♪
なんて思っていたら、花鳥の親鳥が帰ってきて私を睨んでいた。
突然、花鳥が私に向かって駆けてくる!
ドガッ!
「ぐはぁ!」
みぞおちに花鳥キック炸裂!
子虎のモフモフと雛のクチバシつんつんの甘い時間に蕩けていた私は、さらに繰り出されるアッパーカットになすすべもない。
雛を奪われたと勘違いした親鳥が怒っているらしい。
さらなる攻撃を加えようとファイティングポーズを決める花鳥親。
なんでやね~ん!
空中に飛ばされた私を追いかけてきて、抱えてくれるカイル。
「ルカ、大丈夫? 花鳥の攻撃が速すぎて守れなくてごめん!
花鳥さん、ぼくたちは雛を奪うつもりはないよ!
育児放棄なら世話をしようと思ってただけだよ!」
カイルが必死でかばってくれたのが嬉しくて、アッパーカット時の鼻血も止まりそうだわ。
「雛のみんな、集まって!みんなのお母さんだよ!ほら、羽の模様も一緒!」
鏡を見せてあげると雛たちは納得してくれて、親鳥のところへ集まっていった。
ああ、よかった。
親鳥は雛が戻ってきたので機嫌を直し、私を蹴ったお詫びにと小さな箱をくれた。
花鳥の親子は仲良く森を歩いてゆき、私とカイルは微笑ましく思いながら見送った。
さて。
花鳥がくれた小さな箱をどうしたものか。
開けるのが少しこわい。
でも、ここに置いて帰るわけにも…。
花鳥がくれた箱を手のひらに乗せ、じっと見つめていると、子猿がやってきて私の手から持って行ってしまった。
木の枝の上で、小さな箱を開けている。
中には、花鳥の羽が1枚入っていたようだ。薄緑の綺麗な羽を、子猿は髪飾りのように頭に挿した。
すると、子猿の背中から花鳥の大きな翼が生えてきた。
翼をはためかせ、空を飛べるようになった子猿は大喜び。
「花鳥さんは私に翼をくれようとしたんだね」
「また、花鳥親子に会えるといいね♪」
後日、同じ翼を持った子猿と花鳥たちは楽しそうに仲良く空を飛んでいた。
15
お気に入りに追加
992
あなたにおすすめの小説

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結

転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる